学級委員会
梅子「早くしなさいよ!。」
委員長にせかされる。今日は僕が副委員長になって初めての学級委員会の全体集会だ。全校の学級委員長と副委員長が一堂に会することになっている。もちろん最初なので難しいことはないだろうが不安だ。
梅子「別に不安になる必要はないわよ。結局学級委員なんて雑用押し付けられ係みたいなもんだし。」
僕が不安になっているのを察してくれたのか委員長が緊張をほぐしてしてくれた。副委員長になって書類綴じを手伝った日以来委員長が少しだけ僕のことを認めてくれた気がする。最初はどんくさいなんて言われてしまったけれど最終的に認められたのでうれしい。
歩美(えへへ。)
梅子「あんた、何にやついてるのよ。きもいわよ。」
歩美「ふぇっ!?、気を付けます・・・。」
委員長にきもいといわれて素直に傷つく。何もないところでにやついたりしないように気を付けなければ。そうこう話しながら移動しているうちに会場の多目的ホールについた。
梅子「私たちは2年だから真ん中の列に並ぶわよ。」
委員長に誘導されて列に並ぶ。さすが委員長は1年のころからずっと委員長なだけあって慣れている。僕たちがきた時間はぎりぎりだったらしく僕たちが着た後何組かの委員が来たら全員揃い集会が始まった。
上級生「今日集まってもらったのは委員がする仕事の説明をするためです。主な仕事は5つで一つ目が―。」
上級生が説明してくれているがやはり委員長が言ったように雑用がほとんどだ。上級生曰く5つの仕事があるらしいがそれは最低限の仕事であり結局担任の先生に渡される仕事が5つとは別に山とあるらしい。それを僕が副委員長になるまではたった一人でこなしていた委員長は素直にすごいと思う。
上級生「―とにかく学級委員は雑用雑用AND雑用なんでよろしくお願いします。これで説明を終わります。」
最後が何とも投げやりな説明だったな。結局今日の集会はほかに話すことがないらしくこれでお開きとなった。集会が終わったので多目的ホールが騒がしくなり始めた。それと同時に視線を感じる。
「あの2年生の二人組小っちゃくてかわいいね。」
「女の子のほうはツンデレっぽくて男の子のほうは女子が男装してるみたい。」
「二人で妖精みたい。」
「食べちゃいたい。」
何とも居心地の悪い視線が集まり気持ち悪い。しかも視線を感じるほうからはいろいろな声が聞こえてきた。小っちゃくてかわいいだの妖精みたいだの言いたい放題だ。しかしここまではまだ許容範囲だ。いや、許容したくはないけれど。しかし食べちゃいたいはさすがにまずいでしょ。同じ人間を食べるなんて。僕はおいしくないよ!。
梅子「ほら、終わったんだから早くいくわよ。」
歩美「あ、はい。」
僕たちはホールを後にした。
「僕たちの妖精たちよ待っておくれ!。」
待つか。
~下校~
歩美「僕はてっきり学級委員はもっとたいそうなものかと思ってたよ。」
梅子「だから違うって言ったでしょ。ただの雑用係よ。」
集会が終わったので僕たちは一緒に下校していた。途中まで道が一緒なので今日のような変えるタイミングが同じ日は一緒に帰っている。そのことを優斗に話すと『うまくやったな』なんて言ってきた。うるせいやい。
歩美「それにしても食べちゃいたいなんて言ってた人がいたけどそんなに僕たちっておいしそうなのかな?。」
冗談半分に聞いてみる。おそらく委員長もあの会話を聞いていたと思うのでおそらくわかるだろう。委員長のことだから『私たちの肉がおいしいわけないでしょ!。』的なことを言うのだろう。しかし委員長は顔を真っ赤にしてうつむいてしまった。
歩美「ど、どうしたの!?。」
梅子「あ、あんた、この場合の食べたいの意味わかってんの?。」
どうやら委員長曰くこういう時の食べたいは必ずしも食事のほうの意味ではないらしい。
歩美「じゃあ、どういう意味なの?。」
梅子「それは、あの・・・。」
委員長は顔を真っ赤にして話してくれない。僕もどうすればいいのかわからなくて慌てていると委員長が急に口を僕の耳元にもってきてこそこそ話の体勢になった。急なことだったので思わず僕も顔が赤くなる。
梅子「その・・・エッチなことをしたいってことよ・・・。」
委員長の今にも消えそうな声が僕の耳の中に入る。顔が熱い。そんな意味の言葉の意味を委員長に聞いていただなんて恥ずかしいなんてものじゃない。しかし聞かれた委員長はもっと恥ずかしいだろう。
歩美「ごめん、こんな意味のこと聞いちゃって・・・。」
梅子「あんたは知らなかったんだから仕方ないわよ・・・。」
お互い今にも消えそうなボリュームの声で話す。恥ずかしくて顔を見ることができない。気まずい空気に耐えられなくなったところで互いの家に続く分かれ道に救われた。
~次の日~
学校に行くと僕の席の前に優斗がいた。雰囲気が楽しそうだ。
優斗「昨日の学級委員会の集会に妖精みたいな二人組がいたって噂になってた。」
優斗によるとこの噂は全校に広がっており僕と委員長は『二人の妖精委員長』と呼ばれているらしい。
優斗「噂自体は俺が知る前からあったが妖精委員長の名づけ親は俺だ。」キリッ
歩美「もう、優斗ったら!。」ポカポカ
優斗の衝撃の告白に僕は思わずこぶしを振り上げる。といっても形だけの抗議で力は入れていない。最も力を入れても優斗には効かないと思うが。しかし形だけの抗議ではなく全力で抗議する人もいた。委員長だ。
梅子「あんたね・・・。許さないわ。」げしっ!
僕たちの話を聞いていたらしい委員長のけりが優斗のすねにクリーンヒットする。
優斗「ぐおおおおおおおおおおおおお~~~~~~~!。」
優斗は悶絶しながらすねを抑える。普段、寡黙な雰囲気の優斗が大声を上げるのは珍しい。まあ、自業自得だよね。優斗が助けを求める目でこっちを見たが僕はニコッと微笑んでその場を後にした。
次の投稿日は9月9日(水)です。