表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
158/158

カグリア冒険者ギルド

俺とアンテローヌ、アウロラ、オーリアの4人で冒険者ギルドに向かった。

受付を素通りして2階に上がるが、職員達は止めようともしない。アンテローヌの家名に怯え、アウロラは強者の雰囲気に圧倒されているのだ。

2階のギルドマスターの部屋の前まで来ると、アウロラはノックもせずにドアを押し開けた。

「何だノックもせずに」とギルドマスターが声を上げたが、アンテローヌが進み出て、懐から書状を取り出して、

「あなたをギルドマスターから解任します」と告げた。

「何を寝言を言っていやがる。俺を解任できるのは、辺境伯様だけだ」

「ロデリア辺境伯は、謀反人として、こちらの辺護騎士様が打ち取った。同時に、このロデリア領は、女王陛下が直々に辺護騎士様に賜られた。故に、この領内のギルドマスターの任命権は、こちらの辺護騎士様にある。その辺護騎士様が、ロデリア領内の全ギルドマスターを解任した。それがこのお触れ書きだ。しかと読め」

アンテローヌは、ギルドマスターの机に近寄って、手にしていた書状を叩きつけた。

ギルドマスターは、慌てて書状を広げて読みむと、顔を真っ赤にしながら

「こんな書類が何だ」と言いながら破り捨てた。

「命令が聞けぬというのか?なら仕方がない」

アンテローヌの言葉が終わらないうちに、ギルドマスターの首が宙を舞った。

アンテローヌの後に控えていたはずのアウロラが、いつの間にか前に出て槍の穂先でギルドマスターの首を刎ねていた。

「反抗的な奴をのさばらしておくと、後が面倒だ」

アウロラはそう言うと、斬り落としたギルドマスターの首を左手にぶら下げて、部屋を出て階段を降りて行った。


ギルド職員の視点


高価そうな鎧を着た見るからに上位貴族の女騎士が、猛々しい雰囲気をまとった巨大な女戦士と、特徴のない男女の戦士を連れてギルドに入って来た。

今、冒険者ギルドには、あまり人がいない。腕の立つ冒険者達は、先だって旧領主であるロデリア辺境伯爵様が、全て連れて行って、彼らは戻ってきていない。恐らく、戦死したのだろう。

今、ギルドに残っている者は、よくて中堅どころだ。彼らは、上位貴族の威光と女戦士の闘気にあてられて固まってしまっている。

その4人は、冒険者も私達職員も無視して、2階への階段を上がって行った。誰も止める者はいない。否、頭は麻痺し、身体も強張って動かせない。

暫くすると、あの巨大な女戦士が階段から降りて来た。そして、左手でぶら下げていた何かをカウンターの上にドサリと置いた。

最初は、それが何か分からなかった。荒事に慣れている冒険者ですら。それが人間の首だということしか分からなかった。

「このギルドマスターは処刑した。今は、私が新しいギルドマスターだ。文句がある奴は前に出ろ」

女戦士が大声で叫ぶ。

ギルドマスターの生首から夥しい血が流れ出て、カウンターから床へと零れ落ちている。

その光景が強烈過ぎて、女戦士の言葉が頭に入ってこない。

「ギ、ギルマス」

誰かが喘ぎながら、声を絞り出した。

「何だ、お前も仲間か?」

女戦士が右手の槍を、声を出した冒険者に向けた。

その冒険者は、無言のままで首を横に振る。恐らく声を出せないのだろう。唇の色が無くなっている。

「このアウロラがギルドマスターに就いたことに文句のある奴はいないな」

女戦士は、そうダメ押しをすると、今度はカンターの後の職員の方を向いて、

「お前達、職員の中にも反対の者はいないな。異を唱える者は、首だけになる覚悟で言え」

この脅しに職員は皆、真っ青になって俯いたままブルブルと震えているしかなかった。

「この首は、このままにしておけ。逆らった者への見せしめだ。血を拭くこともまかりならんぞ」

女戦士はそう言い残すと2階へ上がって行った。


「脅し過ぎじゃないのか?」

1階の声は2階にまで聞こえていたので、ギルドマスターの部屋に戻って来たアウロラを軽く嗜めると、

「あのギルドマスターは、ロデリア辺境伯爵の子飼いでした。ギルドには、奴の手先がかなりいる筈なので、これぐらい脅しておいてちょうどいいのですよ」と、俺が逆にアンテローヌに諭された。

「それでは資料を調べます。旦那様にはサインを頂きたい書類が出て来るので、このままお待ちください」

アンテローヌとオーリアはギルドマスターの執務机を調べ、引き出しに入っていた書類を次々と出していく。

アウロラは壁を調べ、隠されていた金庫を見つけた。

「アンテローヌ、金庫が見つかったけど鍵が掛かっている。その机に鍵はないか?」

「鍵ね。オーリア、鍵を開けてくださいな」

「了解した」

書類を調べていたオーリアが、金庫を調べ始めた。

「これは魔道鍵だ」

「魔道鍵?開けられそうか?」

「問題ない。よく知っているシステムだ」

皆が、オーリアが金庫の鍵を開ける様子を見守る。暫くして金庫の扉が開いた。

金庫の中には、予想以上にいろんな物が詰まっていた。

「どうやら空間拡張の術式が使われているわね。この術式が使えれば、荷物の持ち運びが楽になるわ」

とアンテローヌ。

『そういえばアンテローヌは、空間魔法が使えるんだった。それなのに、なんで、アイテムボックスのような魔法が使えないんだろう?』

そんなことを思っている間に、金庫の中の物がどんどん出されていく。

「金庫の中はこの部屋より広いようね。一旦、出すのを止めましょう」

「書類だけでも待ち切れないほどあるぞ」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