いつからやるの? 今からでしょう!
ついに陸が勉強をやり始める!?
ここは陸の家の陸の部屋。
「・・・陸。」
勉強の神さまのスタディーは呆れる。
「なに?」
陸はゲームをしている。
「勉強をするんじゃなかったんですか?」
勉強の神さまのスタディーは陸に言う。
「そうでした。アハハハ・・・。」
陸はゲームをやめる。今までゲームばかりしていたので、そんな簡単にはゲームをやめることができない。人は、そんなすぐには変わらない。
「勉強はいつからやるの?」
勉強の神さまのスタディーは、ノリノリで陸に聞く。
「今からでしょう!」
陸は勉強が嫌いだが、勉強の神さまのスタディーに楽しく言われると、嫌な勉強もなんだか楽しく思える。
「でも、神さま。」
「なんですか?」
「勉強をやると言っても、何からやればいいか分からないよ?」
陸の疑問は、勉強がどこから分からなくなったのか、分からない子供の心である。いざ、勉強をがんばろうと思っても、何をすればいいのか分からないのだ。
「分からない時は、最初に戻ればいいんですよ。」
「最初?」
「小学1年生の勉強から始めましょう。」
分からない時は基本から。ということで、勉強の神さまのスタディーは、陸に小学1年生の勉強からやるように言う。
「小学1年生の勉強なら、俺でもできるだろう。」
陸も難しい勉強からではなく、簡単そうな小学1年生の勉強から始めてくれることに安心した。おかげで勉強する意欲が下がらなくて済んだ。
「ポイントはここからです。」
「ポイント?」
「小学1年生の科目を1日ずつで終えてもらいます。」
「なんですと!?」
陸は勉強の神さまのスタディーの1日1科目を終えるという勉強の仕方にビックリした。
「む、無理だよ!? 俺、そんなに勉強のこと好きじゃないもん!?」
陸は、勉強をする前から、自分には無理だと言ってしまう。
「そんなことはありません。陸なら簡単にできますよ。」
勉強の神さまのスタディーは、陸なら勉強も簡単にできると自信満々でした。
「無理だって!?」
陸は、あくまでも抵抗します。
「陸が自信が持てるように、ゲームで例えてあげましょう。」
「ゲームで!?」
勉強をゲームで例える。これは勉強が嫌いな陸のために、ゲームが好きな陸に分かりやすいように伝えるためである。
「陸、新しいゲームが始まったら、その日の1日の間にレベルはいくつまで上げますか?」
「最初の日のレベル上げは、30くらいまで上げるかな。」
「それと一緒です。」
陸には勉強とゲームが一緒なのが分からない。1日でゲームのレベルを上げるのと、1日で勉強のレベルを上げるのは同じである。
「ゲームの主人公のレベルを上げるのと、陸の勉強のレベルを上げるのは同じです。」
違うには、陸が勉強が嫌いで、ゲームが好きということ。陸の勉強とゲームに対する気持ちが違うのである。
「それでは、小学1年生の国語から始めましょうか。」
「はい。」
早速、勉強の神さまのスタディーと陸の勉強が始まる。陸はいまいち乗り気ではなかった。
「それでは教科書を読んでください。それだけでいいですよ。」
「え? それだけでいいの?」
勉強の神さまのスタディーは復習は、教科書を読むだけでいいという。
「読めば自分が理解しているのかが分かります。例えば、読めない漢字は覚えていないので、覚えるように漢字を書く練習をしましょう。あと国語なので、漢字くらいしか、覚えないといけないものは、そんなにないので、気楽にいきましょう。」
「ええ、そうなんだ。そんなに簡単に考えて良かったんだ。」
「はい。勉強なんて、難しいと思わなければ、簡単ですよ。」
陸は、自分で勉強は難しいと思い込んでいたのである。簡単な勉強でも、勉強なので難しいと勝手に思い込んでしまっていたのである。
「小学1年生の国語の教科書1冊を読み終えたら、今日の勉強は終わりです。あとはゲームしていてもいいですよ。」
「本当!? 読む! 読む! 教科書を読みます!」
勉強が終われば、ゲームをしていても良いという言葉に、陸は教科書を読み始めた。陸の大好きなものをエサに、陸の勉強をやる気にさせたのだ。さすがは勉強の神さまのスタディーである。
「おはよう、こんにちわ、こんばんわ。・・・。」
陸は教科書を読み進める。勉強が嫌いなはずの陸だが、小学1年生の国語の教科書ということもあって、スラスラと読んでページをめくっていく。
(あれ? 俺って・・・字が読めたんだ!?)
