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ルビー(∔ルージュ)

ルージュとオーリアから、ルビーを影にしろと言われたが、頭と目の周りの刺青を隠さなければ、何もできない。

そこでルージュに、『ルビーの頭と顔を覆ってくれ』と頼むと、ルビーの頭と顔が肌色の薄い膜で覆われて、刺青が見えなくなった。

ルビーの顔立ちを確認すると、日に焼けた浅黒い肌が、色白に変わり、スッと伸びた鼻筋だったのが、鼻の上部が高くなったかぎ鼻に変わっている。また、唇が分厚く大きくなり、唇の左下に、やや目立つホクロがつくられている。全てルージュの偽装で、かぎ鼻とホクロが印象的で、元の仲間に見られても見破られることはないだろう。

頭部は、今のところスキンヘッドだが、髪はそのうちに伸びてくるので問題は無い。


今のルビーのステータスは、


名前 ルビー

種族 人間

性別 女

年齢 21

ジョブ 海賊


筋力 B-

耐久 C++

俊敏 B+

魔力 C++

抵抗 C+


スキル 剣術7→13(18)、短剣術7→13(19)、(両刀術17)、隠密3、怪力6、敏捷9、気配察知7、航海術5、操船4、潜水7、無呼吸耐性2


状態 奴隷、呪い(沈黙)、欠損(右手首)、ダブリンの眷属


剣術と短剣術の熟練度が急激に回復している。右手首が無いことに慣れてきただけで、ここまで上がった。もっと慣れてくれば、まだ上がりそうだ。


次の日の朝、テレナは、10名の騎士を連れて、第3騎士団本部を出発した。

小規模な部隊だけに、出立式は簡潔だったようだ。

俺達は騎士団とは無関係な一般人なので、見送りには参加できず、自分達のスイートで、ひっそりと式典が終わるのを待った。

これから2週間、夜の営みに騎士達が参加しなくなったことで、女達がほっとしている。

「やっぱり、気を使っていたわね」とパティ。

「ヴィエラとアリシアがこの部屋にいるのは厳しかったわ」とクレライン。

「そんなことを口にして大丈夫なの?」とデュエット。

ここで俺が口を開く

「騎士団の10名が、2週間帰って来ないので、その間、今までのように、騎士団に頼りっぱなしでは済まなくなった。俺達自身の安全は、俺達自身でも守らないといけなくなった」

「アンデオンの闇ギルドとかいう奴かい?」とルビー。

「そうだ。4人殺したが、まだ殺し屋が残っている。そいつらがどんな攻撃をしてくるか分からないから、まずは、その対策を立てないといけない」

「どんな対策を立てるの?私は、役に立ちそうにないわよ」とデュエットが不安そうに口を挟む。

「まず、パティとアルミは、このまま陶芸を続けてくれたらいいが、クレラインとオーリアとデュエットの3人も一緒にいてくれ。そして、何処に行くにも5人で行動してくれ。それと、この屋敷からは出ないでくれ。前庭にも近づかないこと。これが一つ目の対策だ。俺とルビーは、暫く一緒に行動する。やることがいろいろあるから、詮索しないでくれ」

「「「「分かったわ」」」」


この日の午後、俺はロープで顔を隠したルビーを連れて街に出た。

今、ルビーの右手首には手袋を着けて、右手が無いのを誤魔化している。


俺達が、街に出てきた目的は、4つある。

1つ目は、アンデオンの殺し屋が騎士団本部を見張っていた場合、俺達を囮にして釣り出すことだ。

2つ目は、ルビーの右腕に装着する手甲爪を買うことだ。この世界では、指を無くしたり、手を怪我して、武器を持てなくなった者は、腕に武器を装着して冒険者を続けることが多いので、そういった武器は豊富にある。

そこで、武器屋に行き、ルビーの右腕に装着するタイプの手甲爪が付いたガントレットを買った。

先日のエルトローレまでの調査で、テレナから金貨100枚の報酬を貰っているので、資金に問題はない。

店の中でガントレットと手甲爪を装着してやると、ルビーが「毎日、これを頼んでいいか?」と聞いてくるので

「何をだ?」と聞き返すと、

「こうして、装備を着けてもらっていると、幸せな気分になる」と顔をそむけながら言う。無法者のくせに、乙女なところがある不思議な女だ。

3つ目の目的は、スキル集めだ。

ルージュスライムの固有スキルとして、俺と同じ、スキルドレインと進化スキルが現れていた。

俺がスキルをドレインするには、相手に触れなければならない。その為、人間からスキルをドレインする機会は限られていた。

ところが、ルージュスライムがスキルドレインを得たので、ルージュスライムの欠片を、街のいろいろなところにバラ撒いて、スキルを集めようと考えたのだ。

実際に、武器屋を出るときに、店の入り口の取っ手に、ルージュの断片を貼り付けてきた。

4つ目の目的は、魔石集めだ。

数件の道具屋を回り、いくつかの魔石を買ったが、上位種の魔石は見つからなかった。買った魔石は、ゴブリン、オーク、フォレストウルフ、キラービー、ウォーターリザード、サンドスネーク、岩ムカデの魔石が1つずつ。どれも下位種の魔石なので、効果はあまり期待できないが、出費としては金貨2枚程だったので、成果が無くても問題はない。

