【第一問】女子共はキモくてウザくて仕方ない。(Part 2)
◇ ◆ ◆ ◇
中心に大木があるロータリーをぐるりと走り、夕日が綺麗に見える『連立大橋』を渡り、勾配のきつい『不死身坂』を登り――約20分後、校舎の敷地にある駐輪場に着いた。
「ふぅ~、疲れた……」
ちょっと急ぎ目に走りすぎたからか、結構身体がだるい。生徒玄関の小さな階段を上るだけでも息が切れてしまう。そんな風に疲れ果てながらもボクは自分の行くべき『2年D組』へと足を運び――いつものように、いつも通りに、教室のドアを普通に開ける。
「…………」
しーん…………と、いつも通り、教室は閑静としている。
別にボクが来たから白けたとかではなく、ただ単純に誰もいないからだ。
ここで誰にも挨拶する/される相手がいないという現実は結構もの寂しいが、しかし別にボクはそれでいいと思っている――こんな精神異常者に友達なんて、そんなにできない訳だし(別に悔やんでいる訳ではない)。
それから一番後ろの席に行き、バッグを机上に置く。
さしてする事もないボクは暇潰しに一人で数学の勉強でもしようとワークをバッグから取り出す。
「今日は一時間目が数Ⅱだから、早めにやっとこっか――」
と、その時だった――ボクは早速嫌な女子のオーラを察知した。
そして、すぐさま後ろを振り向くと、
「あら、剣山貴仁、おはよう」
と、そんな風に抑揚もない挨拶を背後からしたのは、彼女――喜入宵だった。
「……げぇっ、お、おはよう……」
「何その湿気た挨拶は。もっと仰々(ぎょうぎょう)しく神を崇めるように挨拶しなさい」
ドS的命令を、さらっと言ってのける喜入は無表情だった。
喜入宵――学年一の秀才、まるで二次元にいそうなタイプのドSキャラ(ボクに対してだけ)。女子の割には身長も高く、ちょっと立派に成長しすぎた深窓の令嬢だ。
「何、私を勉強のライバル、好敵手だと思っているのでしょう? だったら少しくらい気持ちのいい挨拶をしなさい。でないと『お仕置き×19』を実行するわよ?」
「…………っ!?」
何で教室に入って早々、クラスメイトにドS発言してんだよ! 恐ろしくて声も出ない! まして喜入のボイスはアイドル系の声ではなく、低めの声だから余計に怖い……
「もういいわ、じれったいからお仕置き執行よ」
「え、何をする気なの? 滅茶苦茶怖いんだけど。それに近寄って来ないで」
「暴力的なお仕置きか、それとも精神的なお仕置きか、それとも性的なお仕置きか」
「選択肢の最後はなんかズレてるけど……」
この期に及んでそんなえっちなお仕置きをされても……、ここは学校なんだぞ? 清く正しい公共の場なんだぞ? なのにどうしてそんなことしようってんだ、天才が。
「じゃあここは、外見上のことを考慮して精神的な攻撃にしましょうか? それだったらいいわよね、剣山貴仁。傷を残すような肉体暴力は後々他の人にバレちゃうしね」
「は、はいっ!? それが理由なのか!?」
もうこれ完全にいじめの域に入るんじゃないか?
