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ウル…………!

 あの会議から数日が経った。


 アリス達四人はこの町に馴染めたみたいだ。アリスとハルネシア、バルザックはこの館の一室に住んでいる。

 ラオウは普通の家がいいそうだ。


 住人達と仲良く話しているところを何度か見かけた。

 本当に良かった。


 

 俺は今、館のとある一室にいる。誰も来ないような部屋だ。

 何故こんなところにいるかというと、ウルに行くように頼まれたからだ。



『マスター…………こんなところに来させてすみません……

 ただ、誰にも見聞きされたくなくて……』


 ウルがいつになく真剣な声音だ。


 全然構いやしないぞ。

 俺と二人きりを所望だ。何かあるんだろう?


『はい、それはその………………私の肉体についてです』


 ! ウルが体を?


『はい、手に入れられる目処がたちました。』


 なんということだ!

 ウル! 早く人化をしよう! ウルと直接会って触れ合えるとは……

 夢みたいだな。



『ええ……ですが、私が体を手に入れるにはマスターの幾つかのスキルを犠牲にしなければなりません。

 それに、私の人化をした姿をマスターが気に入るかどうかも……』


 構うもんか。俺のスキルよりもウルのが大事だ。

 それに、俺は例えウルの姿がゴブリンでも愛せる自信がある。


 ああ、俺にゴブリンを愛する趣味はないぞ? ウルだから愛せるんだ。


 『ま、ますたあ…………

 …………わかりました。人化をします。

 この方法を一緒に考えてくれたソフィアにも感謝しなければなりませんね』


 ソフィアが?

 あの頭のよさは伊達じゃなかったか。

 今度俺からも礼を言わなきゃな。



『それでは人化をします。

………………「知恵を司る者」より行使します。

………………マスターの持つ「分裂」スキルを犠牲に肉体を創造。

 「魔導の深淵」スキルを肉体に移動。精神の安定化をはかります。

 「人化」スキルを複製。肉体に付与。

 その他「知恵を司る者」より調整を……………………………』


 落ち着かない気持ちで待つこと暫し。



『………………………完了致しました』



 ウルが言うと同時に俺の体から何かが抜け落ちる感触が。恐らくこれが犠牲にしたスキルなのだろう。

 魔導の深淵はハルネシアとバルザック、アリスの持つ魔法を喰わせてもらったら、俺の今まで持っていた魔法系スキルと合成して進化したレジェンドスキルだ。



 体の異状は直ぐに収まった。同時に俺の体から光の粒が幾つも出てきた。

 目の前の空間に光が集まっていく。


 いずれ光は人の形に変わっていく。


 光が収まるとそこには…………







 …………………………俺の好みど真ん中の絶世の美女がいた。


 

 俺と同じ白銀に煌めく髪を胸まで伸ばし、

 体は俺の、というか男の理想ど真ん中の完璧なバランスを保っている。


 顔つきは俺と少し似ているが、断然女性っぽい。多分端から見たら兄弟、もしくは親戚に見えることもあるかもしれない。


 気持ちつり上がり気味の瞳は綺麗な金色だが、今は不安に揺れている。


 ………………綺麗だ……


「ま、マスター、いかがでしょうか?

 私の姿は…………?」


 かなり心配そうに聞いてくる。そんなにしおらしいなんて、らしくないな。


 心配すんなよ。


「俺の理想そのまんまだよ」


 ウルはそれを聞くと、ほっとしたように息を吐く。



 そうすると今度はいたずらっ子のような、何か企んでいるような笑みを浮かべ、


「ねー、ねー? どうですか? 私の姿は? 惚れました? 惚れちゃいましたか?」


 なんて言ってくる。さっきまでの態度とは全く違うな。


 というか、ウルは何を言ってるんだ? そもそも前提からして可笑しい。


「何言ってるんだ?惚れるも何も、元からぞっこんだっての」


 俺は「何を当たり前のことを?」って感じに言ってやった。


 そうするとウルは一気に顔を真っ赤に染めて、


「な、何を堂々と言ってるんですか。

 て、照れるとかするもんでしょう?そこは」


 顔を真っ赤にしたまま、所在なさげに目線をさ迷わせながら言ってきた。


「ふむ、そんなことするわけなかろ?

 ウルが好きなのはずっと言ってきたことだ

 それは何時になっても些かの衰えもしないね。

 …………言うこと事態の順番はアリシアとサクラの後になってしまったけれど、本当はずっとそうだと思ってた。

 だけど、ちゃんと言葉にしなおす。

 ………………ウル、恋人になって欲しい」


 俺はウルの目を見据えて言った。


 

 ウルは俺の言葉を聞くと、少しの間、固まっていたが、いずれ満面の笑みを浮かべ、涙を頬に伝わせながら、


「勿論です!」


 と、言ってくれた。




「というか、私だけ体が無いのはとても寂しかったんですよ!

 今日一日はずうーーっとイチャイチャしてもらいますからね!」


「当然。俺もウルを前にして、もはや我慢なんて出来ないね」



 それからは俺の部屋でずっとイチャイチャしていた。


 もちろん性的なこともしたが、それ以外の時間も多かった。

 思出話なんかに花を咲かせたりしてな。とても楽しかった。







………………相性がこれ以上無いほどに良かった。

 なんというか、細胞レベルで、魂レベルで適合した、みたいな。


ウルが人化しました!

長かった……!

ここに至るまで、ものっそい長かった……!


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