陸は自分が国語の教科書をスラスラ読めることに初めて気づいた。
(あれ? 国語なんか大っ嫌いで、本なんてマンガしか読まないのに・・・不思議だ!? 国語の教科書が読めるぞ。)
陸は、勉強のことが嫌いだ。もちろん国語などという勉強の大黒柱も大っ嫌いである。だから、ずっと勉強なんかしてこなかったけど、不思議と文字が読めるのだった。
「陸、どうですか?」
「神さま!? 俺!? 俺!? 教科書が読めるよ!?」
「そりゃそうです。マンガでも読んで要れば、漢字も覚えますからね。」
できれば教科書や一般図書を読んでほしいと思うかもしれないが、それすら嫌だというのであれば、マンガでも読んでいれば、不思議と自然に漢字は覚えるものである。マンガで物語を読んでいれば、漢字も覚えているものである。
「陸は勉強が嫌いで、だから国語も嫌いだという考え方ですが、どうですか? 教科書が読めると分かったら、楽しいと思えなくても、おもしろいとは思えるでしょう。」
「そ、そういえば・・・読めるからか・・・嫌いじゃないかも。」
陸の中で、少しだけだが国語に対する気持ちの持ち方が変わってきた。
「さあ! 陸! 国語の教科書はいつから読むの?」
「今からでしょう!」
「それでいいです。早く教科書を読んで、ゲームして遊びましょう。」
「おお!」
陸は勉強の神さまのスタディーに促されるまま、やる気を持って国語の教科書を読み始めた。
(なんだ!? 俺でも簡単に読めるぞ!? 小学1年生の頃、こんな簡単な教科書を1年もかけて勉強していたのか!? こんなもの1日もあれば終わるぞ!?)
陸に不思議な気持ちが芽生えていた。今までは勉強が嫌いだ。だから面白くなかった。それが自分が国語の教科書を読めると分かると、新しい疑問を感じてきた。
「学校の教科書なんて、そんなレベルですよ。」
「神さま。」
「だから陽菜ちゃんや漣は、さっさと学校の授業を終えて、英語の勉強をしたり、一流大学の受験勉強をやっていますよ。」
「なんだって!?」
陸は今まで勉強などしてこなかった。しかし人間社会の恐ろしさを知っている、陽菜ちゃんや漣は、小学校の教科書など、さっさと勉強をして終わらして、自分の夢や希望を叶えるための勉強をしている。
「よし! 俺も小学1年生の国語の教科書くらい、すぐに読み終えてやる!」
陸は気合を入れて、国語の教科書を読み始めた。
(いいですね。今の国語の教科書を読んでいる陸は、本当にゲームをしている時と同じくらい集中しています。これならゲームだけでなく、勉強のレベルも、すぐに上がります。)
勉強の神さまのスタディーは、勉強を嫌いだと言っていた陸が、勉強をしている姿がうれしかった。
「できた! 小学1年生の国語の教科書、読み終わったぞ!」
陸は、本日の勉強、小学1年生の国語の教科書を読み終えた。勉強が嫌いな陸でも、わずか1時間ぐらいで読み終えてしまった。
「陸! すごい! やればできるじゃないですか!」
「え? そう、そうかな。アハハハハ!」
「いやあ~、陸が教科書が読めるとは思いませんでした。」
「俺ぐらいになると、勉強をしていなくても、教科書くらいは読めるのだ! アハハハハ!」
陸は、教科書が読めるて、勉強の神さまのスタディーに、ほめてもらえたのがうれしかった。
(やればできる! やればできるのかもしれない!)
