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可愛いだけの死神ちゃん  作者: カラスヤマ
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49話 懺悔

高級ホテルのスイートルーム。宝くじでも当たらない限り、自分とは一生縁のない場所だと思っていた。それが、今は現実に………。


「あぁ~~、生きてて良かったぁ。フカフカぁ~~~、このキングサイズのベッド。一生、このまま寝ていたい!」


「スゴい夜景……。ふわぁ~……オモチャみたい」


「二人とも大袈裟だなぁ。お腹すいたろ? 何かルームサービス頼もうよ」


「うん。メリーザってさ、色んな付き合いがあってスゴいね……。私なんて下界に天国の知り合いなんていないし………。コミュ障の私とは大違い」


落ち込むナタリにメリーザが抱きついた。


「私がいる。それで十分だろ?」


惚れてしまいそうな甘いセリフ。


「んっ……耳たぶ、噛んじゃ……ダ…メ」


なぜか、服を脱ぎ出した二人を放置し、改めて周囲を見渡す。何度見ても凄い部屋だ。悔しいけど、燃えた我が家とは比較にならない。卑怯なほどのレベルの差。


普通に泊まったら、一体いくらとられるんだろう。


「?」


「……………」


下着姿でこちらを見つめている。メリーザが僕に何かを訴えていた。


「どうした?」


「何でもない。気にするな」


…………何でもないことないだろ?

そんな、泣きそうな顔してさ。


その言葉を飲みこみ、誤魔化すように、しばらく部屋を探索した。



◆◆◆◆◆◆◆【懺悔】◆◆◆◆◆◆


廃墟と化したラブホテル。おばけ屋敷のよう……。もう何年も放置され、壊される気配もない。巨大すぎるゴミ。

そんな場所に俺は、引き寄せられた。


埃だらけのホテルの一室で、安い酒を浴びるように何時間も飲む。

時間の感覚がひどく曖昧で、今が夜なのか、朝なのかさえ分からない。

まぁ何時だろうが、これから死ぬ自分には関係ないが。



ガシャッッ!!


目の前に積んだ空き缶やビンのタワーが、崩れた。



「……………」



そろそろ終わりにしよう。


俺は、ふらっと立ち上がる。

おぼつかない足。吐き気。体は、確かに酔っているが、頭は妙に冴えていた。

酔った自分を、もう一人の自分が冷静に見ているような……そんな奇妙な感覚。

その感覚を無視するように俺は、割れたガラスの中から一つ選び、躊躇なく喉元をかき切った。


首から流れ続ける赤い水は、腹を通過し、足から床へ。


温かい……。


俺は、血がたまった床に横になる。

そうすると、昔の記憶がよみがえってきた。


まだ幸せだった頃。大切な人が、そばにいて。俺が、一番笑っていた時期。


マナ……。ごめんな。

こんな不甲斐ないパパを許してくれ。

天国でさ、ママと三人で、今度こそ幸せになろう。


……………………………。

……………………。

……………。

………。


一時間後。

俺は、血だらけの服でホテルを出た。朝日が、眩しい。



俺は、死ぬことを拒否された。もっと、もっと、もっと。生きて苦しめと。


神は、残酷だ。

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