そのころユーヤは……
ユーヤ視点に戻ります!
ウル達がフォーレンに遊びにいった。
たまには息抜きも必要だろう。ここのところは働きづめだったしな。
俺の前世みたくブラックな職場にしたくはないからな。
一気にこの町の重要人物が居なくなってしまったわけだが、特に問題は無いだろう。
何かあったらウルに連絡をすればいいし。
ただ、一つだけ問題だったのが、ウルに空間魔法をあげてしまったから俺が異次元収納が使えなくなってしまったことだった。
あれはとても便利だった。荷物を持つ必要が無くなるし、財布代わりになり、狩った魔物を収納したり、町の特産品を持っとくことも出来た。
だからウルに相談して、コピーしてもらった。
勿論、簡単なことでは無かった。ソフィアと三人で考え込んだ程だ。
だが、その甲斐あって、俺も異次元収納だけは使えるようになった。空間魔法のコピーは出来なかったけど、俺からしたら充分だな。
「なあ、アッシュ。今の町の様子はどうだ?」
俺は、見回りから戻ってきたアッシュに聞いてみる。
「何も問題なし、ですね。
…………何かあったら俺がやっておきますので、今日くらいはユーヤ様もお休みになられたらどうでしょう?」
うん? アッシュが嬉しい提案をしてくれる。
「んー、そうだな。今日は俺もゆっくり過ごすことにするよ。
すまないが、アッシュ、仕事は任せたぞ」
「はい! お任せ下さい!」
アッシュが尻尾を振り回しながら、無表情で言う。
うんうん、ありがとな。
「おぉ! ちゃんとした町が出来上がってるな」
俺は暇になったので、町を見て回ることにした。
そうしたら、俺の町は思っていたよりも町だった。
自然と調和した美しい町だ。活気もある。
「あぁ! ユーヤ様! 珍しいですね! お一人ですか?」
ん? ハイコボルトの一人が俺に話しかけてきた。ちなみに男。
「ああ。今日は休みなんだ。町を見てる。
…………にしても、お前ってそんな顔だったか?」
今話してるこのハイコボルトは知り合いなのだが、顔つきが前と大分違う気がする。
もはや犬の獣人と言っても疑う人は少ないだろう。
ちょっと毛の多い獣人位か?
腕や脚に毛が生えているだけだ。前はもっと体全体に毛が生えていた気がする。
「いやー、この間進化しましてね!」
なんだって?
「なに? 進化したの?」
「ええ! 犬人という種族になりました」
犬人……
ちなみに、獣人は、ステータスの種族欄が、獣人 (犬)という感じで表記される。
「狩りをしまくっていたら、ある日突然進化しましてね?
……ほら、あそこにいる、狩り部隊のリーダーは狼人になってますよ」
俺は指差された方を見てみる。
確かに、目の前の犬人の、狼バージョンだ。
「知らなかったな……」
「まあ、皆が進化しだしたのは最近なんで無理もないですよ。
他にも進化しそうなのはいますしね。
それじゃあ、私はこの辺で、では楽しい休日を!」
そう言い残して犬人は去っていく。
俺が仕事とかしてる間にそんなことがあったんだな。
俺は、今度ウルに住人表とその種族を見せてもらおうという決意を、心に書き留めて、歩き出した。
「おや? 主様ではないですか。どうかなさいましたか?」
今度は吸血鬼の女性に出くわした。
吸血鬼達は俺のことを主様と呼ぶ。なんでも、アリシアの主殿と被らないようにした結果らしい。
「ん? いや、暇だったから散歩を」
「そうですか。
…………ところで、護衛はお付けにならないのですか?」
「ただの散歩だしな。いいだろ」
「それはいけません! 今すぐにでも、陽炎のメンバーを全員集合させて……」
吸血鬼の女性は集合をかけようとしている。
……って、おい!
「いいって! ただの散歩に護衛を何十人も付けるかよ! やめろ、影を呼ぶな!」
ちょっ! 凄い吸血鬼大集合し始めてるんですけど!
こいつらにはそれぞれ仕事があるだろうに!
「勿論、仕事は一区切りつけてから来てますよ」
アリシアのお義父さんが隣から言ってくる。
いつの間に俺の隣に?
時々皆が俺の能力を越えるような真似をしてくるから困る。
本当だったら気付ける筈なんだが……
「ふふふ、我々の想いはステータスを軽く越えます」
どこに、想いを注いでんだよ!
俺は全力でその場を逃げ出した。
「ふう…………、撒けたか?」
どうやら、完全に逃げ出せたようだ。
というか、奴等も本気で影全員で護衛をしようとは思ってないだろう。
ボケだと思っとく。
………………ボケだよな?
「どうしたんですかい? 旦那?」
うん? この声は、ライナーか?
「いや、町の住人からの激しいスキンシップにあっていた…」
思わず、疲れを滲ませてしまう。
「そ、そうですかい…………。詳しくは聞かないでおきまさあ……
そ、それよりも! もし、暇だったら俺の修行に付き合って欲しいんでさあ!」
ライナーは本当に真面目に町のことや、自分の修行などをよくやってくれている。
たまには俺もライナー、に時間を割いてやってもバチはあたらないだろ。
「いいぞ。盾の修行だったな。
俺から軽く攻撃をすればいいのか?」
「ええ! たのんまさあ!」
それからはライナーの鍛練に付き合った。
やはり、かなりの才能があるようだ。俺との鍛練の中でも成長がよく見られた。
「お疲れさん。中々良かったと思うぞ」
「お疲れ様でさ! 俺はまだまだでさ。まだ、アッシュの兄貴の攻撃を受け止められる気がしないでさあ」
お前はどこを目指してるんだ。それが出来たらかなりのもんだ。
「はは、まあ、頑張れよ? じゃあ、俺は行くな」
「今日はありがとうございました!」
その後は、ガダンの所に行って俺の武器の経過を聞いてから自分の館に帰った。
俺の武器は順調らしい。必要な素材が出ても、俺の配下達が率先して狩ってきてくれているらしい。
今度また労ってやんないとな。
そうして、家に帰ったもののまだ時間が早く、ウル達も帰ってきていないので、昼寝? 夕方寝? することにした。
「うん? 紅葉? 綺麗だな……」
気が付くと俺の目の前の世界は赤色と黄色、緑色と、とても綺麗な景色が。
「気に入ってくれて嬉しいよ。勇哉君」
俺の背後から声がする。
「……久し振りだな。
………………ティア」
「うん。久し振りだね」
俺が後ろに振り替えるとそこには、全世界で一番とさえ思える美貌の神様がいた。
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そのキャラの出番が増えるかも。もしかしたら。
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