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床祝い

パティのところへ行こうとすると、素顔のままのテレナリーサが、自分の腕を俺の腕に絡ませて付いて来た。手が恋人繋ぎになっているぞ。

俺がパティの寝ている部屋に入る前に、手を繋いでいることを気にすると、

「大丈夫。パティとは話をした。クレラインとオーリアとも。皆、私を歓迎してくれるって」

『歓迎?女同士で、先な話をしていたのか?』とドアの前でぐずぐずしていると、ドアが開いて、クレラインに中に引き込まれた。


「ダブが、助けてくれたのね]

パティがベッドから上半身を起こしながら言う。

「もう、起きてもいいのか?」と気遣うと、

「心配かけちゃったわね。でも、もう大丈夫みたい」とパティ。

「良かった」と言って、俺はパティのベッドまで行って腰を下ろそうとしたが、テレナがそのままくっ付いてくる。

俺がどうしようかと躊躇っていると、

「テレナさんから聞いたわよ。遂に、テレナさんを落としたんだってね。大金星よ」とパティが言うので、

「怒らないのか?」と恐る恐る聞くと、

「何故、怒るの?変なことを言うんだね。女にとっちゃ、自分の男が、どれだけ多くの女に囲まれているかが自慢になるんだよ。だから、テレナさんが、私達のサークルに入ってくるのは大歓迎だよ。何といっても、貴族様だしさ」とパティは、上機嫌だ。

「サークルって何だ?」と聞くと、4人とも変な顔をする。

「あんたは、会った時からおかしかったけど、やっぱりおかしいね」とオーリアがズケズケと言う。

「俺が、おかしいか?」

「そうだね。常識を知らなさ過ぎるからね」とクレラインまでが同調する。

「サークルというのは、1人の男を中心にした女の輪だよ。同じサークルの女は、正妻と妾の差はあっても、対等に話が出来て、サークルの誰かが子供を産んだら、サークルの皆で育てる。子育てや家の中のことは、同じサークルの女達が、相談して決める。サークルの子供達は皆、父親が同じだから、大人になるとサークルの家臣団になって、サークルを支える。今の貴族も、そういったサークルの家臣団から成り上がった者が多いのさ」

「家督は、誰が継ぐんだ?サークルの中で話し合うのか?」

「家督は、実力のある者が継ぐのさ。でないと、家が滅ぶからね」

「あんたの場合、今まで、正式な女はパティさん1人しか居なかったから、サークルはなかったけど、テレナさんが加わるから、これからサークルになる」とオーリアが説明する。

「ちょっと待て、オーリア達はサークルに入ってないのか?」

「私達は、奴隷だから、妾扱いだよ。サークルの一員として数えることは数えるけど、サークルには正妻が2人以上居ないといけないからね。だから、その辺の平民が妾を何人抱えていても、サークルとは呼ばない、パティさんとテレナさんみたいに、正式な妻が2人以上が条件だ。だから、出世したい男は、正妻を、出来るだけ増やすのさ」

「多い方がいいと言っても、女があんまり多いと、男の稼ぎが足りなくなったら、どうするんだ?」

「女をたくさん持つということは、それだけ経済力があるということでもあるんだよ」

「貴族だけの話しじゃないのか?」

「平民の男でも、偶に、サークルを持っている奴はいるよ」


「立って話していないで、ここに座ってよ」とパティが、自分の寝ているベッドの空いているところを叩く。

俺が座ると、当然のような顔をしてテレナが俺の横に座る。

「船で、どんなことがあったか、聞かせてよ」とパティ。

「話をするより見てもらった方が早いな、ルージュ、出て来てくれ」と、ルージュを呼ぶ。


ルージュは、俺の襟元から飛び出すと、空中で人の姿になって床に着地した。

血の色をしていたルージュは、破眼の儀式石を吸収して色が白くなり、大きさも40センチぐらいの身長になっている。小さくても、美人で、胸も大きい。ただ、真っ裸だ。

「「「「これは?誰?人?魔物?」」」」

全員が同じように驚く。

「私はルージュだ。昨日、蘇った」

「前に、俺が呪われたことがあっただろう。あの呪いを掛けた張本人だ」

「あの呪いは教会で解いてもらったじゃないのか?」と、教会に付き添ってくれたクレラインが訝しむ。

「あの儀式で、呪いは消えたが、同時に、俺に憑依したそうだ」

「それじゃ怨霊じゃないか」と全員が身を引く。

「今は味方だ。パティの呪いを解いてくれたのも、このルージュだ」と言うと、全員が怪訝な顔をするので、ルージュが、俺に憑依していたこと。俺のブラッドスライムに憑依させる代わりに、手を貸してもらう約束をしたこと。囚人船の上で、アンデッド達と、取引して、パティの呪いを解いてくれたことなどを説明した。


「ふ~ん、それじゃ今は怨霊じやないんだね。まあ、この男と一緒にいると、妙なことばかり起きるから、そんなことがあってもおかしくはないか。本当に退屈させない男だよ、あんたは」とオーリア。

『それって、褒めてないだろう』と、内心で突っ込んでいると、

「それで、パティさんとの結婚式はいつにするんだ?」とクレライン。

「私との結婚式は、この騒動が終わらないと無理よ。アンデオンの闇ギルドは、また、殺し屋を送ってくるかもしれないし。もし、子供が生まれて、その子が攫われたりしたら耐えられないわ」とパティ。

アンデオンの闇ギルドのヘルファイブのうち、4人は倒したのだろうが、未だ、残りの1人と、誰だか分からない黒幕がいる。

「じゃあ、テレナさんとは?貴族と平民だから、結婚式は挙げずに、ここで一緒に暮らすという形で落ち着くのか?」とクレラインが聞くと、テレナが頷いている。

そして、逆に、

「貴方達はどうなの?」とテレナリーサがクレライン達に聞き返す。

「私とオーリアは終身奴隷なのよ。ダブに助けられたから一緒にいるけど、結婚式は挙げられない身の上だからね」


「結婚式の話は置いておいて、今日は、あれをしないといけない」とパティ。

「あれってなんだ?」と聞くと、

「テレナさんは生娘なんだろう、だったら、私たちも手伝うから、さっさと初夜の床祝いを済ましちゃおう」

「初夜の床祝い?」

また、知らないこの世界の慣習が出て来た。

「さっ、2人とも、早く服を脱いで」

と、クレラインとオーリア、それにパティまで加わって、俺とテレナリーサの服を脱がしていく。

そして、俺たちをベッドに追いやると、自分達も服を脱いで、ベッドに入って来た。

「生娘との初夜は、サークルの女達も一緒にベッドに入るのさ。何故、知らないんだい?」とパティ。

こうして、テレナとの初めては、他の3人の女に手取り、足取りされながら、迎えることになった。

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― 新着の感想 ―
床祝、素晴らしい習慣だがちょっと恥ずかしいね
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