担任の先生にでも相談しようかな? いっそのこと教育委員会にでも――
「もしも先生にいじめられていると報告してみなさい。ただちに性的暴行に走るから」
「もうその時点で立派ないじめ――いや、もう既に犯罪だよ。警察呼ぶからな」
実のところこんなやり取り自体は日常茶飯事の茶番みたいなもので、ボクはこれくらいの仕打ちは全然我慢できる。何せ学力学年一位の喜入と学力学年二位のボクだから、こんな惨めな争いごととか、勉強以外の日常でもよくあることなのだ。
「何をほざいているの、この下種が。少しは勉強したらどう? 特に苦手な数学や保健体育とか保健体育とか保健体育とか、人間の勉強したらどう? 女の勉強とかも」
「数学は嫌いだけど、保体は別に苦手じゃない。ああ、そういう意味じゃないからな」
「あらそうでしたっけすいませんすいませんついてっきり」
棒読みで謝られても許す気にならない……
そもそもボクは、積極的に関わってくるような女子がこの世で一番嫌いだ。
先述の通り、ボクは女が尋常でない程好きではない。
今すぐにでもボクの周りから消えてほしいとさえ思っている。
じゃあ、どうしてこうも喜入と仲良く人間的に付き合っているのかというと、それはただ『勉強の勝負』やら『色々な貸し』があるというだけであり、本当にそれ以外のことはない何もない。
女子は本当に嫌いだけれど、だからと言ってボクの気持ちだけが最優先されるような、そんな都合の良い世界ではない――ここは三次元なのだから、それが当然だ。
「…………」
「どうしたの? 私の大きな胸を見ちゃって。クラスで二番目の大きさに惚れたの?」
「あのー、そろそろドS系の声でドS系で汚い台詞言うの止めてくれない?」
一応、喜入宵自身の好感度にも繋がりかねないし……
「あらあらもう耐えられないの? 欲情処理だったら今ここでしてもいいわよ? 私が優しく慰めてあげるから、ね? ほら一発出しなさい今すぐにっ!」
「怖っ!? 顔がガチになってる!? こんなの誰かが見てたら大変だ!」
背筋がゾクゾクする。普通に危機的な意味で心臓がドキドキする。
普通ならば、こんなアホガールが学力学年一位だとは誰も思えないだろう。
だが、そんなドS態度を取るのはボクに対してだけであり、他の男子や女子がいる時は別段どうということはないのである。
それに加えて、友達らしい友達など喜入にいない――それが唯一ボクとの共通解だ。
「どうしたの剣山貴仁。そんなに思案顔になっちゃって。我慢できずに愛の液体を出しちゃいそうなの? だったら私がお口の中で受け止めてあげる。ほら、あーん」
「……はぁあ、別にボクはお前に欲情してないし。それに、ボクは本来利口な、大人しい一男子高校生なんだよ。変にボクを汚染するのを止めてもらえないか?」
ボクは今日一番の意気揚々とした感じで、反撃に打って出てみた。
がしかし、「じゃあもうそろそろ、お仕置き実行だわね」と言い、喜入は続けて、
人の悪い笑みを浮かべて言い放った――
「そういえば、今朝バス降りる時、安城蓮が『リボン忘れた』って大騒ぎしてたわよ」
安城蓮――――久しぶりに、ボクはその女子の名を聞いた。
「……………………」
ボクは既読無視という目逸らしを行使する――でも、これは正当防衛である。本当は無視するのは吝かではないのだが、しかし今回は例外だ。
こればかりはしょうがない……
「それで、周りの人が安城蓮に気遣って声をかけていて、話によると、いや、盗み聞きの結果から推測するに、どうやらそれは、安城のブレザーの胸ポケットに入っていたらしいよ。胸ポケットよ、胸。胸のポケットよ、胸。谷間じゃないわよ、胸だわよ、胸」
「……あっそ」
胸って言葉を強調するな。ボクは思春期に入っていないんだよ。そんなんでどきまぎすると思っているのか、こいつは? 全く精神的いじめになってないぞ?
