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普通で異常な社畜のドラゴン転生記  作者: 狼猫 ゆ狐
四章・村をつくる
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またまた凄い拾い物(?)をしたな

 今俺達は宿屋で朝食を食べている。


 ちなみにアリシアの時同様俺の手作りだ。こんなときくらいは労ってやりたいしな。サクラも初めてだったわけだし。


 宿屋のおばちゃんは若干呆れていたが。


 最近は交渉や料理といった俺の社畜スキルが火を吹くぜ。


 アリシアとアッシュがサクラのことを暖かい目で見ているのが気になる。

 

「あーっ、と今日の予定なんだが、誰かあのギルドで配下になる宣言した大男の居場所は分かるか?」


 そうなのだ。あいつに荷物をまとめてこいと指示したのはいいが、集合などに関して何も言っていなかったのだ。つまり今のあいつの居場所が分からない。


「主殿、私が探しましょう」


 アリシアが言う。

 アッシュが名乗り出ようとしたが、先を越されて固まってる。


 俺はアリシアこそ諜報に向いていると思うんだが。アッシュよ適材適所だぞ? 


「ああ、任せたいと思うが、どうやって探すつもりだ?」


「こうやってですよ」


 アリシアは片手を振ると、真っ黒なコウモリが数匹出てきた。


 なにそれ?


「ユニークスキル常闇の支配者の技の一つで、影を使って使い魔を造るというものです。自分の影を使うので制限がかかり、しかも戦闘力は無いに等しいですが、こういうときは便利ですよ」


「凄いな。正に最適な技だな」



 あっ、アッシュが落ち込んでる。


「アッシュ、お前は何でもかんでも俺の役に立とうとしなくていいんだぞ?」



 アッシュは情報系だけでなく、色々なことをやろうとしていた。

 村にいた時も、色んな武器を使ってみたりとか。


 その根底には俺の役に立ちたい。俺に見捨てないでもらいたい。という思いが薄々感じられた。忌み子だったときの名残かな……。



「お前は何でもできる必要は無いんだ」


「お前にはお前にしか出来ないことがある。俺も探すのを手伝うから。一緒に探そう? 俺はお前をずっと見ているから。俺はお前を見捨てないから」


「っ!! ユーヤ様…………」



 実際アッシュはかなりスペックが高いと思う。

 それこそ、やろうと思えば大抵はそこそここなせてしまうほどに。

 だからこそ、全てをやろうとしてしまう。自分の存在意義を見いだすために。


「はい、よろしくお願いします…………!」


 アッシュが深々と頭を下げる。うん。それでいい。



『全くもう! ほんっっっとにもう! 人たらしは健在なんだから! アッシュ君の忠誠心爆上がりじゃないですか!』



 またウルが何かを言っている。進化した俺の神竜イヤーでも聞こえないってどういうことだ?


 ………………なあ、ウルよ、なんていっ


『何も言ってないですよ?』


 言い切る前に言われてしまった。



「あー、話を戻すが、アリシア…………」


「見つけました。あの大男」



 また言い切る前に言われてしまった…………。



 …………うん? アリシアが俺の言葉を遮る? そんなことありえるか?


 …………ウルさんや?君、何かアリシアに言ったかね?



『ふしゅー、ふしゅー! な、なんのことですかー?』


 口笛のつもりか? 吹けてないぞ?



『…………すみません、話に被せて! って言いました。はい』


 なんでさ?


『…………ノリです』


 …………ノリか。ならしょうがない。


「えっと? アリシアはあの大男を見つけたんだな?

 なら、今日はある程度の買い物をしたら町の門のところだな。それで村に帰ると。大男は門のとこに呼んどいて」



「「「はい」」」






 今俺達は門のところにいる。

 ガダンは途中で迎えにいった。今も隣にいる。大男も。


 俺たちの村に来る人間約30名もいる。初顔合わせだな。


 最初俺達が来るまでは皆不安そうな顔をしていたが、俺達が到着すると何人かは驚き、何人かは納得し、何人かは興味深げに観察して、何人かは見とれている。無関心という強者もいるな。


 驚き、もしくは納得は既に俺のことを知っていた連中かな?



「初めまして。俺は君達がこれから生活することになる村を作った者だ」


 固まっている人たちの中から一人、質問してくる。


「その村は魔物の村だと聞かされているが、本当か!?」


「ああ、皆魔物だな。ただ、向こうからやってこない限り、こちらから人間を害したりということはしない。


 その村の住人は殆んどハイコボルトという種族なのだが、むしろ毛深めの獣人だと思ってくれた方がいいかもな」



「害さないっていうことを証明できるのかよ!?」


「出来ないな。ただ、一緒に暮らしてみて判断して欲しい」



 黙り混んでしまった。この会話を聞いていた他の者も何も言わない。


 そんな中、一人の人族の女性が歩み出てくる。


「信じましょう? そんなこと言い出したらきりないわ。私達に家を提供してくれると言ってくれてるのよ。

 そうじゃなかったら私達は今頃どうなっていたかも分からないのよ? 感謝しなきゃ」


 その一言で人間たちは納得したようだ。

 

 ………………ふむ。こいつがこの中のリーダーなのか?

 妙にカリスマ性を感じるが。さっき興味深げに見てきた人だ。



『マ、マスター、ここにいる人達を皆調べてみたんですが、

 ………………なんなんですか、これは』



 ふむ? 何がおかしいんだ?


 俺も見てみる。



 ……………………………………………………はっ?


 いやいやいやいや! おかしいって!? あり得ない!

 ナニコレ? なんでこんな人たちが奴隷落ちの危機に陥るの? って位才能の塊がゴロゴロしてるよ!?


 

 目の前のお姉さんなんて特に。


 ワインレッド、つまり深い赤色のロングヘアーに青色の瞳。

 少し色っぽい、かなり美人なお姉さんだが、その才能はかなりヤバイ。



 称号に「知恵の化け物」「精霊に好かれる者」


 とある。この二つ、かなり凄い。

 知恵の化け物は本人の頭がとてつもなく良いことを意味する。

 精霊に好かれる者は精霊に力を借りやすくなるという、万能な能力だ。普段は運が良くなったりカリスマ性が高く見える位だが。



 しかし、本人はそんなことには気づいていないのか、家事スキルがめちゃくちゃ高い。

 ちょっともったいないと思う。

 


 この人は後で個別に話を聞こう。





「旦那! 実は俺の名前の上書きをして欲しいんでさ!」


 大男が話しかけてくる。

 名前の上書き? それって絶対の忠誠を誓うようなことじゃなかったっけ?



「おい、いいのか?」


「はい! 俺は旦那のお陰で生まれ変われたんだ! 是非とも一生涯仕えさせて欲しいんだ! そのためには必要なことでさあ!」



 …………そうか。それじゃあ、名付けと眷族化を。


「お前はこれから“ライナー”と名乗れ」


 名前の由来は何となくだ。


「!! ありがとうございます! これから、精一杯がんばりまさあ!」


 ライナーは膝まずいて感動している。



 周りの人たちはかなり呆然としている。

 やめてくれ……今ばかりは視線が痛い。





 ちなみに人間の内訳は大体

 人族20人、獣人10人だ。一応。

 なんか違うのもいそうなんだよな…………。 


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