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メス豚とファンシーなラット

作者: いぬうなぎ

社畜OLとペットのファンシーラットの日常が突然崩れ去る微ファンタジー。

「おいっ」「へ?」「ここから出せメス豚ー!」


ペットショップで一目惚れしたファンシーラットのまるちゃん(♂)をお迎えしてから丁度一年目の記念日。普段飲まないお酒を飲み、まるちゃんにはお祝いにちょっと良いナッツをあげた。私は幸せ者だ。まるちゃんが家にいてくれる。まるちゃんと一緒にご飯を食べてテレビを観て寝る。それだけで毎日の仕事を頑張れる。山積みの仕事、人間関係etc…アパートの外は面倒で嫌で大変で…それでいてつまらない。

だがどうだろうか。鍵を開けて一歩部屋に足を踏み入れた瞬間、カシャーンというケージを叩く金属音。こちらを見つめるクリクリの御目々。目と目が合った瞬間疲れは吹き飛んでいく。まるちゃんがいるだけで私は幸せなのだ。

ー夜も更けた。明日も仕事が山積みだ。「まるちゃん、そろそろ寝よっか」ーおやすみー電気を消そうとしたその時、某目玉のオヤジさんのような高めの声で彼は叫んだ。「オイッ」「へ?」「ここから出せメス豚ー!」幻聴だろうか。普段飲まないお酒をのみすぎた?否。ハッキリと彼の口から出た言葉だった。

ー突然喋りだしたかと思えばメス豚呼ばわり。なんて…なんて可愛いんでしょう。腰を抜かしそうになったが取り敢えずケージから出ていただくことにしよう。ヨチヨチ二足歩行。さっきまで四足歩行がデフォルトだったはずの彼の後ろ足はプルプルと震えていた。可愛い。可愛いがすぎる。その御姿に見とれていると彼は「フウ…」と大きな(小さいのだが)ため息をついて話し始めた。「オイッメス豚ぁーお前にとって俺はなんだ?」「癒しであります!」数秒の間を置いた後、ほぉ…と不服そうな顔……意志疎通できるようになって何となく表情もわかりやすい。気がする。「癒しを与える俺の部屋がこんなちっちゃいケージはアカンのちゃうかなぁ?」唐突の関西弁。可愛い。「どうすればいいですか?」彼はチッ…と舌打ちし「これからは俺様も貴様等同様自由に生活させてもらう」無論だ。意志疎通を図れる知能もどうやら高いらしい彼をケージに入れておく必要は無いだろう。生活スタイルはこれから変わっていくだろうが私の彼に対する気持ちは変わらない。私はこれからも彼の下僕として幸せに生きていこう。「今日からは一緒に寝てやってもいいぞ感謝しろよな!」


私は限界だと思った。

以前飼っていたペットのファンシーラット。勝手にアフレコしながら毎日過ごしていました。「それよこせ!」と言わんばかりにケージの隙間から手を伸ばす姿は癒しであり、下僕の私はすぐにどうぞと渡していた思い出。こんな風に喋りだしたら嬉しいなと思いながら書いてみました。 拙い文章ではありますが、もし誰か一人にでも読んでいただくことができれば幸いです。

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