③家族計画
また神様から『夢』を持ち続ける勇気をもらった。十時半。寝る準備を終え、布団に潜り込んだ。
そういえば、どうやって帰ってきたのか何故か思い出せなかった。喫茶店を出た記憶も抜け落ちている。
「痛っ!!」
頭痛薬を飲むと、少しだけ落ち着いた。なんだか無性に外が気になり、小さな出窓を開けた。
家の前のゴミ置き場。その近く。電信柱の陰に何かが動く気配がした。
◆◆◆◆◆◆◆【奇妙な話:家族計画】◆◆◆◆◆◆◆
まだいる。
家の外に姉さんが。
僕と目が合うと、たぶん笑わそうとしているんだろう。グニグニと変な形に両手を動かしている。
僕が外に出ても、話しかけるワケでもなく、いつも黙って我が家を見上げていた。
「ねぇねぇ、お母さん。なんで姉さんは、ずっと外にいるの?」
「えっ…………。アナタにお姉さんなんていたかしら??」
お母さんの顔がいつも以上に白くて、少し怖かった。
…………………。
…………。
……。
塾から帰るといつも外にいる姉さんの姿がなかった。
安心と同時に、残念な気もした。もう少し、観察を続けたかったな。
「ただいまぁ……。あぁ~……お腹すいた」
「あなた……………ダレ?」
冷たい目が、6つ。
こんなに近いのに、手が届かない幸せ。
カレーの良い匂いがする食卓に母さんと父さん。それといつも僕が座っている席に姉さんがちょこんと座っていた。三人で仲良くテレビのお笑い番組を見ている。
あぁ。
そっか……。
今度は、僕が『外で待つ番』なんだね。
この狂った家族の一員になる為にーーー。