「どうしたの? 剣山貴仁。胸が痛むの?」
「別に痛くねーよ……でも、」
でも、ある意味、胸は痛んだ。
「あの女の名前を聞いたから胸がズキンズキン痛んだんじゃないの?」
「…………っ!」
「そう、痛んだのね。それは良かった、ちゃんと精神的なお仕置きができたわ」
「くっ、それが精神的な暴力だったのかよ……」
「でも私って直截的な暴力はまだふるってないじゃない。全部精神的に追い詰めてあなたを攻撃し続けているだけじゃない。だから感謝なさい、剣山貴仁」
実に冷淡な態度でそう言われ、ボクはどんな表情をしていいのか分からなかった。
一悶着あった末、ボクはさっきやろうと思っていた数学の問題集に取りかかる。
【例題1 次の方程式 x3-4x2+6x-4=0 を解け。ただし実数解とする】
「――先ずは因数分解から始めるのよ、その問題は」
真面目な雰囲気を醸し出して言うのは、またしても彼女、喜入だった。
「……な、なんだよ、放って置いてくれよ。ボクは一人で解くんだ」
喜入と話している間も全然他のクラスメイトとか来ないし、ずーっと二人っきりというラブコメみたいな状況が続いている――友達はいないけれど、でもとりま誰か早く来てほしい。女子といるのはボクにとって最悪な地獄なのだから――
「つべこべ言ってない――いや、ここは私が丁寧に素早く教えてえげましょうか?」
そんなことを言うや否や、喜入はボクの席に急接近して、ボクの右手をシャーペンごと握ってきた――まるで平仮名の書き方を教えるお母さんのように、優しく。
って、距離が近い! 近すぎて集中できない! 吐息がかかってるよ!
こんなにも嫌いな下等生物が近くにいると、本当に勉強どころじゃない! 分かりやすくたとえて言うなら、ゴキブリに直に触っている感じだ! それに、左側の柔らかい何かが軽く触れちゃってるんですけど! 汚らわしいから退けて!
「じゃあ動くわよ。この問題の場合、私なら簡易代入方式で解くかしら」
しかし、そんなボクに構わず、勉強好きの喜入宵は教え始めた。
「……か、簡易代入方式?」
「ええ、例えば『x=1』を代入して、そして等式が成立すれば、一つの因数に『(x-1)』が含まれることが分かるでしょ?」
「え、そんな当てずっぽうなことしていいのか?」
「大丈夫。実数であればそれくらいはできるから」
案外優し目に教えてくれる喜入――こうして見ると確かに学年一位然と思える。
「ほら、ぼーっとしてないで。『x=1』を入れると、方程式の数は、」
果たして、変数にでたらめな数字を入れて、本当に等しくなるんだろうか?
「残念ながら左辺が『-1』で成立しないわね」
「え? じゃあこんなでたらめ駄目じゃないか。何だよ、そうやってボクを嵌め――」
「こういう時は他に当てはまる数字を考えるのよ。じゃあ次に『x=2』を代入すると、」
果たして、今度こそ本当に等しくなるんだろうか?
「うん、なったわ。ちゃんと等式になるでしょ?」
「確かに、綺麗さっぱり両辺とも『0』になった!」
おお、本当にできた! すげぇ! 初めてこいつに感心した!
