ファジー
「なんとなくが一番だよ」
彼はそう言っていた。
カッコつけかどうかは知らないけれど、それを彼はファジーな性格と呼んでいた。
一応のところ、意味としては当たっている。
なんとなくとか、0と1の間とか。そういう感覚の意味だからだ。
ただ、はっきりしてほしいところもファジーで貫こうとしていた。
それが、私が彼と分かれた理由。
とはいっても、完全に縁が切れたわけじゃない。
メールのやり取りはするし、友達のような感覚で会う。
相談事にも乗ってくれる。
言いにくいことも、彼になら話すことができる。
私に言葉に耳を傾けてくれて、なんとなくで全部済ませてしまうけど。
それは、私は本当は決めていたからだ。
だから彼はファジーで生きていける。
相手が本当は答えを持っているのを知っているから。