表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
可愛いだけの死神ちゃん  作者: カラスヤマ
26/52

27話 仮世界


「ふぁ~、ん~、良く寝たぁ」


「大丈夫?」


ナタリに膝枕されていた。マシュマロ的な太股。今までに感じたことのない柔らかさと良い匂いが、首から脳へと伝播する。この状況に軽く眩暈がした。


「う~ん、ふぁ~~~」


「そのイケない手を股の間からどけないと、ひっぱたくよ?」


「………………」


「今は、ダメ。我慢して。安静にしてないとね」


まだ夢の続きを見ているのか。


それともーーーーー。


急に眠くなり、目を開けていられなくなった。


ナタリが、両手を叩く。


「次に目が覚めたら、すべて終わっているから………。アナタのこと、大好き。………本当に好き。だから…………。だからね、サヨナラしなくちゃいけないの。もう……アナタが傷つく姿を見たくないから。苦しめたくない………」


両目から、涙を流すナタリ。

この小さな手だけは絶対に離したくないのに!


力が抜け、何も考えられなかった。


『今まで、ごめんね』



◆◆◆◆◆【仮世界】◆◆◆◆◆


2200年。


世界の人口が、遂に100億を越えた。

地球温暖化の影響で、深刻な食糧難。人間は一部を除いて、【飢え】の時代に突入する。でも一番問題だったのは、その世界に住む人間の倫理が、狂ってしまったこと。


この人口増加に歯止めをかけるため、世界は【人間の選別】をすることを決めた。


5歳になると俺たち全員、強制的に受けさせられるテスト。その合否によって、その子の未来………いや、生死が決まる。


「お兄ちゃん……。私……たぶん今度のテストで」


可愛い俺の妹。他の弟と違い、コイツだけは俺に懐いてくれた。


「大丈夫だ、杏子。だから、そんなに心配するな」


「でも…………」


「大丈夫」


俺が、何とかする。



俺は、ある闇医者に頼み込み、全財産を使い、手術に臨んだ。


「あんたさぁ、妹にデータを全部移したら、廃人になるよ。脳のデータ抽出は、一番リスクが高いし」


「試験まで、あと2日しかないんだ。金は、払った。文句は言わずにやってくれ」


「はいはい。じゃあ、やりますよ」


俺は、一度だけ横をチラッと見た。俺の可愛い妹が、今もスヤスヤ寝ている。



弁護士になった俺を完璧に育て上げたと勘違いしている親。俺に憧れていると嘘をつき、いつも陰で俺の悪口を言っている弟たち。


でも、コイツは違う。


夏ーーーー


この妹が、少ない小遣いで買ってきてくれた加工アイスの味を俺は、絶対に忘れない。


「お…にいちゃん」


ありがとう、杏子。



さようなら、このクソったれの世界。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