蹂躙劇の始まりだ
13位・・・・・異世界転生/転移日間ランキングで13位ですって。あはは・・・・・・・・・バタッ!
!! はあはあ、どうやら軽く意識がとんでいたようです。
読者の皆様には感謝しまくりですよ!13位ですってよ!? 気軽に書き始めたのに・・・・・・。本人が一番ビックリ。
今回は途中で何回か視点が切り替わりますよ!
本編どうぞ!
ぽかーん。
擬音で表すとそれが一番的確だ。
何がかというと、奴隷組四人の今の様子がだ。
あとは冒険者が何十人かいるな。俺達からしたら圧倒的に弱いけど。
同じくぽかーんしてる。
俺達は王都へ近づいてた魔物、数百匹相手に戦闘……………………いや、蹂躙劇を繰り広げている。
アッシュは片手剣を使って魔物を斬り裂き、ナイフで貫く。
サクラが風のように素早く動き回り、通りすぎたあとには急所を斬られた魔物が点在している。
アリシアの周囲は闇で覆われ、いつの間にか魔物が死んでいる。
ソフィアは精霊の力を借りて威力の高い魔法をばかすか撃っている。
まさに蹂躙。
だが一番ヤバイのは俺だな。
俺の回りには幾つかの小型の魔方陣が空中に浮かぶように配置されている。
そこから白銀の閃光が迸ると魔物を貫いていく。
その光は魔方陣それぞれから発射されている。
それぞれが凄い勢いで魔物を駆逐していく。
俺も今回は慈悲はない。町を襲おうとしているのがわかったからな。流石にこの状況で馬鹿丁寧に魔物一匹一匹に「あなたは私の敵ですか?」なんて聞くわけがない。
そう時間はかからずに俺達はあらかた雑魚を殲滅し終えた。
「んー、何体か強そうなのが残ってるな」
俺の閃光を避けるなり防ぐなりした猛者が。
連射するために威力をかーなーり落としたとはいえな。
ソフィアが魔法を使い始めたばかりとはいえ。
忠犬兄妹が狼化してないとはいえ。
アリシアが対集団攻撃しかしていないとはいえ。
そこそこ賞賛に値するのでは? 今生き残ってる魔物は。少なくともAランク以上かな。
瀕死のとかもいるが。
「私はあそこの劣等竜の王を」
「俺達兄妹はあそこのジャイアントトロールを」
「同じくです」
「私は怪我をしてる奴に止め刺しときます」
じゃあ俺があそこの三つ首の竜か?多分ヒドラ。
一番強そうなんだけど。
「わかった。じゃあ散れ」
ーsideアリシアー
主殿の隣に並べる位には強くなれたのだろうか。
私は思う。
あの日忠誠を誓った日から私の忠誠心は衰えることはない。むしろ愛さえも混ざって日に日に強くなっていくようだ。
だからこそ、私は思う。
あのお方はもし私が役立たずになってしまったとしても変わらずに大切にしてくれるだろう。
だが、私はその優しさに甘えてしまってはいけないのだ。
私は主殿の役に立つことを至上の喜びにする。それでこそ私はあの方の隣に立つ資格があるのだ。
私はそう思う。
「貴方には死んでもらいます。
……………………私のために。私の自己満足のために」
そう目の前の怪獣に宣言する。
劣等竜の王。翼と腕が一体化した翼竜で、ドラゴンの中では下位に属するが、それはただのワイバーンの話。王種になるとその力は普通のドラゴンに匹敵する。
そんなまさに怪獣、劣等竜の王に対して私はどう戦おうか?
だけど私もまた吸血鬼の王だ。
それ以前に主殿の部下兼恋人なのだ。
言うべきことは一つ。
「さあ、死合いましょう」
死ぬ気は無いけれど、ね。
ーside忠犬兄ー
ジャイアントトロール、か。でかいな。
ユーヤ様が竜化なされた時よりもでかいのではないだろうか。
これはウル様が言うには巨人族では無いらしい。
こいつは魔物で、巨人は亜人族の一つということだ。
ふん。安心して狩れる。人間を殺したらユーヤ様が悲しまれてしまうかもしれない。それは俺の望むところではないからな。
俺はあの白銀の神様を崇拝していると言っても過言ではない。
神というのは種族のことではなく、俺にとっての神ということだ。
例え神であってもユーヤ様以外なら特に思うところはない。
だが、表だってユーヤ様を崇拝はしない。困惑されるのは目に見えている。
だからこの気持ちを俺は行動で示す。あのお方の前で無様な様は晒さない。
サクラに目を向ける。
目があった。
サクラは今俺と同じことを言おうとしている。
良いだろう。あのお方の言葉だ。真似したくなるのは誰しも同じだ。
「「さあ、死合おうか」」
ーside忠犬妹ー
なんですか、この醜い怪物は。無駄にでかいし。
というか雄ですよね。コレ。
ああ、触りたくない。憂鬱だなあ。
ユーヤ様以外の男には触れたく無いんだけどな。
私の体はこの耳の先端から尻尾の先っぽまで全てユーヤ様のものなのに。
でも、ユーヤ様の役に立つことと、私の気持ちとはまた別問題。
なるべく触れずして殺してあげます。
あっ、こんな時に言うセリフがありましたよね!
兄さんを見てみる。
目があった。
同じことを言う気ね! いいわよ!
「「さあ、死合おうか」」
なるべく触れずしてね。
ーsideソフィアー
皆様頑張っていますね。
ユーヤ様へのアピールチャンスだからでしょう。
それにしてもユーヤ様、あんなに強かったのですね。
魔方陣から光を飛ばして、魔物を殺していく。戦場を闊歩するその様はあの美しいお姿と合わさって神話のようでしたわ。
……………………………私のこの気持ちは“恋”なのでしょうか?
あのお方を見ると時々顔が熱くなり、胸の音がうるさく感じます。
私はそういったことは全くもって経験が無いので分かりません。
いずれはこの気持ちが恋なのか、答えをだすべきですよね。
おや? あちらの方ではアリシアさんとサクラ、アッシュさんが同時に何かを言おうとしていますね。
精霊に様子見をさせていたら察知しましたわ。
アリシアさんとサクラとはユーヤ様の紹介もあってとても仲良くなれました。こんな友達は初めてですわ。
………………これは私も言うべきね。タイミングを見計らって……
私は怪我を負っている魔物数匹に向き直って言う。
「さあ、死合いましょうか?」
魔物の唸り声が答える。
………………あら? この魔物たち、意外と元気?
ーsideユーヤに戻るー
おいおい、なんで皆同時にあのセリフを言ってんの?
凄い恥ずかしいんだけど。
あれって俺が興奮した時の言葉だから冷静な時に聞くと照れる。
俺は三つ首竜の方を向く。
首が三つ、体は一つ蛇っぽいものが。
中々でかいしさ。
多分Sランク越えるよねこいつは。
『マスター、ここは言うべきでしょう! あのセリフ!
自分の部下だけに言わせといて良いのでしょうか!? いや、いくない!
私も戦闘は手伝いますから! 私も言いたいから!』
最後に本音がもれたな。
まあ、いいよ。
こいつは中々骨がありそうだしさ。
戦って楽しそうだ。
「誇り高き同族よ。本能に従いどちらが強者か決めよう。
そして殺しあいの果てに俺達は何を見出そうか。
血沸き肉躍る命のやりとりを、今始めよう」
『「……………………さあ、死合おうか」』
『言ってみたかったんですよね! このセリフぅ!』
………………………………興が削がれるわ。ウルさんよ。




