1.変わらぬ日常だったはず。
職業を変えましたが、内容の大幅な変更はありません。
この場でご報告をさせていただきました。
「…ねっむ。」
ネットパトロールという名目でお久しぶりのネット小説を読んでいる途中、ふと思った。
あの地獄の職場からやっと家に帰って。
久しぶりに温かいお風呂に入って。
いつもより数十倍美味しいご飯を食べて。
今更ながら思う。
社会人は、警察官は、こんな苦労を味わっているのか、と。
警察官であるからなのか、貼り付けの笑みで業務をして。
警察官であるはずの上司には毎日のようにセクハラされて。
警察官なのに電車に乗ると痴漢される。
正義感も殆ど無いからさ、どうでもいい。
自分は正義の象徴なんかじゃない。人は、自分にとって都合の良い様に変える。勝手に巻き込むな。自分は英雄なんかじゃない。どちらかと言えば、英雄のなり損ない、、というか、なりたくも無かった。
正直言うともう、うんざりなんだよ。
自分に素直に生きてみたい。
気の向くままに行動したい。
あーあ、、、
…
偽善者なんて嫌いだ。
英雄なんて嫌いだ。
助けてなんてくれないくせに。
綺麗事を吐くなよ。
嘘つき。
…
自分の心情をつらつらと心で述べ、ゆっくりと意識を手放した。
、はずだ。
自分の名前は嘉藤暁。23歳。自分の部屋で寝て起きたら異世界とか言う謎の状況にいる。
自分は寝たはず。そうだ、ネット小説を読んでて、眠気に耐えきれず、寝た。
そのはず、だ。…自分の記憶が正しければの話だけど。
なのになんなんだここは!
いつの間にか立ってて、周りに多分日本人だと思われる三人の男女。全員スーツ?制服みたいなの着てる。待って場違い感凄い…自分だけ寝巻きなんですが!!恥ずかしい…
彼らの他には、兵士みたいな人。
すっごい豪華な装飾。
喋りだしたおっさんが
「このお方は我が国の国王だ!失礼の無いようにしろ。」
的な事言ったら、国王(仮)が
「よいよい。構わんよ。」
とか言うし、、、
異世界転移かこれは!
…いや、夢だと信じたい。
「あ、えっとこんにちは?」
こんな状況で、一緒に呼ばれた召喚人の人に挨拶する自分はおかしいだろうか。
「あ、こんにちは?です。」
「……」
「あ゛?」
待って1人ヤンキーいる。荒れてんなぁ…
1人は返してくれないし。
あとの1人だよ。心優しい日本人は!!…日本語ちょっとおかしいけど…
「うぉっほん。今の状況に混乱してるだろう。今の状況を話してやろう。感謝せい。」
うわぁ…上から目線。何その咳払い。あのハゲ上司かな?
その国王(ハゲ上司)がなんかごにょごにょと説明してくれたのを分かりやすくまとめたのが、これ。
1.世界が魔王によって侵されて来ている。
2.世界を守る為にあなた達を、こっちから呼んだ(召喚した)。ちなみにこのように召喚された人は【異世界英雄召喚人】と呼ばれる。
3.使ったのは古代から受け継がれるこの魔法陣で~って言う自慢。
4.召喚した英雄は三人しか呼べないはずなのに、四人目がいるのはおかしい。
5.元の世界への帰り方は知らん。多分魔王が知ってると思う。
6.とりあえず今からスキル等諸々のステータスの確認をする。
以上。
ややこしい言い方しかしてなくて正直面倒臭かった。ハゲ上司並に。ちなみに今はステータス確認中。
ていうかこれ、贅沢し過ぎでは?国民は大丈夫なの?国王、妃、姫、王子はおろか、従者や兵士までもが贅沢してるってどういう事よ。
こんな国王(ハゲで太ってる)なのに、すっごい綺麗なお妃様いるよ…政略結婚?かな、。王族って大変だろうな…姫と王子は間違いなく妃よりだな。
話戻るけど、めっちゃ胡散臭い。普通に怪しい。ネットとかの異世界系の小説はもうちょいしっかりしてるかな。多分魔王が知ってると思うって、絶対元の世界に返す気ないでしょ。話にならない。
まぁ、自分は帰らなくてもいいし。
寝落ちする前に言った、
自分に素直に生きてみたい。
気の向くままに行動したい。
だから、冒険でもするかな。
うーん…でも自分以外の英雄召喚人たちは困るだろうな。多分魔王が知ってると思うって言われても帰れる確信が無いからね。彼らにはきっと大切な存在が居るだろうに。
ありゃ、なんか皆さんこっち見ておられますが…
「なんですか?」
「あとはお主だけじゃ。」
もう順番?早くね。てかこれ、自分で確認出来んのか?
