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第一話『入学式』

 魔物を討伐し、かなりの金銭を得てから数日後。

 ソニアとグレーフィンはとある都市の前に立っていた。

 格子のような、引き戸になっている黒い門。

 もしも、見る人が見れば、「校門」のようだと言っていただろう。

 門の前には、インターホンがついている。



「ここが、学園都市かあ」

「なんというか、厳かですねえ」

「ところで、ひとつ気になってることがあるんだが、いいか?」

「なに?」

「学園ってどういう意味なんだ?」

「さあ、知りませんね」



 ソニアは、四歳で聖女に選ばれ、その後は訓練と労役だけを課されて生きてきた。

 グレーフィンも、製造時に知識などを与えられているゆえに、教育を受けるという必要がなかった。

 つまり、二人とも教育機関について全くの無知である。

 学校が知識などを学ぶということは知っているが、わざわざ学園というのはなぜなのかピンと来て居なかった。

 そもそも、学校が具体的に何をするところなのかも知らないのだ。

 インターホンを押すと、スピーカーから少しだけくぐもった女性の声がした。



「学園都市カルテスエッセンにようこそ!ご用件は何でしょうか?」

「用件は、観光です。一週間の滞在を希望します」

「なるほど、わかりました。観光とおっしゃいましたが、何か観たいところ等ございますか?」

「いいえまだ、何もわからないので」

「なるほど。でしたらちょうどいいですね。よろしければ、学園長とお話しませんか?学園都市について説明することができますよ!」

「はい、喜んで!」

「異論はないな」



 ソニアとグレーフィンは、門番に言われるがままに案内された。



「ようこそいらっしゃいました!私は学園都市の代表をしている、学園長のモーセと言います」



 モーセは、老年の男性だった。

 服装はグレーのスーツであり、七三に分けられたグレーの髪と、銀縁眼鏡とはよくあっている。

 基本的に都市の代表は市長、あるいは町長などといわれることがほとんどだがこのカルテスエッセンでは学園長というらしい。



「さて、お二人は学園でどの程度滞在を希望されていますか?」

「一週間ですね。滞在期限一杯まではここにいようと思っています」



 これは、二人の都市に対するスタンスだ。

 ビザの期限は一週間。

 それ以上は、手続きが複雑になってしまうのであまり滞在していたくないのだ。



「さて、ここにくる冒険者の皆さんには、学校に通っていただきます」

「ほうほう」



 ソニアも、学校というものは知っている。

 聖女として幼少期から訓練を受けていたがゆえに、通わせてもらえなかったが。



「冒険者さんにやっていただくのは、学校の体験です。通称、学校の七不思議」

「体験?」

「七不思議?」



 グレーフィンもソニアも、わけがわからなくて問いかけた。



「いうなれば、ダイジェスト版ですね。どのようなことを学校でしているのか、学んでいただこうという観光客や冒険者向けのイベントとなっております」

「なるほど」



 学校生活は、年単位で進むとソニアも聞いていた。

 わずかな間しか滞在しない、できない冒険者たちには



「それで、イベントなのはわかったが、七不思議ってのは?」

「かつて、この世界に魔法というものが伝わるよりも前のことです。学校の七不思議と言われる、特殊な言い伝えが学校にはあったのだとか。それを再現してみることにしました」



「グレーフィンさん、どうですか?」

「いやまあ、よく似合っている」

「ふえっ、そうなんですか!えへへへへ」



 ソニアが着ているのはいわゆるセーラー服と言われるもの。

 独特の形状をした襟のついた白いトップスと、折り目のついた紺色のスカート。

 膝まで覆った白い靴下と、それによって作り出された太腿の絶対領域が眩しい。



「これから当分、学園に通う時にはその恰好で過ごしていただきます」

「なるほど、わかりました!」


ここまで読んでくださってありがとうございます。


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