白銀神竜の一日
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今俺は森のなかに居る。
サクラとアッシュも一緒だ。アリシアはまだ帰ってきていない。
「さて、それじゃあ、竜の姿になるから離れていてくれ」
何をするのかというと、ガダンに渡す素材を竜化して手に入れようとしている。神化して初の竜化だ。
サクラとアッシュは少し離れてくれる。
とても期待した眼差しだ。そんなに俺の竜形態が見たいのか。
「それじゃあ、竜化」
俺の体が淡い光に包まれて膨らんでいく。
「ふむ。前よりも少しでかくなったか?
それに、前よりも体が洗練されたな。
鱗や牙や爪なんかは前よりも目に見えて上質になった。
少しうねっていて美しかった角は頭の側面の後ろめから後ろに向けて大小二対、更に鼻の頭に小さくて鋭い角が一本」
俺は自分の体を水魔法を使い、簡易的な鏡をつくり観察してみるとそのようになっていた。
「凄い格好いいです!」
「本当に神々しい……」
サクラとアッシュが褒めてくれる。
うん。俺もかなり格好いいと思った。
「さて、爪と牙とを一本ずつ抜くか…………」
それからは本当にドラゴンサイズの爪切りが欲しくてしょうがなかった。爪と牙を自分で折るとか狂ってるよ…………本当にマインドの高さに感謝したい。
二人は自分も辛そうに涙目になりながら、なお、目を離さなかった。
いや、わざわざ付き添ってくれなくても良かったんだけどね。
「さて、それじゃあ、これを頼む」
俺はガダンとエミリーの家に来ると、ドンッと俺の牙と爪を置いた。
二人は目を丸くしている。
ちなみにガダンの奥さんはずいぶん前に病気で亡くなっているらしく、二人で暮らしている。
「おお! こいつはすげえな!? こんな上物見たこともねえよ!」
「そうだろうそうだろう。なんたって神竜の素材だからな。
ああ、そうだ。この村の生活には慣れたか?」
「あん? そんなもんフツーだよ。俺は魔物だろうと人だろうと変わらん」
これはドワーフの感性なのか。ガダンが特別なのか。
「そいつは良かった。
ところで、ガダンにもう一つ頼みがあってな? この村の鍛冶師の指導とかしてほしいんだ」
「おお?つまり?」
「お前に鍛冶師仲間をつくろう。暇なときに鍛冶を教えてやってくれ。ハイコボルトの鍛冶師も中々の腕は持ってる。お前ほどじゃないがな」
「いいぜ!」
ということでガダンはハイコボルトと共に腕を高めていくことになった。
今度は俺の仕事部屋に居る。
「頼んでいたものはできたかな?」
俺は傍に控えていたソフィアに尋ねる。
「ええ。まだ完成では無いですが、一応見れるようにはなりましたわ」
俺がソフィアに頼んでいたものは、移民達のデータを纏めることだ。
家族構成やら得意なことやら性格やらだな。
ステータスと称号はざっと確認してあったが、それだけで全てがわかるとは思ってない。
「ありがとう」
ソフィアから資料を受けとる。
俺はソフィアの作った資料を眺めつつ、誰に何の仕事をさせようか考え始めるのだった。
もう夜だ。資料を眺めて、ウルとソフィアと共に称号やステータスを考慮して、人間達の仕事をそれぞれ考えていたら、大分遅くなってしまったようだ。
「もうこんな時間だな。それじゃあ、そろそろ終わろうか」
俺はソフィアに告げる。
「ええ。お疲れ様でした」
ソフィアが伸びをしながら言う。
それで今日は仕事を終わりにした。それぞれが自分の部屋へと戻っていく。
コンコン、
「ユーヤ様、サクラです」
うん? サクラが来たみたいだ。
「入っていいぞー」
「失礼します」
こんな夜中に訪れてくるとは。なんだろ?
「どうした?」
俺が聞くとサクラはもじもじし始め、ゴニョゴニョと言う。
「ええっと……、今日は、アリシアさん、居ませんよね?…………それで、えっと、アリシアさんとウル様には許可はもらっていて…………」
ああ。そういうことか。
アリシアが出掛けてから数日は忙し過ぎて構ってやれなかったからな。
「おいで」
俺は腕を広げて言う。
サクラは白色の耳と尻尾をキュピーンと反応させると、駆け寄ってきた。
それからはとても仲良く過ごしましたとさ。恋人サービスも忘れてはいけないな。




