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48/67

Episode 48

 サマーフェスティバル二日目。

 私たちは朝食を済ませると、早速アンジーたちが白魔法の特訓をしている海岸へと向かった。

「おはようございます!イライザ様、パトリック殿下!」

私たちの姿に気づいたアンジーが笑顔で駆け寄ってきた。後ろにはリアムもいて、パトリックに向かって敬礼をしている。

「おはようございます、アンジーさん。特訓の成果はいかがですか?」

「はい!こちらが昨日見つけた白亜石です!千百個あります。それから、こちらが本日見つけたものです。ええと数は…」

「三百とちょっとあります」

 アンジーの報告を、リアムが補う。

「もう三百も見つけたのですね!素晴らしいですわ」

 穏やかに見つめ合う二人を見て、私はほっとした。今日は短時間でもうこれだけ見つけているところを見ると、どうやら二人の絆は昨日の特訓の間にかなり深まり、愛の力もだいぶアップしているようだ。

「この調子なら、明日は問題なさそうだね」

「明日…ですか?」

 パトリックの言葉に、アンジーが首を傾げた。

「そう。アンジー嬢には、明日のフェスティバル閉会式で白魔法を披露してもらうよ」

「えぇ!?」

 驚きすぎてちょっとよろけたアンジーを、リアムがすかさず支える。

「大丈夫か?」

「は、はい。ありがとうございます、リアム様」

 恥ずかしそうに頬を染めるアンジー。さすがヒロインといった可憐さだ。明らかに関係が深まった様子の二人は、何だか見ているこっちまで照れてしまう。そういえば、サマーフェスティバルのイベントでは、花火の下でキスっていうスチルもあったな…。ということは…?

「パトリック様、白魔法を披露するというのは…?」

 私が内心にやにやしていると、リアムがアンジーを支えたまま、パトリックに聞いた。

「うん、リアムの家の事情を小耳に挟んでしまってね。僕の愛しい婚約者が心配しているんだ。それで、早くアンジー嬢が国家魔道士に認定されれば、問題は解決するんじゃないかと思って。せっかく魔法省大臣もこのフェスティバルに来ていることだし、明日皆の前でアンジー嬢の白魔法を披露して、大臣に評価してもらおうということになったんだ」


 にこにこと語るパトリックを、アンジーとリアムが顔を強張らせて見つめている。そうだよね、突然そんな事態になったら驚くよね。でも、ここは二人の今後のために、頑張ってもらわなきゃいけないところだ。

「今日もお二人で特訓を続ければ、白魔法の実力は必ず上がるはずです。絶対に明日、国家魔道士の認定を受けられるよう、頑張りましょう」

 背中を押す私の言葉に、アンジーが覚悟を決めたように頷いた。

「はい!私、頑張ります!リアム様、どうか今日も一日、一緒にいてください」

「もちろんだ。アンジーは俺が支える。一緒に頑張ろう」

「ありがとうございます!」

 うん、もうこの二人は大丈夫。これなら今日中にまた、愛の力でかなりのレベルアップが期待できそうだ。

「では、今日の分の白亜石千個を見つけ終わったら、白魔法”愛の光”を練習してください。明日は皆さんの前で”愛の光”を披露していただきます」

 ”愛の光”は、ゲームでアンジーが国家魔道士に認定された時に披露した白魔法だ。癒しの術のひとつで、広範囲に効果を発揮することができる。ゲームで披露したのは学園だったけど、サマーフェスティバルの会場で披露すれば、より多くの人の目に触れることになる。きらきらと聖なる白い光が降り注ぎ、その場にいた人たちが癒やされることになれば、国家魔道士に認定されるのは間違いないはず。

「”愛の光”をご存じなのですね」

 私が勝利を確信して心の中でガッツポーズをしていると、アンジーが驚きと尊敬の眼差しで私を見つめた。あ、白魔法の術は、あまり一般的には知られていないんだった!

「私もパトリック殿下の婚約者として、白魔法についても深く知識を身につけなければ、と思い、勉強しているのです」

 慌てているのが悟られないよう、さも当然のように笑顔で誤魔化す。

「さすがイライザ様です!私もイライザ様を見習って頑張ります!」

 ごめんね、ズルしてて。ゲームの知識があることに申し訳ない気持ちを隠しながら、私は頷いた。

「ええ。お互い頑張りましょうね」

「はい!」

 再び白亜石を探し始めたアンジーたちを残して、私たちは広場へと向かった。明日広場でアンジーが白魔法を披露する時に、より効果的に魔法を魅せる方法を考えるためだ。パトリックも私も、頑張っている二人が報われるように力を尽くそうと思っていた。

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