海で遊ぼう1
「照りつける太陽! 白い砂浜! くーっ、海最高だ」
俺はビーチにパラソルや布を敷きながら言葉を漏らす。
あの暗い雰囲気のあと、俺はティアにある話を持ちかけた。
海で思いっきり遊ばないか、と。
ティアは快諾してくれた。友達や恋人と海でレジャーなんて素敵じゃないか、と。
「ええ! そうでございますな! 旦那!」
俺の呟きに答えるのは、元ギルドのテンプレかませ役のライナーだ。今では改心して、真面目に町のために尽くしてくれている。盾の使い手だ。
ここはティアの作り出した世界、そこに何故ライナーが居るのか、それは呼び寄せたからに他ならない。せっかく遊ぶのだからと、俺の町の主な住人もこの世界に招待することにしたのだ。ティアも快く承諾してくれた。顔合わせは必要だろうと。
そして、ティアを介しての念話を使って皆を呼び寄せたのだ。向こうはまだ夜だったが、ちゃんと皆集まってくれた。この世界では疲れやら眠気などを抑制することも出来るからな。時の流れが違うわけだから調整も可能というわけだ。
ちなみに、呼ぶときにこの世界のことなどは軽く説明したが、ティアの正体はまだ伝えていない。
そして勿論、ここにいるのはライナーだけではない。元コボルトで現在灰狼、忠犬みたいなアッシュや、悪魔族のハーフのバルザック、獅子の獣人のラオウなど、俺の町の主な面々がいる。ただし、男だけだが。
着替えや準備のために、男衆は先にビーチに来たのだ。ちなみに皆海パンだ。どこでそんなものを手に入れたのかというと、この世界の支配者のティアの指パッチンだ。ティアはこの世界においてはほぼ全知全能なので、物質の創造などもお手のもの。おそらくは俺の世界の水着を参考にしたのだろう、海でのレジャー関連のパラソルやら水着やら色々なものを創り出してくれた。
男たちはとっとと着替えてしまい、設備の設営やらのために海に来たのだ。
アリスをはじめとする、合流したのも含めた女子組はキャッキヤッしながら水着を選んでいたな。
「ユーヤ様、言ってくだされば我々がやりますのに……」
アッシュが所在なさげに言ってくる。
「いいや、俺にやらせてくれ、準備も含めてレジャーだからな。
……だが、手伝いだったら大歓迎だ。これを組み立ててくれないか」
俺がそう言うと、アッシュは耳と尻尾をピンとたてて、
「は、はい! おまかせを!」
と言った。こういうのは一応でも仕事を任せた方が上手くいくからな。ちなみに、組み立てを頼んだのはバーベキュー用のコンロや組立式のテーブルだ。ティアは本当に何でも出せるんだな……
アッシュは訳された説明書を片手に悪戦苦闘している。
……あっ、説明書投げた。強引にパーツを繋げようとしてる。
「っておい。……ガダン、バルザック、あれを手伝ってやってくれないか」
「おう! 任せろ」
「ええ、手伝った方が良さそうですね」
丁度近くで海を眺めて感嘆していた二人に援助を頼む。ガダンはドワーフ、バルザックは悪魔族のハーフで頭が良い。二人ならば適任だろう。
近くにはラオウもいたが……まあ、無理だろうな……
戦闘狂だしな……
俺が自分の設営したリラックススペースに満足していると、
「マスター! 着替えてきましたよー!」
ウルの元気な声が聞こえてきた。
「おう、こっちは準備が出来て……」
思わず言葉を飲み込んでしまった。
それほどの威力をあの集団は持っていた。
「じゃーん! どうです、マスター。似合ってます?」
「ふふふ、ウル君、ユーヤ君の反応を見れば言わずもがなでしょう」
まず目についたのが、太陽の女神……まさにそう形容したくなるような美女、ウル。銀色の長い髪を一部三つ編みにし、麦わら帽を頭に被せ、首の後ろで紐を結ぶタイプのビキニ、ホルターネックと言うんだったか? それを着ており、健康的な美を感じさせられた。
次がティアで、こちらは……正直直視が出来ない。圧倒的に美しい。水着はパレオタイプのようだが……。見ているのが申し訳なるほどだ。
っと、見とれていると横から衝撃が。
「っ、と? ……アリス?」
見てみると、そこには俺の体に抱きつくアリスの姿が。
……!! こ、これは…!
「うふふー、どうです、マスター。アリスくらいの見た目なら、やっぱりこれですよね」
ウルが楽しそうに言ってくるが、これは……
「ん……どう? にあう? お兄ちゃん」
上目遣いでジっと見つめてくるアリスの水着は……スク水だった。
「に、似合うぞ…?」
犯罪的にな。
スク水金髪美少女に抱きつかれているこの状況も犯罪的だな。
「ア、アリス! 離れなさい!」
タタタタと駆け寄ってきたのはハルネシア。ワンピースタイプのビキニを着ており、走るときに、アリシア以上の戦力を持つ胸部装甲が揺れている。目のやり場に困ります。
「あう……」
アリスが、首を親猫にくわえられた子猫のように引き剥がされる。
……あっ、アリスのスク水の胸元には平仮名で『ありす』の文字が。
本当にティアはまったく……もしかしたら、日本オタクなのか?
「ユーヤさまー! お待たせしま、へぶぅ!」
足を荷物に引っかけて盛大に転び砂を被ったのは、白狼のサクラ。
「おい! 大丈夫か!?」
「だ、だいじょうぶでふ……す、砂が口に……」
涙目だ。ティアから受け取った水を差し出して口をすすがせる。
「……ぺっ。……ふう、ありがとうございます。ユーヤ様。
……仕切り直して良いですか? ……さあ、どうですか! 似合いますかね!?」
サクラが立ち上がってポーズを決める。
残念な子という印象の強いサクラだが、やはりその容姿は目を見張るものがある。パンツタイプのビキニに、パーカーのようなものを羽織っているのだが、かっこいい系のサクラにとてもよく似合っている。
「ああ、とてもよく似合ってる」
「はあん……!」
頬に手を添えてイヤンイヤンしている。
「お待たせしました…」
「主様、遅れてすみません」
続いてやって来たのは、人族で俺の秘書のソフィアと、吸血鬼のアリシア。
「全然待ってないよ」
一度は言いたいこの台詞。
「それにしても……二人とも、凄いよく似合ってるな」
「そ、そんなこと……」
「て、照れますね……」
いや、本当に。ソフィアは、ハルネシアとはまた違った、露出の少ないタイプのワンピースを着ている。
アリシアは黒のビキニを着ており、黒髪とよく合っているし、色気がある。
他にも、ガダンの娘のエミリーやら、服屋のエリザベス、元コボルトたちなどが合流してきた。
「本当に……全員綺麗だな」
思わず感嘆の声が漏れてしまう。
すると、嬉し恥ずかしな様子でイヤンイヤンしていたウルがこちらに向き直り、
「でも、マスターも水着がよく似合ってますよ! というか、その腹筋がなかなか……」
よだれを垂らすな、よだれを。
まだ海は続きます(´・ω・`)
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下部にある、「妹勇者は魔王よりも兄に会いたい!」を読んでくれたら嬉しいな(´・ω・`)
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