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女子組でギルドへ。ジト目受付嬢視点

ーsideセレナー



「なあ、いいじゃねぇか。俺とデートしようぜぇ?」


「すみません、嫌です。用がないのなら退いていただけますか? ここは冒険者ギルドの受付であり、あなたの家ではないので」


 本当に。こういう輩はしつこいのが多いですよね。

 そういう人に限って魅力が無いものですし。


「アアン!? 俺を誰だと思ってやがる! 俺様はCランクの…」


 聞いてませんって。というかCランクですか。知らなかったですね。まあ、私が冒険者をしていたときはAランクまではいきましたが。


「知りませんでした。

 それはそうと、お早くお立ち退き下さいませ」


「なんだと!」


 そういえば、私と同じAランクでも規格外の方がいらっしゃいましたね。白銀の全能……ユーヤ様でしたか。

 あの方は、なんというか、ただ者ではないですよね。纏う雰囲気から、その容姿、感じられる実力、やることも規格外ですし。

 少なくとも今目の前にいるチャラチャラした男性の億倍マシですね。


 今も実力行使に出ようとしていますし。

 そういう器の小ささも、何もかもがダメダメですね。


「たかが受付嬢のくせに生意気…」




「へーぇ、実際に見てみるとこんな風になっていたのですね。ギルドって」


「ええ。ウル様、あまり、はしゃぎすぎないようにして下さいね?」


「もう! わかってるよ。アリシア」


 ! この声はアリシア様? 


 私はギルドの入り口の方を見てみます。



…………はい? なんですか。あの一団は?

 全員、揃いも揃って美人……

 自信を無くしそうです。思わず頬がひきつるのが自分でわかります。

 目の前のチャラチャラした男性もポカーンとしていますね。



「あっ、セレナだー!」


 綺麗な白銀の髪の女性がニコニコしながら私のもとにやってきます。

 ここまで馴れ馴れしいと、既に会ったことがあったのだろうかと思いましたが、記憶には無いですね。

 

「えっ、えっと……お会いしたことはありましたか?」


 私は仕事の都合上、人の顔は基本的に覚えています。というか、それ以前にこんな綺麗な人を見て忘れるはずがありません。


 私の中では、今までの人生で見た一番の美女がアリシア様で、僅差でサクラ様でしたのに……

 この集団は同等の美人ばかりです。

 特にこの方はアリシア様よりも美しく見えます。


 いや、美しさだけでいったらユーヤ様もこの女性と同等……

 うん? この方はユーヤ様と似ている気がしますね。

 髪と眼の色以外にも。



「いや! 会ったことはないかな!

 ただ、私は貴女のことを知ってるよ! いつもマス……ユーヤ様と仲良くしてくれてありがとね。私はウルって言うんだ」


 ? 今何かを言い換えましたか? 

 ああ、ユーヤ様のお知り合いだったのですね。アリシア様とサクラ様がいらっしゃる時点で薄々感じていましたが。


「ユーヤ様のお知り合いでしたか。

 どうも、私はこの冒険者ギルド、フォーレン支部の受付嬢をしています、セレナと申します」


 私はなるべく綺麗に見えるように意識してお辞儀をする。

 

「おおー! 綺麗なお辞儀だね! 修正点が見当たらないよ!

 えと、それでユーヤ様の知り合いか、だったね。知り合い……っていうか、嫁? 正妻? みたいな? 感じかな!」


 

…………………………………………………はい?


 私は柄にもなくからだが硬直してしまいました。

 ユーヤ様の奥様……

 なぜこんなにも心がざわつくのでしょう?


 ウル様は私の様子をじっと観察しています。


「んー、これはまだ自覚は無い位…かな?」


 何かを呟いています。私には聞こえませんでしたが。



「おっ、おい! さっきから俺を無視して、何を……」


 ずっと蚊帳の外だったチャラチャラした男性が突っかかってきます。

 というかこの集団に突っかかれるとかある意味凄いですね。


「うるさい。今はウル様が話してるでしょうが!」


 サクラ様にギルドの外まで投げ飛ばされています。


 この受付から出入口まで、そこそこ距離があるのに……

 地面と平行に直線で飛んでいきましたよ。


「ふん! あんなやつ、ウル様が本気を出していたらあらゆる魔法や情報を駆使してあっという間に地獄に落としていただろうが、その価値もない! ウル様に手を出させるまでもないですね!」


 サクラ様が男性を投げ飛ばした方に向かって言い捨てます。


 ウル様ってそんなに凄いのですか。


「えと、それでセレナにはこれからの私たちのお出掛けにもついてこないかな~って、思って。誘いにきたんだ」


 ウル様がそんな流れを全く気にせずに言います。

 それをスルーしますか……

 私は思わずジトーっとウル様をみてしまいす。


「おぉ…! これがマスターの言っていた、美人エルフ受付嬢のジト目ですか! 確かに、何かくるものがありますね……」


 ウル様がまた何かを呟いています。

 例のごとく私には聞こえませんでしたが。


 えぇと、それでお出掛けでしたか。


 私は周りを見渡してみます。

 注目を浴びすぎですね。今日はもう業務に支障がでそうです。


「……はあ。わかりました。私も同行させていただきます。

 準備をしてきますので少々お待ちください」


 私はそう告げると、受付の裏に引っ込んでいきます。


 その時に、他の受付嬢の人達からの質問攻めにあいましたが、はぐらかしました。

 私自身あの方々との関係など上手く言葉に出来ないのだから。

 ただの冒険者と受付嬢との関係性でもない気がしますし。


 

「準備が出来ました。それでは行きましょう」


 私は私服に着替えてウル様達に合流します。


「わあー! 私服とても可愛いね! その金緑色の髪の毛と翡翠の瞳とでよくあうね! センスいいなあ!」


 ウル様に誉められます。

 なぜでしょう? 悪い気はしませんね。

 ただ、ユーヤ様の正妻と聞いてからはあまり素直にウル様を見れないのですが。


「ありがとうございます」


 それからは私達は連れだってギルドを出ました。


 

 

 私達の居なくなったギルドで、


「お、おい。見たか? あの人達…」

「ああ、見た」

「凄かったな」

「ああ、凄かった」

「特に、あの白銀の髪のえらい美人」

「わかる。あの集団でもリーダーっぽかったしな」

「ああ。Cランクの奴を簡単に投げ飛ばした女でも尊敬してたみてぇだし」

「魔法や情報が、とか言ってたな」

「ああ」


「白銀の髪……」

「魔法……」

「情報……」



「「「「白銀の全知(シルバーアムニシェンス)だ!!」」」」


 そうして、冒険者にすらなっていないのに、早くも二つ名がついたことを、ウルは知っている。



「ふふん♪ マスターと似た二つ名だ♪」


このキャラが好き! とかありますか? 言ってくれたら、もしかしたらそのキャラ視点の話を書くかも。

あくまでも、もしかしたらですよ?

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