亜人の襲撃
俺とオーリアとルビーの3人が、インビジブルのスキルを手に入れた。
しかも、俺とルビーは、精神干渉を持っている。インビジブルで姿を消して近づいて、相手に気付かれないうちに精神干渉を掛けてしまえば、砦に無理なく潜入出来そうだ。
もっとも、精神干渉は、それほど万能ではない。相手がこちらに対して警戒心を持っていると、掛かりにくい。だから、相手がこちらに気が付かないうちに、精神干渉を掛けてしまうのが、このスキルを使うコツのようだ。
森の中でインビジブルを探している間に、いろいろな魔物を狩った。
既に知っている魔物はグレートスネークとジャイアントランディエンゴだけで、後はこの森で初めての魔物ばかりだった。
バロンウルフ、サンダーファング、クロームベア、キラービー、フライングワーム、メタルサソリ、マッドボア、レッドエイプ
魔物の名前が分かっているのは、それぞれの魔石を食べているからだ。
いずれも初心者冒険者ならひとたまりもなかったり、手こずったりする魔物だが、今の俺達にとっては脅威ではない。これらの魔石を食べて、俺とオーリアとルビーは、スキルが増えた。
亜人の夜襲を受けたのは、インビジブルの狩りを終えて、明日は引き上げようと決めた夜のことだ。森に入った当初の緊張感が薄れ、かなり油断していた。
夜は、2人用のテントを並べ、俺とルビー、オーリアとクレラインに分かれてテントに入った。
周囲にはゴーレム4体と、アレックスとバードも配置して、なおかつ、霧魔法で10メートル四方を覆っていた。
最初、地響きに気が付いた。
「起きろ」とルビーに声を掛け、俺は慌ててテントを出る。気配察知で探るとまだ100メートル以上あるが囲まれていた。いや、俺達に向かって、周囲から殺到してきている。
「全員テントから出ろ。退避だ」と叫ぶ。
3人がテントから転がり出て来たので、
「樹の上に逃げるぞ。早く登れ」と命令する。緊急避難が出来るように、大木の根元にテントを張っていたのだ。
3人が樹に登り始めたのを確認すると俺も樹に登った。異世界の大木だけあって、幹の太さだけで10メートル以上あり、高さは200メートルを超える。アレックスとバートも樹に登らせる。樹の根元には、置き去りにしたテントと4体のゴーレムを残すだけになった。
俺達が、50メートル程の高さに登った頃に、先頭の奴らが森の中から飛び出してきて、残しておいたゴーレムに飛び掛かった。2メートルを超えるゴーレムの倍もある巨人がゴーレムを叩き潰した。
土ゴーレムには相性が悪い魔物だ。
俺は、インビジブルで姿を隠して、霧魔法で周囲を覆いつつ、火炎ゴーレムを10体ほど巨人たちに間に出現させた。同時に数十のファントムファイアを一帯に浮かべて囮にした。その後、火炎ゴーレムからファイアボールを撃ちまくった。
襲ってきた巨人達は火炎ゴーレムに殴り掛かったり、ファントムファイアを殴ったりしている。
しかし、ファントムファイアの数が足らず、キョロキョロと敵を探している巨人もかなりいる。これでは、すぐに俺達に気が付く奴が現れるだろうと焦っていると、いきなりファントムファイアが増えた。数百を超えるファントムファイアが一帯を埋め尽くした。
ルージュの仕業だ。ルージュの操るファントムファイアは、ただの幻の火ではない。ルージュに操られる呪いの効果を持っている。そのため、ファントムファイアに殴りかかった巨人は、混乱して、一番近くの味方に襲い掛かり、すぐに巨人達の同士討ちが始まった。
『ルージュ、助かった』と念話を送っておく。
暫らく見ていたが、巨人は不死身のようで、同士討ちをしても倒れない。つまり数が減らない。
超音波で、三半規管の破壊を狙うが、ダメージを受けた様子を見せるのは一瞬だけで、直ぐに何事も無かったかのように同士討ちを始める。驚異の再生力で再生しているようだ。
仕方がないので、隠れていることがバレてしまうが、衝撃波魔法を撃つ。ドーン、ドーンと激しい音を立てて巨人を跳ね飛ばしていき、隙間が空いた地面に降り立ち、ゼネラルソードで巨人の首を斬り落としていく。その間にも、後ろや横から殴り掛かられるが、混乱している状態での攻撃は精彩を欠いているので、躱すことが出来る。
こうして、一晩中、攻撃を躱しながら首を斬り落とし続けて、空が明るくなった頃にやっと全滅させた。
