配下が増えたようだ。
『マスター! 体に異常はありませんか!?』
「ご無事ですか!? 主殿!」
心配しすぎだっての。
「ああ、なんも問題ないよ?」
それより、俺は周りを見渡してみる。
茫然としているコボルト達に、意識を失って倒れている、族長の息子コボルト。
「ドラゴン様! 兄は、どうなったのですか!?」
族長の娘コボルトが聞いてくる。
「あいつが、ああなっちまった原因を取り除いた。直ぐに目が覚めるだろう。
…………今までのことをそこで寝てるやつに誠心誠意謝れよ? きっ許してくれるさ」
「…………っ。あっ、ありがとう、ございました…………!」
族長の娘コボルトが地面に額がつく位に頭を下げる。
気にするなと、ひらひら手をふる。
おっ? どうやら、お目覚めのようだな。
「………………ぅう……」
「兄上!!」
族長の息子コボルトが目を覚まし、体を起こすと、
………………俺に向かって膝まずいた。
………………だから、なんでやねん。
「ドラゴン様、俺は自分が化け物になっていた時の記憶があります。
…………辛かった。苦しかった。何もかもが嫌で、全てに絶望して……
…………もう、死んでしまいたかった。
だけど、貴方様は私を生かしてくれました。
俺の絶望を受け止めてくれました。
俺は貴方の力になりたい。どうか、俺を配下にしてもらえないでしょうか……!」
茫然としていた族長の娘コボルトが我に返ると、
「…………ハッ!!
兄上! 何を言っているんですか!
…………抜け駆けは許しませんよ!
ドラゴン様、元々コボルト族は忠義に厚い種族です。我々一族、今回のご恩は一生かけても返す所存です。
我々全員を配下にして下さい!」
いつの間にか集まっていた他のコボルト達も俺の前に膝まずいている。
「私も族長としてお願いします。我が一族、総勢約50名、配下にして下さい」
うん? 君たち、長年の隔たりが解消されたというのに、家族での話し合いより、俺にそれ言うことを優先させんのかい!?
………………はあ。わかってたよ。ほんとは。こーなるかもな? って。まさか本当にそうなるとは思わなかったが。
「…………ああ!! わかったよ! 配下にすれば良いんだろう!?
全員まとめて配下にしてやる! 全員今までよりも幸せにしてやるからな! 覚悟しろ!?」
コボルト達の嬉しそうな声が辺りに響く。
「ああ、そうだ。俺の配下になるのなら、名付けと眷族化を受け入れて貰うぞ?」
「「「「「「…………はい?」」」」」」
『…………やっぱりですか。ますたー……
…………そう言えば、何故かマスターは名付けでの消耗が少ないようなんですよね。不思議です』
それかなり大事なことだぞ? ウルさんよ。もっと早く教えてほしかったな。
俺は呆気にとられているコボルト達全員に名前を付けていく。
同時進行で眷族化もしている。
…………名前を考えるのは中々大変だ。
「…………よしっ! これで全員だな!」
コボルト達は途中から、事態に気付いたのか大騒ぎしていた。
まあ、それでも全員名前を受け入れてくれたが。
ちなみに娘コボルトを「サクラ」息子コボルトを「アッシュ」族長を「グレイン」と名付けた。
…………むっ!! コボルト達全員が光に包まれてる!
光がおさまると…………二人の美男美女と、人に近い顔つき、姿の二足歩行の狼・犬たちが50人位いた。
ここまでは予想できなかったなあ……
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