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マリスの国 共通1


「ここがイアクスタウンね」


イアクスは数百年前に大戦で落ちた城へと続く城下町。

……かつて大都市だったらしいけど、今では見る影もない。


「こんなところに財宝なんてあるのか?」

「財宝じゃなくて宝石よ」


“どっちも同じだろ”という小言は聞かなかったことにする。


「というか、いやなら帰ればいいでしょ。どうして着いてきたの?」



『お手紙とどいてるかな~』


早朝にポストを開けると、古びた宝の地図が入っていた。

。日焼けに虫食いがあり、臭いもほこりっぽくて悪戯にしては年代物に見せようと相当手が込んでいる。


『お兄ちゃん! ポストに宝の地図が入ってた!』

『は?』


‘イアクスに向かえ、宝石を神殿にかかげよ。さすらば汝の願いは叶わん’


あさっぱらから何を言い出すんだ? 妹よ、宝さがしなんてトシじゃないぞ。と目で訴えていた。


『こんなのイタズラに決まって……』

『待ってろイケメン!』



「お前に何かあったら親父にドヤされるっての! 

それにおふくろさんも心配するだろ」


やれやれとこれ見よがしにため息をつかれる。


「じゃあいこっか」

「……帰らないんかい」


兄が5歳・私は3歳の時、親の再婚の連れ子同士で兄妹になった。

だからあまり抵抗なく家族をやれていると思う。


「お兄ちゃん、まずはこの場所がどこか把握しましょ」


広場にマップがあるだろうと、兄が先に進む。


「おい待てアマリリス。……誰かいるぞ」

「どうしたの?」


急に立ち止まり壁に隠れて静かにするよう言われる。一体何だろう? 

そう思いこっそり覗いてみると羽帽子にマントでいかにも

旅人の恰好をしたロングヘアの男性が広場でウロウロしていた。


「その恰好で言って大丈夫?」

「何がだよ」


私はもう見慣れているが兄は目元のみ隠す蝶の仮面にタキシードでいかにもな怪盗ルックである。


「こんなとこ来んのはトレジャーハンターくらいだ。

むしろ雰囲気ピッタリじゃないか?」


言われてみると問題なく聞こえる。とにかく男性に話しかけることにした。


「あのー」

「おや、貴女方はもしや」


彼の右手には私の持っている地図と同じものが握られていた。


「今朝郵便受けに入っていまして」

「私も同じの持ってるわ」


持っている地図を見せると、何かに気がついた様子で地図を差し出される。


‘汝、イアクスへ向かうべし さすらば真実の扉開かん’


「内容が違ってる!?」

「地図の送り主は無差別にこれを入れたわけではなく、

明確に個人に向けているわけか」


急に怖くなってきて、この町から出ようとマスケラの手を引いて走る。

入り口の門に近づくと、見えない力に弾かれた。


「どうする?」

「ここは皆で一緒に行動したほうがいいのでは?」


彼の提案に乗り、広場のマップの通りに屋敷、学校、教会をまわることにした。


「紹介が遅れたわね、あたしアマリリス。気軽に愛称で呼んでね」

「僕はエンザムルです」

「俺はマスケラ。年も近そうだし敬語はよせよ」


■■


「お金持ちのお屋敷!」

「あんまはしゃぐなよ」


入り口に指輪が落ちていたので、拾ってポケットにしまう。


「入ろうか」

「はーい」


宝箱の一つでもあれば、とマスケラが呟く。

すると物の数分でみつけてしまった。なんでも言ってみるものね。


「う……」


ガタンと物音がして、なんだろうと思ってキッチンへ入る。


「誰か倒れてる!」

「そうだ……この宝箱の中にあった薬草……」


青年に薬草を渡すとロボットのようにゴツゴツの腕が伸びてきた。

関節は細かいパーツが組み立てられたような細かい線が入っている。

やはり鉄でできた腕なのか、触れたときにヒヤりとした。


「ありがとう」


彼はそのまま自分で起き上がって薬草を食べた。









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