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眷属の進化

翌朝、テレナに言われたことを、オーリアに相談した。

「私が言うのもなんだけど、行き摺りの女を片っ端から助けていたら困ったことになると言っただろう。ちょうどいい機会だから、話をしようか。人に聞かれないところに行こう」と言って、オーリアは、俺を練兵場の片隅へ連れて行った。そして、

「ちょうど潮時かもしれないよ」と言う。

「潮時?」と聞き返すと

「ここで厄介になってるのがさ。そろそろ出た方がいいんじゃないかい」

「ここを出たいのか?」

「パティとアルミ、それとデュエットは問題ないんだけど、私とクレライン、それにルビーは、このままここにいるべきじゃないと思うんだ」

「何故だ?」

「私のステータスを見た方が早いな。見てみなよ」と言うので、オーリアのステータスを見た。


名前 オーリア

種族 人間(ゴブリン化中断)

性別 女

年齢 23

ジョブ アサシン

眷属固有スキル 魔石進化(魔石吸収時) 

筋力 D

耐久 D-

俊敏 B--

魔力 E+

抵抗 E++

スキル 短剣術12、暗器術9、操毒6、隠密8、敏捷8、気配察知8、マインドブロック3、床上手7、悪食1

状態 奴隷、ダブリンの眷属


ステータスが全体に上がっているのは、戦闘経験や訓練を積んできたから当然として、眷属固有スキルの『魔石進化(魔石吸収時)』とスキルの『悪食1』というのが現れていることに驚いた。

「あんたは魔石を食べて強くなってきただろう。その力が私にも宿ったのさ。だから、こんなところで安穏としていないで、もっと強い魔物の魔石を食べて、強くなりたいじゃないか」

「もっと魔石を食べるのか。それは俺も考えてはいる。しかし、これ以上魔石を食べると、俺自身が魔物になるんじゃないかという心配があってな。それで、最近は、魔石を食べるのを控えているんだ」

「それは分かっているよ。だけど、今度のことを解決するには、また魔石で強化する必要があるんじゃないかい。それに、私自身も、魔石を食べて自分自身を強化したいしさ」

「ここを出て、魔物を狩って暮らしたいのか?」

「そういうのもありかなって思ってるよ。それに、魔石で進化できることを人に知られたらヤバいだろう。あんたが進化して、子どもの身体から大人の身体に変化したのを私達は見ているけど、ここの騎士達は知らない。魔石で身体まで変化することを知られたら、大変なことになるよ。今は、私も進化する可能性が出てきたし」

「確かに、身体が変化したら具合が悪いな」

「できれば、ここを出て、もう戻って来ないのが一番なんだけどね」

「それは、テレナと別れろということか?」

「そこまでは言っていないさ。だけど、あんたの眷属になっている私とクレラインとルビーは、ここから出て、もう戻らない方がいいと思う。今回の件は、ちょうどいい機会になると思うのさ」

「そうか、俺の眷属になったら、そういうリスクを抱え込むんだな」

「責任を感じることはないよ。体の中に魔石が出来ちまった私とクレラインは、元々魔物になるリスクを抱えているんだ。あんたが魔力を吸ってくれているから人間でいられる。大いに感謝しているんだから」

俺は少し考えて、

「とりあえず、今回の調査を引き受けてみるか」


練兵場から部屋に戻ろうとすると、オーリアが嬉しそうに俺の横に並んで、俺の腕を脇に抱え込んで「一緒に行くのは、眷属だけでね」と囁いてきた。こんな風に感情を表すオーリアは珍しい。

部屋に戻ると、

「無性に魔石が食べたいんだけど、蝙蝠の魔物の魔石を持っていただろう。あれを食べさせてくれないかい?」とオーリア。

俺は、幾つか持っていた蝙蝠の魔物の魔石の1つを手渡した。

オーリアは、その小さな魔石を口に入れると、あっという間にかみ砕いて飲み干した。

「ぐぅ」魔石を食べ終わったオーリアは、少し苦し気に唸った。

「ふー、すこし苦しかったけど、もう大丈夫だ」

「見た目に変わったところはないな。スキルはどうだ?」と、オーリアのステータスを確認するとスキルに超音波1が増えていた。

「おお、超音波1が増えているぞ。これは結構便利なスキルだ。しかも、隠密行動が得意なオーリア向きだ」

「超音波か。目で見なくても、周囲が分かるスキルだな。確かに、これは私向きのスキルだな」

「ああ、見えない攻撃も出来るしな。魔石を食ってスキルを覚えられるなら、俺と同じだな。クレラインにも変化があったのか?」

「知らないけど、もう変化しているか、直に変化するか、どっちかだね」

「クレラインを呼んできてくれ」

オーリアがクレラインを連れて来たのでステータスを確認したが、戦闘経験や訓練でステータスが上がっている以外に変化はなかった。


名前 クレライン

種族 人間(ゴブリン化中断)

性別 女

年齢 21

ジョブ 剣士

筋力 C

耐久 D-

俊敏 D-

魔力 F+

抵抗 F++

スキル 剣術13、盾術7、短剣術5、身体強化5、マインドブロック3、床上手6

状態 奴隷、ダブリンの眷属


「そういえば、ルビーにも変化があるかも知れないわよ」とクレライン。

「最近のルビーは気配が変わった気がするね」とオーリアが頷く。

「ルビーを呼んで来てくれ」

ルビーが来たので、ステータスを確認する。


名前 ルビー(+ルージュ)

種族 人間+怨霊スライム(侵食中26/100)

性別 女

年齢 21

職業 海賊

筋力 B+

耐久 B-

俊敏 B+

魔力 B-

抵抗 B--

固有スキル 精神干渉3、魔石進化(魔石吸収時) 

スキル 剣術16(18)、短剣術15(19)、両刀術15(17)、隠密4、怪力7、敏捷11、気配察知8、航海術5、操船4、潜水7、無呼吸耐性3

状態 奴隷、呪い(沈黙、怨霊スライム化(侵食中26/100))

ダブリンの眷属


ステータスが全般的に上がっているのは訓練の成果だ。注目すべきは、『浸食中』が26%にまであがっていることと、オーリアと同じように『魔石進化(魔石吸収時)』が現れていることだ。

この浸食中がさらに進んだらどうなるのか?それも気になるが、今確認しないといけないのは魔石進化の方だ。

「ルビー、これを食べろ」といって、蝙蝠の魔物の魔石を渡すと、

「これは、魔石か?手から吸収出来ると思う」

そう言うとルビーは、無くなった右手を隠している手袋を外した。手袋の下から現れたのは薄い肌色をした義手だった。

ルビーは右腕を上げて、その手をゆっくりと閉じたり開いたりしてみせる。

「ご主人様が付けてくれたブラッドスライムの義手が、だんだん動かせるようになったきたんだ。骨も出来てきたみたいだし」と言いながら、その手で魔石を掴むと、魔石を握り込んで吸収した。

「ぐっ」

一瞬、苦し気な声を上げたが、

「少し苦しかったが、もう大丈夫だ。これで、いいか」と聞いてくるので、

「ちょっと待て」と言って、ステータスを確認すると、オーリアと同じように超音波1が増えていた。

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