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お昼寝

 今日は日曜日、朝から優斗と公園でサッカーをしました。優斗はサッカーがうまくて運動神経もいいので全然ボールをとれませんでした。でもずっと粘っていると優斗がボールをパスしてくれたのでとてもうれしかったです。また優斗と遊びたいです。


〇月×日(日) 春川歩美





 ふぅ、日記を書くのも意外と大変だなぁ。最近日記を始めたものの少しの量でも毎日書くとなると意外と大変であり早くも挫折してしまいそうだ。自分の忍耐力のなさに思わずため息が漏れる。


桜「ため息なんかついちゃってどうしたの?。」


後ろからいきなり桜が話しかけてきた。思わずびっくりする。


歩美「後ろからいきなり話しかけるのはびっくりするからやめてよ!。」

桜「お兄ちゃんがびっくりするのが楽しいんだよ!。小動物みたいにぴくって震えてかわいいし。」


まったく桜はどんな時でも変わらない。兄に対してかわいいだなんて。一応見上げてにらみつけるけどまったく怖くないようで笑顔で返されてしまった。


歩美「もう!、桜はいつも僕をからかってばっかり!。やめてよ!。」プンスカ

桜「お兄ちゃんが怒ってもかわいいだけだよ。」なでなで

歩美「ふぇ・・・。」


桜に撫でられると心がポカポカする。本当に恥ずかしいし絶対誰にも言いたくないけれど桜に甘えたくなってしまうのだ。


桜「・・・お兄ちゃん最近、甘えん坊になったよね。」

歩美「そ、そんなことないよ!。」

桜「そんなことあるよ。前から撫でられるのが気持ちいいんだろうなっていうのは表情で丸わかりだったけどそれでもそれを隠そうとはしていたし今みたいに無抵抗ではなかったよ。」


・・・確かにそうかもしれない。最近は一種の諦めに近い形で桜にされるがままになっていた。もちろんそれは桜に逆らってもかなわないからというのが前提としてあるからだがそれだけではないのは明らかだ。現にさっきだって桜に甘えたいと思ってしまった。


歩美「なんとかしないと・・・。そうだ!、僕は今日から桜に甘えない!。」


結局これしかない。桜に撫でられたら手をはじいて撫でるのをやめさせるし抱き着いてきたらにげる。そして自分の中に桜に甘えたいという感情をつくらないのだ。


桜「頑張ってね、お兄ちゃん!。」なでなで

歩美「うん!、頑張る!。」


頑張る気満々でいたがいきなり桜が撫でてきた。これがまた気持ちいい。でも決めたことなので仕方ない。手で払い落そうとする。


ぺしっ


落ちない。桜の手は優しくそれでいて力強く僕の頭を撫でてくる。いくら日かはがそうとしてもびくともしない。


歩美「う~~~ん!。」

桜「お兄ちゃんに私の手をはがせるわけないじゃん。この前の腕相撲の結果をもう忘れたの?。」


確かにハンデマシマシの腕相撲に一方的に負けたのに手をどかせるわけがない。ど、どうしよう・・・。


桜「素直になればいいのに。私に甘えたいって。」

歩美「嫌だ!。甘えたくない!。」

桜「仕方ないなぁ~。私が甘やかしてその意地を砕いてあげる。」


桜はそういうと僕を無理やり横にさせて桜も横になった。


歩美「いきなり何を・・・。」

桜「一緒にお昼寝しよ?。」なでなで


そういって桜が頭を撫でてきた。ゆっくり、のんびり、桜の手が僕の頭の上で行ったり来たりする。


歩美「ふえぇ~。」

桜「ふふ、お兄ちゃん気持ちよさそう。」


そんなことない。そう言いたいのに口が動かない。体が重くなってきた。まぶたも重い。桜が撫でるのをやめて抱き着いてきた。いつもみたいにぎゅと抱きしめるのではなく優しく添えるようなそれでいて全身を包み込まれるような抱き方。本来恥ずかしいはずなのにまったく恥ずかしくない。これが当たり前のような感覚。全身が心地よくなってくる。


桜「おやすみ、お兄ちゃん!。」

歩美「おやすみ・・・なしゃい・・・。」


僕は眠りについてしまった。




 目が覚めるともう夕方だった。窓から差し込んでくる夕焼けが暖かくて心地よい。ふと隣を見ると桜も寝ていた。今となっては僕よりもはるかに大きくなってしまったけれど桜の寝顔は昔と変わらずかわいかった。


歩美「かわいい・・・。」なでなで

桜「えへへ。」


何の夢を見ているかは知らないが桜はすごく幸せそうな顔で笑っている。なんだかんだ言って桜は僕の妹だ。だからこそ兄として甘えん坊なんて言われないようにもっとしっかりしないと。


桜「ん・・・おはよ。」


西日がきつかったのか桜も目を覚ました。まだ少し寝ぼけているようでふらふらしている。


桜「・・・お兄ちゃんが実は妹だった夢見た。」

歩美「どんな夢だよ・・・。」


そんな夢であんな幸せそうな顔をしていたのか・・・。思わず困惑する。


桜「でもね、やっぱりお兄ちゃんはお兄ちゃんのままがいいよ。」

歩美「ほんと!?。」

桜「うん。年上を圧倒するのが楽しいのであって年下をいじめる趣味はないから。」


こういうことを平然と言えるのは寝ぼけているからなのか、それとも本心からなのか。僕は苦笑いをするしかなかった。



文化祭まであと〔25〕日

最近忙しくなってきたので毎週日曜日のみの週1投稿に戻します。


次の投稿日は10月4日(日)です。

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