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委員長

梅子「じゃあ、いまから委員会を決めていくわね。」


 とある日の放課後、委員長こと秋島梅子による委員会決めが始まろうとしていた。この学校では一人一つ委員会に入らないといけない。学級委員長だけはいないと困るからと先に決められていたが他の委員はぶっちゃけあまり仕事がないので今日まで決められていなかった。まあ、僕はあまり大変ではない委員会に入りたいと思っている。正直どの委員会もあまり大変ではなく大変なのはイベント物の実行委員会と学級副委員長くらいのものである。よし、楽なの選ぶぞ!。




優斗「意気込みのわりに貧乏くじを引いたな。」


優斗に言われてしまう。さっき『楽なの選ぶぞ!』なんて意気込んでいたのが夢だったみたいだ。なんと僕は学級副委員長を務めることになってしまったのだ。ちなみに優斗は焼き芋ふかし委員会に入った。なんだそれ。


歩美「まあ、なったものは仕方ないよ。とりあえず委員長に仕事教えてもらうよ。」


なった以上は足を引っ張るわけにはいかない。クラスのために頑張らなければ。しかし、なんだか優斗の様子が変だ。急にこっちを見てきてニヤニヤしてきた。


優斗「おまえ、委員長のことかわいいとか言ってたよな・・・。頑張れよ!。」


この馬鹿優斗は頭はあまりよくないくせにどうでもいいことに限って覚えている。そりゃ僕は言ったよ。委員長がかわいいって。でもそれに恋愛要素なんてものはないのだ。ただ、委員長を見た時に少しかわいいと思っただけなのだ。


歩美「そんなのじゃないよ!。」


僕の声は優斗に届いたはずだが優斗は僕の言葉を鼻で笑い焼き芋ふかし委員会の集まりに行ってしまった。いやなやつ。仕方がないので僕も委員長のところに行くことにした。


歩美「委員長、仕事教えてもらいたいんだけど。」


委員長はもう僕と委員長以外誰もいなくなってしまった教室の自分の席にいた。学級委員というものは忙しいらしく委員長はいつも何かの書類を綴じたりクラスの名簿に何か書き込んでいたりする。現に今も委員長は忙しそうに書類をとじていた。


梅子「ああ、あんたが副委員になったんだったわね。でもかえっていいわよ。」


いきなり謎の戦力外通告を食らってしまった。そんなに僕使えないっすかね。


歩美「さすがに全部任せるのは悪いよ。手伝わせてよ。」


いくら僕がめんどくさがりだとは言えさすがにああそうですかと帰るほど腐ってはいない。僕にできることだってあるはずだ。


梅子「あんたどんくさそうだから帰ってよ。失敗したら面倒なの。」


さすがにひどい。ここまで言われたら僕も戦意喪失してしまう。それにしてもどんくさいか?、僕の顔。仕方がないので帰る準備をする。鞄に教科書詰めて、水筒入れて・・・。


梅子「あああ~~~!。」


二人しかいない教室に委員長の叫び声がこだます。


歩美「どうかしたのっ!。」

梅子「書類全部順番間違って閉じちゃってた・・・。」


どうやら委員長は作業を間違ってやってしまっていたらしい。かなりの量が間違っている。直すのは大変そうだ。


梅子「笑えばいいわ!。どんくさくて間抜けな私を・・・。」


おそらく委員長はさっき僕にどんくさいといった手前素直になれないのだろう。でも僕は知っている。どんなことがあっても困っている女の子には力を貸さないと!。


歩美「委員長?。一緒にやり直そう!。」

梅子「でも私さっきあなたにどんくさいって・・・。」

歩美「僕は別にどんくさくてもいいよ。ただ自分の意思で委員長を手伝いだけだし。一応副委員だしね。」


委員長も僕の言葉を聞いて納得してくれたようだった。二人で作業を再開した。


~2時間後~

歩美「終わった~。」


何とか作業が全部終わった。途中急に眠くなったときはどうしようかと思ったが委員長が15分程度寝たらすっきりするとアドバイスしてくれたのでその通りにしたらうまくいった。委員長は厳しいだけじゃないのがいいと思う。


梅子「今日は・・・ありがと・・・。」


委員長がなにか小声でいった。聞こえなかったので聞き返したらなぜか顔を真っ赤にして怒り出してしまった。仕方がないのでさっさと帰ろうと委員長に言う。もう外は薄暗くなっていた。


 委員長と隣り合って下校する。空を見るともう少し月が出ていた。ずっと月を見ていたら首が疲れてきたので首を横にひねる。すると僕の目線は委員長の鼻と唇の間にあった。家族は全員高身長で友達も全員僕より最低でも20センチは高い。そう考えると少し僕のほうが低いとはいえほぼ身長が同じ委員長は貴重な存在だ。そう考えるとなんだか仲間を見つけたみたいで思わず笑みがこぼれる。


梅子「何こっちみてにやついてんのよ。」


委員長に、にやついたのを見られていた。普通に恥ずかしい。


歩美「いや、委員長は身長いくつかなって思って。」


正確には自分の身長と比較して考えていたがそれは恥ずかしいので言わない。


梅子「私が身長低いからどうせ自分の身長と比べてたんでしょ!。残念ながら私は138センチ。あんたより大きいわよ!。」


僕が恥ずかしいからと隠したことは委員長にはお見通しだった。135センチの僕とは3センチ差。桜との身長差が50センチに及ぶことを考えるとないも同然だ。


歩美「3センチ差なんてないも同然だよ。だから僕たち”おそろい”だね。」


何気なく言った言葉だったがふと委員長を見ると顔を真っ赤にしていた。そんな委員長を見て僕も顔を赤くする。月の光が強くなってきた。月の光に暑さを感じながら僕らは一言別れを告げてそれぞれの家路についた。

前回、毎週日曜に投稿するといいましたが最近暇なので毎週水曜、日曜投稿の週2体制でしばらく行きたいと思います。忙しくなってきたら予告したうえで週1に戻します。


次回の投稿日は2020年9月2日(水)です。

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