「まだ終わってないわよ。次に因数が分かったなら、組み立て除法をするのよ」
「く、組み立て除法?」
それは何となく授業中に聞いたことだが、どうやるのかは全く知らない。実践したことはないし、それに数学なんか滅多に勉強しないし、だから数学も女子と同じくらいに苦手なんだろう、きっとボクは。
「ほら、さっさと腰を――じゃなくて手を動かしなさい」
「はいはい……」
それから実数解『x=2』がちゃんと出た。
「はい、完成よ」
ボクに熱心指導してくれる喜入の手は、とても暖かくて、手汗がちょっとアレだったけれど、でもまあまあ嬉しかった。当然、これでボクの女子嫌いが治るわけではないが。
「……そういえば、急に手を密着させてごめんなさい」
「え、あ、いいや。全然大丈夫だから。こっちこそ、手汗が……」
絶対引かれちゃったよな……まあ別に困ることなど一片もないが。
女が嫌いなんだから、嫌われる程度のことは本望でさえあるのだ――
すると、喜入は漸くボクから身体を離れて言う。
「勉強とは何も厭わずに突き進んでやるもの。勉強することに恥じたり、悔いたり、一喜一憂する必要すらないわ。七転び八起きしてでも、躍起にやる、それが勉強よ」
一家言ある喜入を、ボクは格好良く思ってしまった。
「凄い、最早格言の域だ。流石は学校一の天才、本当に二次元のような奴」
「格言なんかじゃないわ。これは当然の世の真理――数学の実数みたいなものよ」
数学に寄せて言わなくていいから。もう数学は十分だから。お腹いっぱいだから。
「それに、私の胸が――詳しくは左側の胸が剣山貴仁の背中に触れていたことは、なかったことにしてあげるわ。だから忘れていいわよ」
「!? 気付いてたんなら自分から離せよ! まるでボクが悪者みたいじゃないか」
そうやっていつもいつも、権謀術数してボクをいじめるんだから……
「――お、おはようございます」
と、ボクたちが元の関係に戻った矢先のこと、とある女子生徒が教室に入ってきた。
「…………」「おはようございます、筑波実輝」
一瞬間を置いた後に喜入が筑波さんに平凡な返事をする――対してボクは無視した。
筑波実輝さん――同じクラスメイトの大人しい、眼鏡をかけたショートボムの女子。
『実』や『輝』という文字から連想される程平素明るい性格ではなく、真面目な人だ。
「ところで、今日の数学の予習はしたかしら、筑波実輝」
「う、うん、勿論したよ? そ、それがどうかしたの?」
「さっき、あそこにいる剣山貴仁という男に方程式の問題を教えたのよ」
「へ、へぇー。そ、そうなんだー」
筑波さんは非常に興味なさそうに抑揚のない返事をする――元々、皆と和気藹々と話すタイプではないから、自然とそうなってしまっているのだろう。
というか喜入、勝手にボクの話を他の女子にするな。
「それで、彼が何も分からないというから、私が胸の谷間を使って教えてあげたのよ」
「む、むむ、むむむむむむむむむむ胸の、た、たた、たたたたたたたたたた谷間っ!?」
激しく動揺したのか筑波さんは叫び声をあげ、そしてボクもまた聞き捨てならなかった為に、彼女ら女子共の会話に仕方なく割り込む。
「そんなことされた覚えないぞ! 変な嘘言うな! またそうやってボクを精神的に殺すきか!」
「何を言ってるの? あなたが私の胸にタッチしたのは事実でしょ?」
「触れてない触れてない触れてない!」「た、タッチしたぁぁぁぁぁっ!?」
ボクの声とほぼ同時にかぶるように、筑波さんもまた声を荒げて言う。
おいおい、どうすんだよ、このジレンマ! 収拾がつかないんですけど!
「……つ、筑波さん、これは、その、違うんだよ! ボクは何もしてない! ちょっと女性の身体の一部分に、凹凸部分に間接的に触れただけだ! 生でタッチしてない!」
「あらあら酷く激しく動揺しちゃって、剣山貴仁。でも女性の大切な部位を凹凸という単語で表現するのは不謹慎だわ。『お仕置き×45』が必要みたいね」
「またそうやってボクをからかう! ボクよりも勉強ができるからって」
調子に乗るなよ。もしやボクに何か深い恨みでもあるのか、こいつ?
