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春川家

「ただいま~。」


桜に膝枕をしてもらって眠っているとお父さんとお母さんが帰ってきた。お父さんとお母さんは同じ会社に勤めている。部署が違うらしいので会社ではあまり会わないらしいがそれでも通勤は一緒にしている。家族全員がそろったので僕は作っていた料理を温めなおす。料理は僕の担当だ。正確には僕以外料理ができないから僕が作っているだけなんだけど。


剛「いつも料理ありがとな!。」なでなで

幸子「歩美、いつもありがとう!。」なでなで


そうお父さんとお母さんに言われて二人に頭を撫でられた。お父さんの名前は春川剛というのだがなんと身長が2メートルもある。お母さんの名前は春川幸子なのだが身長のほうは192センチとこちらも大きい。この二人から生まれたはずの僕がこんなに低いのは正直納得いかない。


桜「ほら、早く食べよ!。」


桜がせかすのでみんな早く席につく。今日のメニューは唐揚げ定食だ。我ながらよくできていると思う。


剛「歩美の飯は今日もうまいな!。」

歩美「えへへ。」


思わず照れる。お父さんはいつも僕の作ったご飯をほめてくれるのだけど何回言われてもなれない。でも作ったご飯を褒められるのはやっぱりうれしい。


「ごちそうさま!。」


みんながご飯を食べ終わった頃には時刻は20時を回っていた。僕は今日どうしてもお父さんとお母さんに聞かなければいけないことがある。本当はこんなことは聞きたくない。でも聞かないと。


歩美「お父さん、聞きたいことが・・・。」

剛「なんだ?。」


お父さんが優しそうな顔でこっちを見てきた。お母さんも何だろうとこっちを見ている。正直聞きたくはない。今から言うことは最悪の場合この幸せな日常が壊れてしまうかもしれないことなのだ。しかしもう聞くしかない。僕は覚悟を決めた。


歩美「・・・僕は本当にお父さんとお母さんの子供?。」


お父さんとお母さんの顔が曇る。当然だろう。しかしすぐに優しそうな顔の戻って話を聞いてくれた。


幸子「なんでお父さんとお母さんの子供じゃないと思ったの?。」

剛「そうだ、おまえは俺たちの実の息子だぞ。」


二人はそういってくれたけど僕の疑問は解けない。だってあまりにも似ていないのだ。身長はお父さんが2メートルでお母さんが192センチ、そして桜が小6にして186センチと長身を受け継いでいるのに対して僕は135センチしかない。顔もお父さんもお母さんもエキゾチックな顔つきをしてて桜もたまにハーフと間違えられるような顔つきをしているのに僕だけ純日本風な顔つきをしている。あまりにも似ていないのだ。


歩美「でも全然似てない・・・。」


僕がそういうとお父さんは笑って証拠を持ってくると2階の物置に行ってしまった。お母さんは何を取りに行ったのかわかっているみたいで落ち着いて座っている。


剛「これを見ろ!。」


お父さんが持ってきたのは古びたモノクロの写真でそこには着物を着た女の人が移っていた。そしてその女の人の顔を見た時思わず心臓が飛び出るくらいびっくりした。


歩美「なんで僕が・・・。」


写真に写っていたのはなんと僕だった。でも写真の古び方からして僕ということはあり得ないし何より女物の着物を着て撮影をした覚えがない。


剛「この人は春川ウメといって俺のおばあちゃん、つまりお前のひいおばあちゃんだ!。」


お父さん曰くこの人は僕のひいおばあちゃんで僕の顔はひいおばあちゃんからの隔世遺伝だろうと話してくれた。たしかにひいおばあちゃんは他人の空似ではありえないほど僕に似ていた。


歩美「じゃあ、僕はお父さんとお母さんの子供なんだね・・・。」


思わず涙がこぼれる。中2にもなって両親の前で泣くのは恥ずかしかったが安心した反動からか一時涙が止まらなかった。


幸子「ほら、男の子が泣くもんじゃありませんよ?。」なでなで


お母さんが僕の頭を撫でてくれた。僕はチビだからいろんな人に撫でられるがお母さんに撫でられた時が一番落ち着くような気がする。撫でられたからか涙もだいぶ収まってきた。そこでふと疑問が浮かぶ。ひいおばあちゃんの身長は何センチだったのだろうかと。


歩美「お父さん、ひいおばあちゃんの身長ってわかる?。」


僕がそう聞くとお父さんは急に渋い顔になる。嫌な予感がする。もしかして・・・。


剛「いや、その、今のお前より小さかったかも・・・。」


嫌な予感は的中した。もしも僕がひいおばあちゃんから受け継いだのは顔だけではなかったとしたら・・・。身長もひいおばあちゃん似だとしたら大変だ。


歩美「ど、どうしよう・・・。」

幸子「し、身長なんていずれ伸びますよ。」

剛「そ、そうだ!。」


お父さんたちのフォローが僕を惨めな気持ちにさせる。顔だけにて身長は似ないなんてことはあるのか。僕は専門家ではないからわからない。でも一言言わせてほしい。


歩美「僕は隔世遺伝なんて信じないから!。」


こういったらお父さんがじゃあ俺たちが親子だということも信じないのかとぶつぶつ言い始めたのであわてて笑顔で「お父さんだーい好き」ていってフォローしたのはまた別の話である。

次の更新日は8月21日です。

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