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自己紹介アンド、○○

「ーーーーというわけで、住人が一人増えます」


 俺はこの場にいる皆に向け言う。


…………今思えば割りと毎回会議を開いてる気がする。

 でも今回は絶対必要だろ。なんたって、神様だもんな。


 皆はカミーユが神様だということに驚いていた。

 だが、マイナスな印象は受けないな。



「妾は魔神カミーユじゃ。皆、宜しく頼むの」


 カミーユが眠そうな目で挨拶する。

 カミーユは引っ越しが決まったときから荷造りしたり、ウルと魔法談義したりと忙しなかったからな。寝てないのだろう。


 それに比べてウルはまるで子供のようにずっとはしゃぎっぱなしだったが。


「エリザベスさんになついたアリシアの気持ちがわかりますねっ! これは、とても良いものです!」


 姉的存在が欲しかったのかね?

 分からんでもない。まぁ、俺は皆の(おさ)として自分より上位の存在はつくれないが、な……



「それじゃあ、俺から自己紹介を。皆も簡単にでいいから頼むぞ。

 俺はこの町のトップをしているユーヤ・ヤクモだ。竜神でもある。ヨロシク」


 こんなもんだろ。簡単にで。カミーユは既に知ってるだろうしな。


「次は私ですね!

 私はウルといいます。そしてマスターことユーヤ様の正妻でもあります! 

 それと…………そりゃ!」


 ウルがいきなり席を立ち、その場でクルっと回る。


 すると、


「……はい?」


 思わず間抜けな声を出してしまう。だけど仕方ないだろう。

 何故驚いたか、それはウルの服装が変わったからだ。


 さっきまでは極めて一般的な服を着ていた。だが、今は白のワンピースを着ている。

 はっきりいって……似合いすぎだ。俺はウルのことを見たときに思考が停止しかけた。綺麗すぎて。


「ドヤァ」


 ウルがどや顔をしている。というか、口にも出してる。

 俺が見惚れたことがばれてるみたいだ。今にも鼻歌でも歌いだしそうに上機嫌だし。


「この前、町に出掛けた時に皆で自分の服を用意したんですよ!

 買ったり、作ったりして。皆の準備が出来たので今日御披露目です! 着替えは私の空間魔法の応用で行います」


 どうやらそういうことらしい。

 無駄に技術の高いことを……

 だが、ナイスだウル。

 俺とウルはお互いに親指をたてあう。


「どうやら妾は利用されたのかの~。まぁ、面白そうだからよいが」


 カミーユは自己紹介の場がお披露目会と合同になったことを受け入れてるみたいだ。

 欠伸(あくび)を噛み殺しながらも、楽しそうにしている。



「それでは次は私が。

 私は主殿の恋人二番目です。諜報を専門とする部門、陽炎のリーダーもしています。そして……よっと」


 アリシアがヒラリとその場で回る。

 すると、


「似合いますかね…?」


 アリシアが少し不安そうに言う。



 なんだ? 俺は自分に都合のいい夢でも見ているのか?


 アリシアは着物、いや振り袖か? を着ている。

 全体は黒色。それに真っ赤な椿がいくつか咲いている柄だ。


 俺のアリシアへのイメージにピッタリはまっている。

 似合うかも、とは思ったがここまでとは……


「主殿……?」


「あ、ああ、すまない。似合いすぎで見とれていたんだ」


「あ、あるじぃ……」


 頬をその着物の椿のように赤く染めて嬉しそうにしている。

 これは、うん。とてもいいな。



「ん! 次は私!

 カミーユ、様? 私は、アリス。お兄ちゃんの恋人候補」


 アリスぅぅ!?

 お兄ちゃんはそんなこと初耳だぞ!?


 というか、こんなとこで言うか?

 カミーユがものすごい目で見てくるんだが!?


「こんな子供を……お主も業が深いの」


 やめろぉ! 


「カッカッカッ! 冗談じゃよ。この世界の人間は十代半ばで婚約する者も多いと聞くからの。


…………まぁ、妾は魔法だけの人生じゃったから、ついぞそんな相手は居なかったがのぉ…」


 はっ??

 アリスの見た目で、年齢で、結婚も可笑しくはないのか……?


 俺はよくわからなくなった。カミーユの後の言葉を聞き逃す程には。



「そして……んっ!」


 アリスも立ち上がり、クルクルとその場で回る。


 そうすると……


 そこにはセーラー服を来たアリスが。


 やっぱ駄目だろ!! アリスの見た目で俺と結婚なんて犯罪臭が凄いと思うぞ!?

 

 いや、前世では社会人でも、今の俺は20前後だったか?

 いやいや、それでも……


「マスターの世界の知識より、アリスに似合いそうな服を作りました。この町の技術の粋を集めた傑作です。防御力や耐性も万全ですよっ」


 ウルがこっそり耳打ちしてくる。俺の前世のこととかはまだ皆には話してないからな。まあ、神様とかが普通にいる世界だ。受け入れられるとは思うが、タイミングがな。 

 というか、よく再現したな。ちゃんとセーラー服だ。


 それにしても、似合いそうって……


「お兄ちゃん、……似合わない?」


 目をうりゅうりゅさせながらアリスが尋ねてくる。

 これに、ノーと言える人がいるか? いやいない。


「そんなことはない! とても似合ってるぞ。アリス」


「…………ん♪ とー、ぜんっ」

 

 アリスがその慎ましい胸を張る。



「では、次は私ですね。

 私はサクラです。ユーヤ様の恋人三番目。ユーヤ様の護衛が仕事ですかね?


 そして、よっと!」


 サクラも回る。


 すると、サクラの服も変わる。


 サクラはどうやらパーカーにホットパンツという装いのようだ。

 俺はサクラのことを格好いい美人と称したことがあったが、それがより極まっているように見える。

 脚の露出は増えたが、下品さはない。健康的な美を感じる。


「とても格好いいぞ」


「かっ、かっこいい……」


 サクラは喜ぶべきか悩んでいるようだ。


 俺はサクラに可愛いと告げてから、次の自己紹介を待つ。


 サクラは俺の言葉に、尻尾をブンブン振り回し、顔をニヨニヨさせて反応してた。

 本当に、締まらないなぁ。残念美人さんめ。


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