「さっさと認めなさい、この童貞野郎」
「童貞の何が悪いんだ! むしろ童貞こそ美しいだろ!」
ボクの言を耳にした筑波さんはどきっとして、顔を真っ赤に染めて驚く。
と、タイミングよく――否、タイミング悪く、とある男子が「おはようっす」と言った。
「お、おはよう、串本」と、人気者の彼に、ボクは知り合いとして、クラスメイトとして挨拶を返す。
串本斗――美男子系系キャラとして学校では際立って有名人。女子みたいな声をしていて、「本当にこいつ男子かよ?」という感じの奴だ。
「ちぇっ、とうとう来たか、串本斗。いつもいつも男のくせに女みたいで汚らわしい!」
と、苦言を呈したのは喜入で、ボクの所有物であるシャーペンで机をがんがん叩く。
どうやらよっぽど彼のことが嫌いというか、気に食わないようだ。
「何でそこまで嫌悪感を示すんだよ、喜入。別にお前だっては女子の中では一番大人らしいって、色んな人から評判なのに……って、いや、何も知らないけ――」
「! な、何ですって!?」
初めてボクの言葉だけで喜入が激しく動揺した。
「お、おはよう串本君」
と、ボクたちの会話に興味なかったのか、筑波さんは女子らしい男子に挨拶する。
「おう、おはよう、実輝さん。今日はいい天気だね!」
涼しげに返答する串本を見て、再びは喜入が、
「ふんっ! 私が大人びていて可愛いのは当然なのよ。あんな格好つけ男になんか、異性として負けるものか!」
女子の低いボイスで意地を張る喜入――串本と犬猿の仲なのか?
「そういえば串本斗ってどれくらいの学力の持ち主なのかしら。少なくとも私――喜入宵様よりは下のはずでしょうが」
「お前が一位なんだから当たり前だろ。でもさ、そんなに学力差なんか気にするなよ」
そんなに学力だけが重要なのか? 漫画であれば、学力カースト制みたいなものは許諾されるだろうが、しかし何度も何度も言うが、ここはしっかりとした三次元世界なのだ。
「そんなことはいいから、ちょっと串本斗と一緒に話して、学力を聞いてきなさい」
「ボクはお前の召使か何かかよ!? 気にならないでもないけど、それは聞かない」
「剣山貴仁、あなたって確か彼と仲良しだったはずだよね?」
「……最近は、その、あんまり……って、お前は知ってるだろ」
「あら、ご主人様に逆らう気なの? じゃあまたお仕置きが――」
「分かりました分かりました! 聞きます聞きます!」
どうしてボクなんかがこいつの言いなりになんなきゃいけないんだよ……
女子という生物から嫌われたりするのは別にどうとも思わないが、しかし同じ人間として、流石にそれは看過し続けることできない。
ということで、「串本は数学の方程式の課題やった?」と聞いてみた。
普通に話しかけた。
すると、彼は少し俯きながらぼそっと答える。
「ああ、一応やってはいる、だけど、多分間違ってるよ、どうせ……」
「ぇっ…………」
一瞬間だけ謎の沈黙が走り、謎に白ける。
「――ち、ちなみに何て答え書いたんだ?」
「い、いや。もう消しゴムで答えを消しちゃったから――覚えてないな。ごめん」
ほら、やっぱり、予想通りだ――
去年の冬辺りからか――正確にはボクがとある事件に遭遇してからのこと、こいつの態度が冷たい。故意に避けられているというか、嫌われているというか――
ただ、ボクだけに冷たい――真冬の雪のように、冷たいのだ。
ひょっとしたら気の所為か? いや、ラインの返信も遅いしな……
「えっと……、おお、そう、か……。じゃあ、いいや。こっちこそごめん」
てか、何でボクが謝ってるの!? ただご主人様に服従して、嫌々しくやってんのに!?
はあ、この格差もどうにかならないんだろうか、やはり辛いものは辛い……
「わ、私は因数分解から、『x=2』にしたよ?」
と、まるでずっと仲よく一緒に会話していたかのように、筑波さんが俄然答えた。
「?」
どうしてだろう? いっつも自分からはがっついてこない、そんな控えめ女子なのに。いや、よく考えたら、ボクが勝手に串本と筑波さんの仲に割り込んだからか?
「適当にxに値をいれて、計算するだけでできるんだよ、串本君!」
「ああ、そうか、なるほど。実数ね。おけおけ、ありがとう、実輝さん」
「い、いいえ、どういたしまして!」
ボクの真横で平然とラブコメ雰囲気じみたのを醸し出している彼ら。
不愉快極まりない。