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可愛いだけの死神ちゃん  作者: カラスヤマ
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⑬ 中の人

深夜。喉の乾きで目が覚めた。フラフラしながら一階に降りる。冷えた麦茶をコップ一杯飲み干し、少し落ち着くと同時、見慣れたはずのリビングが別の場所のように居心地悪く感じた。


「………?」


ソファーの上に自分とそっくりな小さなマネキンが一体置かれていた。


こんなもの、誰が?

神様は、こんな悪ふざけはしないし。


左手で冷や汗を拭おうとしたが、自分の手じゃないように動きが鈍い。慌てて見ると、両手がマネキンのようなツヤツヤ光る作り物になっていた。


悪夢を、この世界全てを拒絶するように目を閉じ、体を丸めた。


『大丈夫。あなたには、私がついてる』


頭に響く、その優しい神の声だけが救いだった。



◆◆◆◆◆◆◆【奇妙な話:中の人】◆◆◆◆◆◆◆



久しぶりに飲み友が、家に遊びに来た。


「ーーーこの話とは全く関係ないんだけど俺の実家にさ、昔から何体もマネキンがあって。マネキン集めが、親父の趣味なんだ」


「マネキン?」


「うん、マネキンマネキン。ちなみに俺のお気に入りは、左足のないマネキンガールなんだけど……。今度、見る?」


「いやいやいやいや、そんなもん見るかよ! ってか、急に怖ぇな」


「うん。子供の頃は、そのマネキンだらけの状況が怖かったんだけどさ、今はなんだか慣れてきて。しかも最近は、左足がないのが可哀想になってきたから………。ネットとかで探してるんだ」


「マネキンの足を? 大丈夫か、お前」


「でもどうしても良いモノが見つからないんだよ。仕方ないから俺の足をあげようとしたんだけどさ、人形が嫌だって言うから」



俺は、台所からノコギリを持ってきた。



「っ!?」


「だからさ、お前の左足をくれよ」


「バっ、ま、ま、待てっ!!」



…………………………………。

…………………。

…………。




「な~んちゃってぇ~」


「おぃ………笑えないぞ、それ………。あぁ~怖かった。お前さぁ、演技の才能あるかもな。目が、かなりヤバかったし」


「そう? やったぁー! 大成功。あっ…………。もう、そろそろ彼女が来るからさ。お前、帰れよ」


「急になんだ。勝手過ぎるぞ、お前。そんなんじゃ、いつか友達無くす。ーーーってか、お前いつから彼女いたんだ?」


「最近、出来た~~。じゃあ、また連絡するから。妹さんに宜しく」


「はぁ? 俺に妹なんていねぇぞ。誰と勘違いしてんだよ。…………まぁ、いいや。じゃあな、変態マネキン野郎」


「うん。また」



友達が帰ったのをカーテンの隙間から確認後。俺は、浴室にいる彼女に声をかけた。


大量の睡眠薬で今もスヤスヤ夢の中。



「アイツがさ、この細い足が好きだって言うから……。ごめん。悪いけどその左足もらうわ」



俺の背後に立つ大好きなマネキンガール。


『お兄ちゃん、元気そうだったね』


「うん。アイツさぁ、すっかり忘れてるよな~。自分が、元マネキンだったこと」




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