そして、道具屋を出るときにも、店の入り口の取っ手に、ルージュの断片を貼り付けてきた。


今日は、宿舎には戻らず、ルビーと一緒に宿屋で2人部屋を取った。

宿屋に泊まったのは、ルージュスライムの欠片を食堂にバラまくためだが、ルビーは、「2人だけでやるめに出てきたのかい」と喜んでいる。

部屋に入ってすぐ、ルージュスライムに、買った魔石を吸収させたが、変化は無かった。まっ、これは予想通りだ。ただ、魔石を吸収した分、ルージュスライムの体積が増えた。

夕食を食べた後、

「裏庭で、手甲爪の試運転も兼ねて、少し打ち合うか」と誘う。

裏庭に出て、ルビーは、暫く右腕を動かして、動きを確認していたが、

「これで斬り込んでもいいか?」と聞いてきたので、

俺は「いつでもいいぞ」と答えて、剣を構える。

まず、ルビーは左手の短剣で斬り込んだ後、すかさず、右の手甲爪を斜めに振り下ろしてくる。しかし、動きがぎこちないので、簡単に躱すことが出来る。

しかし、左の剣捌きは鋭いので、それを避けることが出来ずに1本取られてしまった。

「うむ、思ったより難しいな」とルビー。

その後、何度も打ち合いをしていると、急に動きが滑らかになってきて、手甲爪の攻撃を躱すことが出来なくなった。

ルビーのスキルを確認すると、両刀術11(17)になっていた。


その夜、眠りについたルビーはうなされていた。

揺り起こすと、怖い夢を見たと言っては、直ぐに寝てしまう。そして、また、うなされる。

そんなことを繰り返したので、俺もあまり寝ていないまま、夜明けを迎えた。


『ルージュ、ルビーが眠っているときにうなされていたけど、呪っていないか?』と聞くと

『ルビーのステータスを確認してみなよ』と言うので確認してみると


名前 ルビー(+ルージュ)

種族 人間+怨霊スライム(侵食中17/100)

性別 女

年齢 21

職業 海賊


筋力 B-

耐久 C++

俊敏 B+

魔力 C++

抵抗 C+


固有スキル 精神干渉1

スキル 剣術13(18)、短剣術13(19)、両刀術11(17)、隠密3、怪力6、敏捷9、気配察知7、航海術5、操船4、潜水7、無呼吸耐性2


状態 奴隷、呪い(沈黙、怨霊スライム化(侵食中17/100))

ダブリンの眷属


『ルージュ、これはどういうことだ』

『私にも分からないよ』

『名前が勝手にルビー(+ルージュ)に変わっているじゃないか。それに、怨霊スライム化の侵食中ってなんだ?100分の17って、それだけ侵食されたということか?』

『多分、ルビーと私は部分的に合体したんじゃないかな』

『ルビーとルージュが合体した?それでルビー(+ルージュ)に変わったのか?ということは、こっちのルージュは、お前とは別のルージュか?』

『あんたのブラッドスライムと同じさ。分裂しても、意識は一つだよ』

『それじゃあ、ルビーにくっついた方のルージュは、まだ、お前の支配下にあるのか?』

『あると言えば、あるね。ただし、ルビーの体の一部になってしまったから、もう私の自由にはならない。だけど、ルビーの体が感じていることは伝わってくるし、ルビーにくっついた方の私を通じて、ルビーと話が出来るよ』

『ルビーはどうなるんだ?』

『私に聞くなって。私にだって分からないんだから。ただ、私と合体したことで呪われたのは確かだ』

『教会に行って呪いを解いてもらうか?』

『やめておいた方がいいよ』

『何故だ?』

『今の状態の方が強くなるだろうからさ』

『この呪いを放っておいたらどうなる?』

『ルビーと私の合体が進むだろうね。名前が、もう、ルビー(+ルージュ)になっているしね』

『合体が進んだら、どうなる?』

『呪う力を持った生者になるんじゃないかな』

『呪う力を持った生者?』

『呪いは、命と引き換えだからね。生者には扱えない。それが扱えるようになると考えたら、とんでもない存在になるよ』

よく分からない説明だった。

『ところで、精神干渉っていう固有スキルが現れているけど、これは何だ?何故、現れた?』

『スキルの効果は分かるけど、なぜ現れたかは分からない。しかし、強力なスキルだからいいじゃないか。あんたもドレインしときなよ』

『分かった』



★★★ 重要なお知らせ ★★★

この続きは、

明日土曜日の20:00頃にアップしたいと思います。

次回の更新で、第1章は終了となります。


第2章については、構想がカタチになるまで、

連載を休憩いたします。

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