倒した巨人の中に、ひときわ体の大きい個体がいた。おそらく上位種だ。
その個体の魔石をオーリアが取り出してきてくれた。
本来なら、オーリアかルビーに食べさせて、進化させた方がいいのだが、俺の強化が優先だというオーリアの言い分に負けて、俺が食べた。
上位種といっても、俺がさらに進化するほどの上位種ではなかったようだが、ステータスを確認するのは後回しだ。
ルビーやオーリアも、死骸から魔石を採り出して食べており、魔石を取り込めないクレラインだけが、せっせと魔石を集めてくれている。
あまり長くここに留まっていると、血の臭いで他の魔物が集まってくるので、俺も、踏み潰されたテントの残骸と毛布などの持ち物を回収するのを手伝い、急いでその場を去った。
かなり離れたところまで避難して、ステータスを確認する。
名前 ダブリン
種族 人間
性別 男
年齢 8
ジョブ 捕食者6→7(魔物を捕食する者)、進化者7(魔石によって進化する者)
筋力 A+→A++
耐久 B→B+
俊敏 B+→B++
魔力 B+→B++
抵抗 C-→C
固有スキル スキルドレイン(接触時) 魔石進化(魔石吸収時) 魔力ドレイン(接触時)
スキル
武器系
両刀術1、大剣術6→9、剣術10、短剣術2、棍棒術3、斧術1、槍術1、暗器術1、盾術2、投擲2、強打2→4、強襲2→4、鎧袖一触3→4、破城斬1、弓術5、回転斬り1、飛斬1、3点突き1、大盾術1
格闘・身体系
無双2、瞬動4→6、回避4→6、格闘1、喧嘩1、噛み付き4、跳躍2→4、突進1→3、逃げ足1→3、蹴り1、踏みつけ1、頭突き2、後ろ回し蹴り1、あびせ蹴り1、空中回転1、スリップ1、バックステップ1→3、サイドステップ1→3、縮地1、木登り1、枝渡り1、体当たり1
能力上昇系
怪力7→9、剛力5→7、敏捷4→6、身体強化7→9、皮膚硬化5、頑丈5、金剛1、聴覚強化3→5、夜目5→7、俊足2→4、長駆1、無呼吸耐性5→8、潜水5、強靭身体1→2、生命力1→3、皮膚筋肉硬化2
技能系
航海術1、操舟1、穴掘り1、陶芸1、目利き1、錬金術1、薬草採取1、酒造1、鉱物精錬1、鍛冶1、木工1、調理1、裁縫1、織物1、彫金1、交渉術1、暗算1
隠蔽系
隠密2、隠蔽3、目くらまし1、騙し討ち1、裏切り1、詐欺1、誘拐1、横走り1、岩這い3、インビジブル1、待ち伏せ1
探査系
気配察知8→10、魔力探知3、聞き耳1、方向知覚1、熱感知5→7、超音波4→5、警戒1
魔法系
風魔法10→11、音魔法9→11、土魔法6、火魔法8→9、水魔法7、闇魔法4、魔力回復3、雷撃魔法1、閃光1、闇弾1、雷撃1、
支援系
気力譲渡1
召喚系
ゼネラルアーマー召喚、ゼネラルソード召喚、眷属召喚1、オーク召喚2、スタンジー召喚1
支配系
統率3、眷属強化1、仲間呼び1、魔物テイム1、獣テイム1、精神干渉1→2、ノーボディ1、威圧1→3、脅し1、フィア1、束縛1
精神制御系
マインドブロック2、精神統一3
同調系
以心伝心2
耐性系
異常耐性1、毒耐性1、酒豪1、熱耐性1
呪い系
バインドワード1、ファントムファイア1→2、魔法阻害1、ファントムウォーター3、呪い無効、カース1、セイントファイア1
調剤系
操毒1、毒薬調合1、調剤1、調薬1
回復系
再生1、癒し1、起死回生1、ブラッドスライム5、超再生2
その他
鑑定2、無敵1、天賦の才1、悪食4→5、成長加速1、床上手1
魔物スキル(使えない)
飛行1、羽刃1、嘴攻撃1、鉤爪1、狼爪斬1、遠吠え1、雄叫び1、繁殖力1、陸上呼吸1、ハサミ撃ち1、脱皮1、多足1、巻き付き1、毒牙1、雲霞1、擬態1、刺突舌1、咆哮1、風斬爪1、毒針1、羽音1、鉄鎧1、創毒1、毒牙、悪臭1
称号
ゴブリンの捕食者
(ゴブリンに対しての攻撃が防御無視になる。コブリンからの攻撃はダメージが半減する)
将軍
(眷属を統べる)
インビジブルの捕食者
(相手のインビジブルを無効に出来る)
魔石を食べたことで、この魔物がスタンジーという名前だと分かる。
100体近い亜人を倒したのと、上位種の亜人の魔石を食べたことで、ステータスのパラメータが軒並み上がり、戦闘用のスキルの熟練度もかなり上がっている。
