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普通で異常な社畜のドラゴン転生記  作者: 狼猫 ゆ狐
四章・村をつくる
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またまたフォーレン

 俺達は領主の館に来ている。


 ギルマスとの対談は特に話すことは無かったな。普通に始まって普通に終わった。ただ、俺の貸し一つをまだ覚えていて、いつか使うと念押しされたが。



「久しぶりだな。領主殿」


 部屋に入ってきた領主に挨拶をする。


 領主は俺たちを見て一瞬固まったが、直ぐに再起動した。

 やっぱすげえな。この人。


 俺は少しだけ覇気使ってんのに。


 進化にともなって竜覇気も、白銀神竜の覇気に変わって強力になっているから前よりも出力は抑えているが。



「あ、ああ、久しぶりだな。ドラゴンのユーヤ殿。 

 魔物の村作りは順調かね?」


「ああ。とても順調だ。今回はうちの村の商品の試験販売と、約束の人間を迎え入れる準備が整ったので来た」


「おお! そうかね! 今日、もう連れていくのかね?

 ……………………そうか!

 君! 前に言っていた人達に連絡を、明日に町の門のところに集めさせてくれ」


 俺が頷明日のつもりと答えると、領主は近くにいた執事に指示を出した。



「それでは、その人達を町の門のところに集めるように指示を出したから明日の帰りに連れていってくれ。

 くれぐれも頼むぞ。君に頼ることしか出来なくて歯がゆいのだがな……」


 俺は神妙に頷いて見せる。

 もとよりそのつもりだ。任せろ。



「それで商品のことだが、貴方が販売をサポートしてくれるとの約束でしたので、現物を持ってきた」


 俺は異次元収納からハイコボルト製の

 服、薬、木製家具を始めとする品物のサンプルを幾つか出した。



「おお…………!! 貴方がたの着ている服も上等なものだと感心していたのだが、成る程、貴方の村のものでしたか……」


 領主は目利きをしていく。



「これは、どれも人間の町で売っているものの中でも、かなり上等なものに相当しますぞ!

 とても素晴らしい……」



 そうだろうそうだろう。なんたって、器用で生産スキル持ちの多いハイコボルト達に、あらゆる知識を持つウル、異世界出身の俺がいるんだ。

 そうでないと逆におかしい。

 一応俺の万物鑑定で品物の確認もしているしな。



「これの販売を貴方に任せたい。ただ、魔物の村で作られたものだと隠さずに言って欲しい」


「なんと! 私に任せてくれるのですか?

 それにちゃんとそのことを含めて宣伝しろと……?

 隠した方がよく売れると思うのですが」


「ああ、貴方に任せたいんだ。それに宣伝もして欲しい。俺の村は人間との共存共栄を望んでいる。そのためには最初は時間がかかるかもしれないがちゃんと事実を伝えて欲しい」


 領主は考えこんでいる。



「ふむ…………わかりました。その通りにしましょう」



 その後、俺と領主はそれぞれの適正価格等の話し合いに入った。

 ウルがいて本当によかった。価格設定とか指標がないと全く分からなかったからな。

 舐められることなく交渉できたと思う。

 


「…………と、ではそういうことにしましょう。

 …………いやはや、ユーヤ殿には交渉の才もお持ちのようだ」


 そんなことないって、ウルのお陰だよ。


『ふふーん♪ 分かればいいんです!』


 ウルはとても上機嫌だ。



 ちなみに俺の部下三名は真剣に話を聞いていた。

 元々三人とも頭が良いらしいし。

 何かと交渉することが有るかもしれないからな。俺みたいにウルのサポートが得られるかも知れないが、この社畜の交渉から何かを学んで欲しいものだ。







「さて、次はドワーフの鍛治屋だな」


 俺は領主に品物を納めて金を受け取り、今後について話し合った後に面会を終えた。これからドワーフの鍛冶屋に向かう。






「おーい、久しぶりだなー?」


 ドワーフの鍜治屋に四人で入っていく。


「はーい、いらっしゃいませ!

 ………………って、ユーヤさんですっ! お久しぶりです!」


 赤髪ツインテール元気っ娘のエミリーが店番をしている。


「ああ、エミリー、久しぶりだな。ガダンはいるか?」


「いるですよ。ちょっと待つです!」


 またエミリーがトテテテーと走っていく。

 和む。


「あの子、とても可愛らしいですね」


 サクラが言う。


「ああ。だが、多分サクラよりも年上だと思うぞ?」

  

 元コボルトとドワーフだからな。 ドワーフのが長生きだろうし。それで相対的に考えたら多分エミリーのが年上だと思う。


「!?」


 サクラは開いた口が塞がらない。





「おお! ユーヤじゃねえか! 久しぶりだなあ!」


 俺とガダンは手を固く握りあう。


「ああ、色々あってな」


「そうか! 色々か!

