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普通で異常な社畜のドラゴン転生記  作者: 狼猫 ゆ狐
四章・村をつくる
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村の住人が増えるな

 移民を迎え入れてから一ヶ月がたった。色々なことがあった。


 特に印象深いのはまた配下が増えたことだな。


 アリシアは出掛けてから一週間程で帰ってきた。

 ある日の朝、ソフィアにアリシアが帰ってきたことを伝えられた俺は足早に迎えに行った。

 そしたらアリシアはいた。確かにいた。

 だが…………






 滅茶苦茶可愛いコウモリネコ(ラージバット)を数十匹連れていた。

 ちょっと思考停止しかけた。


「主殿! 会いたかったです! 只今戻りました!」


 アリシアが嬉しそうに走りよってくる。


「あ、ああ。お帰り。俺も会いたかったぞ。

 ………………それで、そちらの方々は?」


 もふっていいですか?もふってもいいのですか?



「ああ! そうでした! こちらにいるのは私の家族達です」


 アリシアは、はっ!と気付いて言う。

 へえ。そうなんだろうなーとは薄々思ったけど。



「忌み子の時に追い出されたって言ってなかったか?

 また、会いにいってみたのか」

 

「ええ。いつか会いにいってみたかったのですよね。

 それで、記憶を頼りに探してみたら意外と時間がかかってしまって。


 ウル様が居たので話し相手には困りませんでしたが。ウル様にユーヤ様が今日何をしているのか聞いたりして。


 遂にその群れを見つけたと思ったら群れ全員に泣きながら抱きつかれてしまいまして。どうやら、私が忌み子では無くなった日から探していたらしいです。私の姿は変わっていたのに直ぐに気付かれましたよ。


 それからは私が何をしていたか等の話をしまして。この群れに戻るつもりは無いと言いましたら、皆付いてきました」


 思い出すように言う。


 そんなことがあったのか…………。

 ウルさんよ。個人情報保護法って知ってる?


『ふしゅー! ふしゅー! ななな、なんのことですかー?』


 少し声が裏返ってるぞ? 口笛もやっぱり吹けてないし。


『…………全ては秘書がやったことです』


 おい、悪質な政治家かよ。


『…………ええ。言いました。言いましたともさ。でも、いいじゃないか。アリシアのためにやったことだしさ。許してくれたまえよ』

 

 今度はキャラがぶれぶれだ。



 まあ、良いんだよ。アリシアが寂しくないようにやったことだろうし。というか、恋人の動向を把握したいのはアリシアの方だったか?



 ん?一匹の特に大きなラージバットが歩み出てきた。


 これからは全言語理解で翻訳するよ?


「この度は娘を助けて頂いて、本当に、本当にありがとうございました……!

 我々ラージバット約二十匹、皆あなた様を主としたいと思っております。

 我らの忠誠をどうかお受け取りください」



 ………………お、お義父さん!?

 これは断るわけにはいかんでしょう。


「…………わかった。お前たちの忠誠を受け取ろう。アリシアには普段から部下として、その、恋人としてお世話になっているしな。その家族のことを無下には出来ん」


 恋人のところで照れてしまった。

 お義父さんは俺たちの関係を既に知っていたらしく、暖かい目でこちらを見てくる。

 

 ………………クッ、そんなことより、もふもふしてぇ。

 お義父さん毛並みよすぎだよ…………



「あー、それじゃあ、例のごとく名付けと眷族化するぞ?」


「ええ。お願いします」



 そうして、ラージバット二十匹に名付けをしていった。


 そうすると、二十匹を光が包み、


 …………って、この流れはヤバイ!!



 俺は急いで光を覆うように空間魔法の異次元収納を使い、服を召喚していく。


 

 ………………ふう。間に合った。全員、進化したら真っ裸だったという事態は回避できた。

 竜化、人化の時に服の出し入れをするからな、その応用でなんとかできた。

 空間魔法のレベルが高くないと出来ない芸当だ。



 そして光が収まると、吸血鬼が二十人。


 それぞれで自分の体について話し合っている。

 なんか、吸血鬼族って冷静だ。仕事人というか、クールというか。



「あっ。主殿。言っていなかったですが、私も既に進化しています。この間魔物を狩りまくっていたらいつの間にか」


 えっ?

 

 ………………た、たしかに。探ってみれば、感じられる力がとんでもないな。


「ステータスを見てみてもいいか?」


「ええ。勿論です。家族のステータスも見てみてはいかがでしょうか」


 お言葉に甘えさせてもらう。





アリシア ・種族  吸血鬼王

性別  女


・レベル 20

・HP    900,000/900,000

・MP    600,000/600,000


・パワー    700,000

・スピード   800,000

・ディフェンス 600,000

・マジック   700,000

・マインド   200,000

・ラック    4000



ユニークスキル

・血液操作

・常闇の支配者

・暗殺者の心得


スキル

・吸血

・飛翔

・変身






眷族になった吸血鬼の平均

種族  吸血鬼

性別  男・女


・レベル 1

・HP    2000/2000

・MP    2000/2000



・パワー    2500

・スピード   2500

・ディフェンス 1500

・マジック   2500

・マインド   2000

・ラック    1000



スキル

・気配自在

・吸血

・飛翔

・変身






 吸血鬼王…………王様か?


『これは種族の強さの階級みたいなもので、本当に王様というわけでは、必ずしもありません』


 そうか。

 暗殺者の心得、物騒な名前だな。どうやら、気配操作やナイフの使い方とか、暗殺者の必須スキルの集合みたいだ。


 というか、ステータスが高くないか?アリシアのレベル20で、俺のレベル1の時に匹敵するのではないか?

 まあ、スキルは俺の方が強いが。


 吸血鬼、こうして比較して見ると、弱く見えてしまうな。人族の戦闘をしない一般人の平均値が100だから、かなり高いんだろうけど。

 それにレベル1だし。



「主殿。私の家族は私の元で働かせてもらえませんか?」


 ん? それはつまり吸血鬼だけで構成された部門を新たにつくるということか?


「いいんじゃないか?


 そうだ。この集団を“陽炎(カゲロウ)”と呼ぼう」


 なんか吸血鬼のステータスって情報収集とか暗殺者向きだよな。

 だから、陽炎。普段は影と呼ぶか? それっぽい。






 ………………ってなことがあった。これが一番印象深い。そんなこんなで村の住人がまた増えた。

 幸い家にはまだまだ空きがあった。


 

 俺は窓から外を見てみる。

 窓といっても日本のものほど上等なものじゃないがな。


 外ではハイコボルトと人間、獣人、吸血鬼とで、まだギクシャクする感じはあるが仲良く暮らしているのが見える。


 これを見たら、村を作って良かったと思えるな。


 人間達の大体は自分にあった仕事に就けたし。


 吸血鬼族はハイコボルトの狩りのチームの手伝いをしたり、変身して人間の見た目になってフォーレンとこの村との物資の運搬をしたりしている。


 この村産の物を売りに行くのにハイコボルトじゃ、いらん混乱を招くからな。それに吸血鬼は力があるし。



 最近はこの村でもお金を使うようにしようと頑張り始めている。


『…………もはや町ですよねぇ。』


 そうだな。これからは町と呼ぶか。

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