4.メンバー報告 北山 奏斗視点
あの日、スタジオで美緒が余命宣告を受けた事を知らせた時、俺の心臓が止まったかのようだった。いつも明るく、みんなを元気づけてくれる彼女が、そんな辛い現実を抱えているなんて信じられなかった。正直、どう反応していいかわからなかった。
「みんな、ありがとう。今日は大事な話があるの」
美緒の声が静かに響く。緊張感がスタジオを包み、俺は自然と背筋を伸ばした。何かが起こる、その予感が胸に重くのしかかった。
「実は、医者から余命宣告を受けたの」
その言葉を聞いた瞬間、周囲の音が消えた。美緒の言葉だけが耳に残り、現実を受け入れることができなかった。
「どういうことなんだ?」
口から出たのは、自分の驚きと混乱を隠そうとした言葉。彼女の言葉を受け入れたくなかった。周りの仲間たちも動揺しているのが見て取れる。
「病気で、残された時間が限られているの。でも、だからこそ、武道館でライブをしたいと思っている」
彼女の決意を聞いて、俺の心は複雑な思いでいっぱいになった。しかし彼女が最後の瞬間まで夢を追い続けたいというその姿勢に、何か胸が熱くなった。
「美緒、俺たちがいるから心配すんな。絶対に成功させるから」
言葉には自信を込めたつもりだったが、心の中では不安が渦巻いていた。この状況で本当に成功できるのか?でも、彼女の笑顔が見たい。そのためには、全力を尽くさなければならない。ふと、彼女との出会いを思い出した。