 ところで、そっちの二人とは初めましてだよな?

 ………………にしても、その二人もまた強そうだな、おい。

 ユーヤとアリシアも前とは比べもんにならねえし」


「あっ、それ私も気になってたです! どちら様です?」



「ああ。こいつらが、その色々のうちの一つだな。俺の配下になったサクラとアッシュだ。


 サクラ、アッシュ、こちらはドワーフで腕利きの鍛冶師をしていて俺の友達であるガダンだ」


「よろしく頼むぜ!」


「よろしくお願いする」


「よろしく……」


 ガダンと二人は挨拶する。

 二人は何故か握手しようとしないが。


「ユーヤ様以外の殿方にはなるべく触れられたくないですね」


「いついかなるときも油断は出来ない」


 二人の呟きが俺の神竜イヤーに届いたが、ちょっとそれ相手に失礼すぎないか?

 まあ、個性か?



「それで、ガダン、武器の製作は進んでいるか?素材は足りるか?」


「おう、そのことだが…………これが中々難しい素材でな。武器の製作はまだかかりそうだ」


「そうか。まあ、ゆっくりでも確実に良いものを造って……」


 あれ?俺が武器の素材として渡したのは昔の俺の爪と牙だよな?

 進化後の今のが素材として良いものなのでは?


「なあ、ガダン、ものは相談なんだが、俺は進化してな?

 前に渡したのよりも良い素材が渡せるんだが……」


 ガバッ! ガダンに両肩を掴まれる。


「おい、それは本当か?」


「あ、ああ……」


「よし、その素材で造ろう」


 へっ?造り直せと言うんだからもっと嫌な顔をされるかと思ったんだが…………なんでむしろやる気に?


「これは俺の人生でも最高の作品だ。妥協したくないんだ」


 職人だ。職人魂を感じる。



 …………これなら、言ってみようかな。


「なあ、ガダン。前に俺が国を興したら俺のところに来てくれるだて言ってたな?

 実は俺は魔物の村を作ってな?是非お前にも来て欲しい」


「……………………勿論だ! エミリー! 準備しろ! ユーヤの村に引っ越しだ!」


「ふぇ?………………えー!? なに言ってるです!?」


「だから引っ越しだ!お前も来い!

 ユーヤ、いつ出発だ?…………明日か、わかった」



 慌ただしく動き出したのを見て、俺は鍛冶道具を異次元収納に入れて運ぶことを提案したりして手伝った。部下四人も掃除とか物運んだりな。





「うーーーん、働いたって感じがするな」


「そうですね、少し疲れました。精神的に」


 俺たちのステータスじゃ疲れることはあまり無いが、やっぱ精神的にな。


「今日はもう宿屋に泊まろう」








 場所は変わって宿屋の一室。前に来たときにアリシアと泊まった宿だ。

 部屋は三つとった。


 なぜ三つかと言うと、アリシアに一部屋。アッシュに一部屋。俺とサクラで一部屋だ。

 二人とも気を使ってくれた。



 ベットに腰かけたサクラに問う。


「さて、サクラ、本当に良いのか?」


 俺はサクラに問う。

 サクラは決意を込めた表情で俺に告げてくる。


「はい。私はユーヤ様にとても感謝して、尊敬をしておりました。ですが、日に日にそれだけではないことに気がついて……


 あの巨神との戦いの後に倒れてしまったユーヤ様を見て、酷い悲しみとまるで世界で独りぼっちにされてしまったかのような思いを感じて、もう気持ちを抑えられなくなりました。恩を感じているからということが理由ではありません。



………………お慕いしております……!」



「俺にはアリシアがいるし、これからも増えるかもしれない。

 それでもいいか?」


「当然です」



…………そうか。なら俺から言わなきゃな。


「サクラ、俺はサクラのことが好きだ。恋人になって欲しい」



 サクラはその顔を紅く染めて、涙を流しながら、笑い、言う。


「はい! こちらこそよろしくお願いします!」




 それからは、ウルが機能を切るようなことになりましたとさ。









 ………………狼耳と尻尾、格好いい系の美人、忠犬、


 正直萌えた。

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