「一応自分で出来るか確認してみい。」
これ、一応ってことはやっぱり自分が邪魔者になってるね。他の英雄召喚人の人達は見えてたみたいだし。多分これは英雄があの3人ということになったんだろ。どうせ。
あ、でもこれは好都合では?
「三人の中に自分がいるのはおかしいし、今から帰れる訳でも無いので、とりあえず王宮から出ましょうか?」
とか言えばこの落ち着かない空間から出れるのでは?
でもとりあえず今はステータスの確認をしたいから終わってからにするか。
「ステータス 一覧」
え、全員の見える。でも王族だけロックかかってるわ…え、待って?【ロックを解除しますか?】って出てきたんだが?本当に解除出来ていいのか?そんなんだと個人情報丸わかりだぞ〜。てかこれロックの意味無いだろ…とりあえず解除はいいや。
これ対象とか決めた方がよかった?
とりあえず見えないってことで。
「あ、見えません…」
「やはり見えんか…邪魔者は即刻排除せねば。」
一応、見えないって設定で行くけど、国王が凄いこと言ってるぞ。自分は排除されるのか?
ー
<名前> 嘉藤暁_カトウアカツキ_
<Lv> Lv1
<齢> 18
<称号> ここに居るはずのない異世界召喚人
<称号> 偽善者嫌い
<種族> 人間
<職業> 元 正義の象徴
<体力> 150
<魔力> 200
<攻撃力> 73
<防御力> 200
<俊敏> 98
<スキル> 異空間収納
<固有スキル> ステータス鑑定 熟語生成
<隠しスキル> 【暁様にのみ見えております】反英雄
ー
いや5歳若返ってるよ。熟語生成とは。てか暁様って何。むず痒い。反英雄って何。自分正義の象徴じゃないし。他のに比べて防御力と魔力高くね?
知らんことしかない。
でもやっとだ…一刻も早くここから出たい。
「あの、多分ここに自分がいるのはおかしいですし、今から帰れるわけでもないので、とりあえず王宮から出て、ここら辺に住みましょうか?」
生活費くれないかな。ていうか住まないで冒険するんだけど。
「それもそうだな…」
お、考えてる?
お、側近的な人に話しかけ始めたぞ。
こしょこしょやってる。
あ、皆さんの称号 異世界召喚人の英雄 になってる。なんで自分だけ…って、邪魔者だからか。
うおっ。
「受け取れ。」
なんかBARのカクテル交換見たいな渡し方してきた。何この袋。
「その中には金貨20枚入っている。これで足りるか?」
金貨20枚…多分相当な単位のお金だろうな。金貨って言う位だし…
「多分足ります。」
あくまで多分だけどね。
え、なんか国王の従者下向いてる。どうした?
「おお、そうか。それでは、」
え!?待って?なになになになに!!
え?持ち上げられて…!
「達者でな。」
「は────────」
落とされる!?
「ぶはっ、俺もう無理耐えれない!!」
「金貨20枚って、!!」
「こらこら、笑ってやるな。異世界召喚人が可哀想だろ…くっ、はは」
「え、」
自分、なんかおかしい事したか?金貨?
ッ落ちる!!
「あ〜ああーっ!!」
無理無理この浮遊感。あ、死ぬ。
ドサッ