表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
79/95

なんかもう、無理。こいつ。

 ウル達が町に遊びにいった日から数日が経った。


 ウル達は帰ってきたら、皆落ち着かない様子だった。

 まあ、ウルに念話でティアのことを話したからな。仕方無いだろう。

 ウルは何故かとても嬉しそうで、ナイスですよ! マスター!

とか言っていたが。


 そんなこんなで、ちょっとした騒ぎはあったものの、ここのところは、いたって平和に過ごせている。

 ソフィアがずっとそわそわしていたり、アリスがずっと難しい顔をして唸っていたりと、気になることはあるが。まぁ、平和なもんだ。



「なあ、なんでここんところずっと落ち着かない様子なんだ?」


 ついに俺はソフィアに聞いてみる。

 場所は俺の仕事部屋。


「えっ!? えーーっと、そ、それはですね


…………あの!」


 ソフィアが狼狽した後に、遂に決心した、といった風に俺の目を見据える。


「実は……」

「ユーヤ様。町の入口で騒ぎが起きています。緊急です。ユーヤ様が出る必要があるかと」


 うん? アッシュが部屋に入って告げてくる。


「すまない、ソフィア。その話はまた後でもいいか?」


「え、ええ。構いませんわ


…………くっ、タイミングの悪い。騒ぎの元凶めぇ…!」


 何か呟いたようだが、これは聞かない方が吉だと思ったので遮断しとく。


「行くぞ。アッシュとソフィアもついてこい」


「「はい」」









「邪悪なる魔物め!! 勇者である僕が討伐してくれる!!」


「ちょっとお待ちください! 一体どういうわけでこんな……」


「ええい、黙れ!! 魔物め!!」


 騒ぎの現場が視界に入る。

 思ったよりも大変なことになってるようだ。


「魔物の話なんて聞くものか! 斬り捨ててくれる!」


 アア!? ちょっと待てや! 


 くっ、間に合わない!




 ギィィィィイン!!!


「貴方は何をしているのですか……?

 ことと次第によっては死ぬ覚悟はおありですか?」


 謎の人物がその趣味の悪い金色のゴテゴテした装飾のついた剣を、引き留めていたグレインに振り下ろした時……


 アリシアが間一髪、間に入るのが間に合ったみたいだ。



「おお!? 貴様、一体誰…………貴女は……、なんて美しいんだ! 何故こんなところに?」


 謎の男はその見た目だけは豪華な、青色の鎧を煌めかせながら、その少し長い髪をかきあげてアリシアにウインクする。


「こんな魔物の蔓延るところに居ないで、僕とご飯でもどうだい?」


 謎の男は、全く状況をかえりみずに、いきなりアリシアを食事に誘い出した。


「……すみません。吐きそうなのですが。一体どういう罰なのですか? それは」


 アリシアは嫌悪感を隠しもせずに切り捨てる。



「グレイン! アリシア! 無事か!?」


 今やっと到着した。


「ええ。怪我はありません。ユーヤ様」


「私もなにも。ただ、精神的なダメージは負わされましたがね」


 おおぅ。アリシアは静かにキレてらっしゃるみたいだ。


 俺は改めて男を観察する。


 青色の輝く鎧を身につけ、金色のゴテゴテした剣を手に持ち、ちゃんと機能するのかと疑いたくなるような装飾過多な盾を腕につけた男。顔は中々のイケメンで、長身だ。年齢は十代後半か? 



 そして、何よりも、その男は……


 髪が黒く、瞳が黒と茶色の、いかにもな日本人だった。


 俺が観察していることに気付いたらしい、男は、


「うん? この勇者マサト様に見惚れたのかい?」



…………ないわー。

 こんなん、ないわー。


 というか、勇者?



「いえ、この人は勇者なんかではありませんよ」


 ウルも来たみたいだ。

  

 やっぱり。こいつからは全然強者の雰囲気がない。


「おや? 貴女は……、なんて美しいんだ!! 僕にこそ相応しい方だ! 僕のハーレムに入らないかい?」


 この勇者(笑)なマサトはウルを口説き始めた。


「黙れ」


 ウルは勇者(笑)に絶対零度の眼差しをけ向ける。


…………あんなウル、見たことない。


「マスター、この無礼者はステータスを見ても構わないでしょう。覗いてみては?」


 ウルが、くるりと俺に振り返り、花咲笑顔を顔に浮かべ、提案してくる。



「うん? ははは! 残念だったね! 僕に鑑定は効かな……」




マサト アマザキ ・種族  人族

性別  男


レベル 20

HP    50,000/50,000

MP    50,000/50,000


・パワー    10,000

・スピード   10,000

・ディフェンス 10,000

・マジック   10,000

・マインド   10,000

・ラック    1000



ユニークスキル

・勇者(笑)


スキル

・隠蔽




【称号】


・異世界人・勘違い野郎・ナルシスト・おだてに弱い・勇者(笑)・召喚されし者・ナンパ師。しかし童貞・残念な人…………etc.





 …………はあ。


 要するに、日本から呼び出されて、おだてられて調子にのってる勇者(笑)だな?

 本人は称号なんて見てないだろうし。


 というか、このステータスなら、影達でも勝てるだろ。



「ははは! どうだ! 見れないだろう!?」


 なーんか、残念だ。


「僕は最強の勇者だからね! 君達も崇めてもいいよ!」


 誰が崇めるか!


 …………ん? アリスも来たみたいだ。


 俺はアリスを手招きする。


「んゆ? なに、お兄ちゃん?」


 トコトコ走ってくる。

 

「いや、実はな、あそこにいる目に悪そうな格好の人は勇者らしいんだよ」


「にゅっ!? アリスが、ゆーしゃ! あんなんと違うもん!」


 アリスが興奮して捲し立ててくる。

 普段はアリスは自分のことを私って言うのに、名前で呼んでる。

 それだけ興奮してるみたいだ。



「うん? なんだい?

 …………って、君もまた、凄い可愛いね。どうだい? 僕のハーレムに……」


「うる、さい! ゆーしゃは、アリス!  

 あなたじゃない! アリスと、戦え!」


 おやおや。アリスが決闘を申し込んだみたいだ。

 指をびしぃっ、と勇者(笑)に向けて指した。


 というか、勇者(笑)よ、アリスまで口説くのか?

 ロリコンか? いや、アリスは実は年齢は見た目の割には高めだから違うのか? んー? そも、こいつはそんな事情は知らんだろうしな。ロリコンか。


「何を言ってるんだい? お嬢さん。僕は邪悪な魔物を狩りに来ただけで…」


「いいから、戦う!!」


「は、はいぃ!」


 決闘が決まったな。


ゆーくんは夏休みが勉強漬けになるので、更新スペース落ちるかも。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