スタンジー召喚1を得たのは、上位種が下位種の召還スキルを持っていたからだろう。
新しいスキルとしては、超再生2、皮膚筋肉硬化2、以心伝心2を得ていた。
これらのスキルの熟練度が1ではなく2になっているのは、ドレインしたからではなく、上位種の魔石からスキルを吸収したからだろう。
この中で、超再生が2からスタートできたのは、今後に向けて大きなアドバンテージになるだろう。以心伝心は、集団での行動を最適化できるスキルだ。
オーリアとルビーも、下位種の魔石から、超再生1、皮膚筋肉硬化1、以心伝心1のスキルを得ていた。
スタンジーという巨人型魔物の上位種の魔石を食べたことで、俺自身を強化するという当初の目的は果たせた。その上、インビジブルという、隠密行動に欠かせないスキルも手に入れたので、もうここで時間をかける必要が無くなり、当初の目的である鉱山の調査に向かうことにした。
他の3人のステータスはこんな感じだ。
名前 オーリア
種族 人間(ゴブリン化中断)
性別 女
年齢 23
ジョブ アサシン
眷属固有スキル 魔石進化(魔石吸収時)
筋力 D→D+
耐久 D-→D
俊敏 B--→B-
魔力 E+→E++
抵抗 E++→D--
スキル
武器系 短剣術12→13、暗器術9→10、投擲1
格闘・身体系 突進1、体当たり1、跳躍1
能力上昇系 敏捷8→10、強靭身体1、生命力1、夜目1、皮膚筋肉硬化1、
隠蔽系 隠密8→10、岩這い1
探査系 気配察知8→10、熱感知1
魔法系 雷撃1
精神制御系 マインドブロック3
同調系 支配系以心伝心1
耐性系 毒耐性1
調剤系 操毒6、
回復系 超再生1、
その他 床上手7、悪食1
魔物スキル(使えない) 毒牙1、遠吠え1、狼爪1、毒針1、羽音1、咆哮1、風斬爪1、鉄鎧1、創毒1、毒牙1、悪臭1、創毒1
状態 奴隷、ダブリンの眷属
名前 クレライン
種族 人間(ゴブリン化中断)
性別 女
年齢 21
ジョブ 剣士
筋力 C→C+
耐久 D-→D
俊敏 D-→D
魔力 F+→F++
抵抗 F++→E--
スキル
武器系 剣術13→14、短剣術5、盾術7→8
能力上昇系 身体強化5→7
精神制御系 マインドブロック2
その他 床上手6
状態 奴隷、ダブリンの眷属
名前 ルビー(+ルージュ)
種族 人間+怨霊スライム(侵食中32/100)
性別 女
年齢 21
職業 海賊
筋力 B+→B++
耐久 B-→B
俊敏 B+→B++
魔力 B-→B
抵抗 B--→B-
眷属固有スキル 精神干渉3、魔石進化(魔石吸収時)
スキル
武器系 剣術16(18)、短剣術15(19)、両刀術15(17)、投擲1,
格闘・身体系 体当たり1、跳躍1、突進1
能力上昇系 怪力7、敏捷11、潜水7、無呼吸耐性3、強靭身体1、生命力1、皮膚筋肉硬化1、夜目1
技能系 航海術5、操船4
隠蔽系 隠密4、岩這い1
探査系 気配察知8、熱感知1
魔法系 雷撃1
同調系 以心伝心1
耐性系 毒耐性1
回復系 超再生1
その他 悪食1
魔物スキル
毒牙1、遠吠え1、狼爪1、咆哮1、風斬爪1、毒針1、羽音1、鉄鎧1、創毒1、悪臭1、
状態 奴隷、呪い(沈黙、怨霊スライム化(侵食中32/100))、ダブリンの眷属
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《お詫び》
スキルの分類を少し変更しています。
ダブリンのスキルの場合
支配系
統率3、眷属強化1、仲間呼び1、魔物テイム1、獣テイム1、精神干渉1、ノーボディ1
精神制御系
マインドブロック2、警戒1、威圧1、脅し1、フィア1、精神統一1→3、束縛1
としていましたが、支配系は相手に対して作用するスキル、精神制御系は自身に対して作用するスキルとして分類することにして、
支配系
統率3、眷属強化1、仲間呼び1、魔物テイム1、獣テイム1、精神干渉1→2、ノーボディ1、威圧1→3、脅し1、フィア1、束縛1
精神制御系
マインドブロック2、精神統一3
としました。精神制御系に分類していた「威圧1→3、脅し1、フィア1、束縛1」を相手に対して作用するスキルとして、支配系に入れました。