陸は自分でもがんばれば、勉強ができる、勉強ができるのかもしれないという可能性を、陸自身も感じていた。
(陸の成長が楽しみです。)
勉強の神さまのスタディーも、もしかしたら陸なら、今から勉強をがんばれば、とても勉強ができる子になりそうな可能性を感じて嬉しかった。
「よし! ゲームするぞ!」
陸は今日の勉強が終わったので、ゲームを始める。
「それでいいです。勉強で汗をかいた後は、しっかり遊ぶことが大切です。」
勉強の神さまのスタディーと陸の約束で、今日の勉強が終わったら、正々堂々とゲームをして遊んでいてもいいという約束だった。勉強をするとゲームで遊んでもいいというローテーションを作ると、陸はゲームをするために、勉強をする。これが勉強をする習慣付けには良いのである。
「今日もレベルを上げるぞ!」
陸はゲームを堂々とできることが、無意識にうれしかった。毎日、同じゲームをやっていても、今日の勉強を終えてからするゲームは、いつもより楽しく感じた。
「陸、しっかり遊ぶんですよ。」
勉強の神さまのスタディーは、神さまなので約束は果たすのであった。そして、陸は、まだ子供なので勉強をしたら、しっかりと遊んでほしいのである。
「陸が遊んでいる間に、陸の勉強スケジュールでも考えますか。」
勉強の神さまのスタディーは、陸がゲームをしている間に、陸の今後の学習スケジュールを考えるのであった。
「明日は小学1年生の算数。次の日は・・・英語でもやらすか? ヘッヘヘヘ。」
勉強の神さまのスタディーは不敵に笑う。算数というのは小学校1年生でもあるが、英語の授業というのはない。
「算数は陸でもできるでしょう。」
そう、陸は勉強が嫌いなのではなく、勉強をやらなかったという、食わず嫌いであった。マンガとゲームの攻略本を読める陸なので、最低限の本を読む能力はあるのだった。
「問題は英語ですね。いきなり英語をやれと言っても、できないのは普通ですしね。」
勉強の神さまのスタディーは、どうすれば陸にスムーズに英語を勉強させることができるかを考えた。
「キラーン! さすが私は勉強の神さまです! フォッフォッフォ!」
勉強の神さまのスタディーに、ネ申が降臨された。そして、陸の遊んでいるゲームを見つめる。
「勉強クエストよ! 英語交じりになれ! スタ・スタ・スタディー!」
勉強の神さまのスタディーから、神の神々しい光が放たれ、陸が遊んでいるゲームに光が吸収されていく。
「あれ? 呪文がスペルって、言葉に変わっている? まあいいか?」
陸の遊んでいるゲームの文字が少しずつ、カタカナ英語読みに変わっていく。陸はゲームとしては当たり前のことなので、全く気にしていなかった。
「くらえ! ファイア!」
ゲームの中の火で攻撃する言葉が、火からファイアに変わっていた。
「とどめのファイアボール!」
ゲームの中の敵に、火の玉で攻撃する。火の玉という言葉も、ファイアボールに変わっていた。
「やったー! 敵を倒したぞ!」
陸はゲームの中の言葉が、日本語からカタカナ英語読みに変わっていても、何も気にしなかった。どちらかというと、言い方がカッコ良くなったのでご満悦だった。
「どうやら陸もゲームなので、楽しんで英語を勉強してくれてますね。」
勉強の神さまのスタディーの、陸に英語をスムーズに勉強してもらうための作戦が、陸の大好きなゲームにカタカナ英語読みを取り入れることから始めた。
「おお!? 兵士の文字の上にソルジャーって、文字が打ってある!?」
さすがの陸も、これは何か様子が変だと気づき始めた。しかし、ゲームをすることに忙しいので、勉強の神さまのスタディーに、何かおかしいと聞くことはしなかった。
「おお!? ソルジャーからパワーアップできるぞ!?」
陸がゲームの主人公の勇者リクのレベルを上げて、主人公の職業を変えることができるようになった。
「戦士がウォーリヤで、魔法使いがウイッチで、僧侶がプリンストか、どれにしようかな?」
陸は、ゲームの中の勇者リクをどれにジョブチェンジしようかなっと考える。
「勇者はヒーローか、やっぱり勇者のままでいよう。だって、カッコイイから。」
陸は結局、勇者からジョブチェンジはしなかった。やっぱり陸はカッコイイ勇者でいたかったのだ。
「よし! 武器屋に行って、新しい剣でも買うぞ!」
勇者リクは武器屋さんに行くことにした。
「武器屋さんもアームズショップに変えておきましょう。」
勉強の神さまのスタディーは、ゲームの中の武器屋をカタカナ英語読みに変えて、アームズショップに店の看板を変えた。
「あれ? 武器屋が消えた!?」
勇者リクはゲームの中の町を左右を見て、武器屋を探す。しかし目の前にある武器屋の看板がアームズショップに変わっているので、英語なんかを勉強したことがない陸には、アームズショップが武器屋とは読めなかった。
「陸には、少し早かったみたいですね。」
勉強の神さまのスタディーは、武器屋を探して迷子になっている陸を見て、ちょっとだけ自分のミスを反省する。
「武器屋はどこだ!?」
陸はあっちでもない、こっちでもないと町の中を武器屋を探して彷徨うのだった。
つづく。