俺って有名人?
「止まれ」
俺達は村からフォーレンに向けて歩いていた。
そしたら、いきなり前方から凄まじい威圧をぶつけられた。
そしてその後に言われた台詞がこれだよ。ったくなんなんだよ。
最近のんびり出来てるなって思ってたのにさ。
「お前は誰だ? 姿も見せずに。なぜ俺らに威圧をかける?」
俺はそう誰何する。
「ふむ。確かに。目の前に現れないのは失礼と言うものだな」
そう言うと、俺らの目の前に何者かが現れる。
………………はっ?なんだこいつは?
俺の前にいるこいつは、神々しいオーラを纏った巨人(?)だった。
なぜ、こんなでかい生物が目の前にいて、俺達は誰一人として気づかなかった?
俺の部下三人は、威圧をぶつけられた時から俺を守るように前に出て警戒をしていた。
にも関わらず、だ。こいつは俺達の目の前にいきなり現れた。
ただ者ではない。
俺達は警戒レベルを最大に引き上げた。
「自己紹介をしよう。私は中級神で戦神のガラームだ。
今回はお前に用があって来た」
そう言ってガラームが指差したのは…………
…………俺だった。
うん。分かってた。多分俺かなー? って。
にしても、中級神でこんなスゲエのかよ。
神ってすげー。
「それで? そのガラームさんが俺に何の用かな?」
「お前は“絶対神に興味を持たれし者”だな?」
「っ!」
ここで来るのか、絶対神の興味……!
「ああ、そうだったらどうする?」
「俺と殺しあいをしてもらう」
…………ハア。なんでよ?なんでなのよ? 脳筋? 脳筋なの?
「お前はその称号から、様々な神に一目置かれている。
流石に四六時中監視するような真似はしないがな。
ある者は興味を、
ある者は好意を、
ある者は警戒を、
ある者は憎悪を、
様々な感情を持たれている。まあ、お前のことを知らない神や、全く興味のない神も多いがな」
俺って知らぬ間に有名人?
「へえ。知らなかったな。
ちなみにお前は?」
「俺は、“興味”だ」
「興味があるのに、殺しあいか?」
「ああ。俺も戦神の端くれ。戦いが好きなのさ。
俺が一番最初にお前を試したかった。それで死ぬのなら本望。俺が生き残ればお前はその程度と言うことだ」
わぁお。本当に脳筋だったよ。ったく、なんなんだよ。
「ッチ、しょーがねーな。戦ってやんよ。アリシア達は手出しすんなよ?」
「主殿!? 本気ですか!? 我々にお任せを!」
「ユーヤ様! いけません!」
「ユーヤ様、俺達に殺らせて下さい」
アリシア達が言ってきてくれる。嬉しいねえ。心配してくれてるんだろ?
だけど、さ。
「私が興味があるのはそこの男だけだ。
お前らには手だしするつもりはない」
ほら、こういう輩は周りには危害を加えない。だけど、戦う為なら何でもするような奴だ。俺が戦うのが一番安全だ。
『ええ。そうですね。この神は、保守的な考えの多い神の中でも、かなり好奇心の強く、突っ走りやすい神です。
神に関しては知れないことも多いですが、この神に関しては案外簡単に情報が手に入りました』
だろ?
「心配するな。俺はお前らの主様だぞ?」
俺は茶化して言う。
「主殿……油断はなさらぬように、気をつけて」
「ユーヤ様、怪我、しないで下さいよ!?」
「危なかったら、遠慮なくこちらを頼って下さい」
良い部下を持ったな…………
『マスター、お気をつけて。
そのガラームは脳筋ですが、馬鹿ではありません。むしろ巨人にしてはとても賢い部類です。とても小柄ですし』
これが小柄?10メートル位あるけど?
『巨人族は身長の幅が広く、目の前のガラーム位、もしくはそれより少し小さい位から、山より大きい者もいます』
山よりって…………それって数千メートルじゃん?
いや、この世界の山は大きいから数万超える?
すげーな。巨人。
「待たせて悪かったな。ガラーム。
俺一人でお前と戦おう。
願わくばお互いにとって最高の戦いにならんことを。
………………さあ、死合おうか」
俺の口許は少しつり上がっていると思う。
俺ってこんなに戦闘狂だったかな?
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