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悪女の王子様 END5 「違う」
「あの方の仲間……いいえ、仲間にしたいだけ。
第一、王でもないのに首なんてとらないわ」
それもそうか……。こわばった表情が和らぐ。
「あら、私のこと追い出さないの?」
「殺しに来たわけじゃないんだろ? それなら別にいてくれても構わないよ」
丁度ヒマをしていたところだ。
そういいながら、ボードゲームの盤をテーブルに乗せる。
スカウトに応じてもらうためには、接待プレイが必要だ。
しかしながら、リルはチェスなどの卓上ゲームに詳しくない。
わざと力を抜く必要がなく、大敗してしまう。
「……また来るわ。今度お返事聞かせてね」
指を弾いて居城へワープし、いつもヱンのいる書斎へ報告に行く。
「遅かったな」
重厚そうな金色の鎧男は淡々とした声で“首は頂いた”と告げる。
椅子に座る頭部のない男は本当に彼の方なのか?
どうして聖騎士がここに侵入しているのだろう?
「ヱン……様……?」
リルの頭の中では只々、目の前の亡骸への悲しみが膨れるばかりだった。
「これは定められた運命だ」
【ヘッドハンティング】