小さいお兄ちゃんと大きな妹。
2020年8月19日より投稿させていただきます。よろしくお願いします。
桜「お兄ちゃん、あそぼ!。」
とある日の放課後、学校が終わったので家でくつろいでいると後ろから突然声をかけられた。
歩美「ああ、いいよ。」
そういった瞬間、僕は後ろからいきなり持ち上げられて膝の上に座らせられる。まったくおてんばな妹だ。もっとも妹に軽々と持ち上げられてしまう僕にも問題はあるのだが。
僕の名前は春川 歩美。女の子みたいな名前だが男子の中学2年生だ。さっき僕を持ち上げたのは妹の春川 桜。普通の小学6年生だ。こう書くと普通の兄妹にみられるかもしれないが問題は僕と桜の体格差にある。桜は弱冠小6にして身長186センチのナイスバディ、それに対して僕は身長135センチと小学生並みの身長しかもっていなかった。この身長差50センチ以上という圧倒的な体格差で桜は僕を持ち上げたり抱っこしたりするようになった。現に今も桜の膝の上にいる。
桜「お兄ちゃん、かわいい。」ナデナデ
桜は僕の身長を抜いてからというもの僕のことをかわいいといって撫でてくるようになった。最初は少し背が高いだけで調子に乗ってるとあんまりいい気がしなかったが身長差が激しくなるにつれてだんだん抵抗がなくなってきた。屈辱的だが自分より圧倒的に大きな存在に撫でられるのは心が安らぐようで気持ちがいい。
歩美「・・・zzz。」
桜「ちょっと!。遊ぶって言ってるのに寝ないでよ!。」
僕としたことが少し寝てしまっていた。妹である桜の膝の上で眠ってしまったことに少し顔が赤くなる。いくら体格差があるといっても年上の兄である以上プライドがあるわけでなんだか恥ずかしい。
桜「じゃあ、ゲームして遊ぼ!。」
歩美「えっ、・・・うん。」
返事をしたものの僕はあまり乗り気ではなかった。桜は最近『ゾンビハンターズ』というゲームにはまっている。このゲームの内容が迫りくるゾンビを倒すというもので最新のゲームということもあり描写やゾンビの質感がすごいリアルだ。だから・・・その・・・怖いのだ。前に桜がしているのを見たことがあるがその夜は怖くて眠れなかった。それ以来桜がゲームをしているときはなるべくテレビに近づかないようにしていたのだがついに誘われてしまった。
歩美(こんなことなら遊んであげるんじゃなかった・・・。)
いくら後悔したって後の祭り。桜はゲームの準備を着々と進めていた。まさかそのゲームは怖いから嫌だなんて恥ずかしくて言えるはずもなくコントローラーを渡されてゲームが始まってしまった。
〈ミッション1 洋館の中のゾンビを全滅させろ!。〉
ゲームの音声が響き渡る。どうやら洋館の中にいるゾンビを全滅させるのがミッションらしい。洋館の中は暗く不気味でまだゾンビも出ていないのにもう怖い。思わず桜の体に身を寄せる。
桜「お兄ちゃん、どうしたの?。」
歩美「いや、寒いな~って。」
とりあえずごまかす。ゲームが怖いなんて絶対言いたくない。桜は寒いといいつつも冷や汗をかきまくっている僕を不審な目で見ながらも再びゲームに戻った。とりあえず一安心だ。
桜「あ、ゾンビ。」バキュン!
歩美「!?。」
思わず震えるが僕が画面を見た時にはもう桜の手で倒されていた。
桜「もう、お兄ちゃんも戦ってよね!」
歩美「う、うん・・・。」
戦わない僕にしびれを切らしたのか桜に怒られてしまった。普段だったら妹である桜に怒られたりしたら悔しいから言い返すのだが今回は桜のほうが正論であるため何も言い返せなかった。
〈ボーナスタイム!。ゾンビ軍団出現。〉
ゲームの音声がなった。ゾンビ軍団なんて嫌な予感しかしない。思わず目を閉じるが桜の「戦って!。」の一声で反射的に目を開ける。すると目の前には1体だけでかつて僕を一晩寝かせなかったゾンビの大群がいた!。
歩美「ひゃっ!。」ぎゅっ!
桜「いきなり抱き着かないでよ!。」
ついに耐えられなくなった僕は反射的に桜に抱き着いてしまった。ゾンビの恐怖と妹に抱き着いたことによる恥ずかしさで僕が顔を青くしたり赤くしたりしているとさすがに桜も僕の異変に気付いたのか話しかけられてしまった。
桜「どうしたの?、お兄ちゃん。」
歩美「ど、どうもしてないよ。」
僕がそういうと桜はじゃあ問題ないといわんばかりにゲームを再開しようとする。
歩美「ま、待って!。」
桜「お兄ちゃん、ゾンビが怖いんでしょ。」
ついに桜にばれてしまった。どうしよう。
歩美「そ、そんなこと・・・。」
桜「もう隠さなくていいよ。だいたいお兄ちゃんがゾンビが怖いことはもともと知ってたし。怖がるお兄ちゃんもかわいかったよ♡。」
なんと桜は僕がゾンビが苦手なことを知っていたのだ。そのうえで僕にゲームをさせるなんて鬼畜の所業じゃないか!。
歩美「ひどい!。」
桜「最初から僕はこのゲームは怖いのでできませんって言ってくれればやらなかったのに。」ニヤニヤ
いくらなんでもひどすぎる。僕が怒っていると桜の大きな手が優しく僕の頭に乗せられた。
桜「頭、撫でてあげるから機嫌なおしてよ。」
ほんとずるい。これをされると僕はもう何も言えなくなってしまう。桜の大きな手に僕の頭が包まれる。気が付くと僕は寝てしまっていた。
桜「ほんと、お兄ちゃんってかわいくて私の弟みたい。」
桜が何か言った気もするが内容まではよくわからなかった。
次回の投稿は2020年8月20日です。3話目までは毎日投稿ですが4話目以降は週ごとの投稿とさせていただきます。