領主との対談だ。
「ーーーーーー以後お見知りおきを」
掴みは上々、か?
今俺は領主の館にいる。
勿論、村をつくる許可をとる交渉をするためにだ。
アリシアには所用ではずしてもらっている。
俺の身分はAランク冒険者、そして真偽不明だがドラゴンである。ということだ。
それ以前に魔物の村をつくらせてもらおうと言うのだ、舐められては不味い。
その為、今の俺は正装をしている。
そして白銀竜の覇気を使っている。
これだけしているのだ、侮られることは無いだろう。
「あ、ああ。私はこの町の領主をしている、ジバーテというものだ。よろしく」
流石はこの町の領主か。直ぐに硬直から立て直した。
「ああ、よろしく頼む。
早速本題に入らせてもらおう。
今日は私の村をつくることの許可、土地の提供、そして可能な限りの便宜をはかってほしい」
かなり無茶を言っている自覚はある。
「代わりにこちらは、魔物とはいえ技術はある。商品を安く売ろう。
さらに、町の周辺の危険な魔物を我等が狩ることで安全性を提供する」
ジバーテは顎に手を当てて考え込んでいる。
「ふむ、だが、魔物の作った商品は町民に受け入れられるだろうか?
それに、魔物を狩るのは冒険者でも同じことだろう?」
「時間をかければ例え魔物の作ったものでも受け入れられるだろう。
俺のところの魔物達は将来性がある。いずれ有名になるかも知れない。その先行投資だと思ってくれれば良い。
冒険者は気まぐれだし、町の出入りもあるだろう?こちらは安定して狩れる」
熟考する。
「質問をさせて欲しい。
まず、何処に村をつくる気だ?
次に、君のところの魔物は危険では無いのか?」
「場所は、この町から少し離れた所にある湖の側につくるつもりだ。
俺のとこの魔物は人間から危害を加えられなかったら絶対に害をなさないと誓う。
皆、知性のある魔物だ。人間に無条件に襲いかかるようなことはしない。そこまで馬鹿じゃない」
場所はこの間見つけた。隠れ場的な感じで見つけにくいが、とても綺麗な湖だった。
ジバーテは今度はさっきよりも長く、考え込んでいる。
「……………………………………よし。
私から、一つだけ条件を出す。それを受け入れてくれるのなら、先の話を受けよう」
「条件とは?」
「それは……………………君の村に人間を30名ほど、受け入れて欲しい」
「はい?」
「実は困ったことがあってね。ある闇組織の被害にあって、税を払えなくなってしまった人達がいる。
その人達はこのままでは奴隷に落ちてしまう。
だから、君のところの村で無期限、無償労働をするという名目で受け入れてくれないだろうか?
それに、人間が一緒に暮らしているとなれば君の村が安全であるという証明にもなる。
どうだろうか?」
…………成る程。これは、むしろこちらに利益があるだろう。
この人は俺の人となりを見て、魔物の安全性を聞いて、この決断をしたのだろう。
…………まったくお人好しだ。
俺と同じで。
「良いだろう。俺、ユーヤ・ヤクモは責任を持って、その民を受け入れる」
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