謎の魔物…………?
てなわけで目撃情報のあつた場所周辺を俺とアリシアとで飛んでいる。
「この辺りなんだがなー」
上空から周りを見渡してみる。
「やっぱ、そうそう簡単には見つからないよな……」
「あっ! 主殿!
向こうで何かが起きているようです!」
アリシアの指す方を見てみると確かに騒ぎが起きている。
「よし! 行ってみるぞ」
「どういう状況だ、これは?」
騒ぎの起きている所に来てみると、そこには…………
まるで全てを飲み込んでしまう闇のように黒い、四足歩行の獣、いや、化け物か?
そして、その化け物に群がるようにして二足歩行の犬?狼?のような魔物がいる。ちなみに服は着ている。
どうやら、二足歩行の方が化け物に立ち向かっているようだ。
『恐らくあれが依頼の魔物でしょう。
そして、群がっているのがコボルトと呼ばれる魔物です。
知能が高く、もの作りの得意な魔物ですね。
ギルドの定めたランクですと、戦闘力は高くないのでEからDとなっていますね』
そうなのか。それじゃあ、コボルトが謎の魔物を倒そうとしているのか?
…………おかしい。何かがおかしい。違和感を感じる。なんだこの違和感は?
「主殿、どうやらコボルトたちは謎の魔物を殺す気は無いようですよ?」
………………確かに!!
コボルト達は魔物を押さえつけようとしている感じで、攻撃をまともにいれようとしていない!
あれじゃ、勝てるもんも勝てんだろう。
コボルト達の中に一匹だけ突出して強い個体がいるから、なんとか戦線が支えられている感じだ。
「話を聞いてみたい。俺はコボルト達に話を聞きに行く。
アリシア、ここで待っていてもいいが、どうする?」
「もちろん護衛させて頂きます」
さっきは、私は主殿には敵いませんとか言っていたのに、俺の護衛か。
いいね。嫌いじゃない。
「よし! ついてこい!」
「絶対に傷つけるなよ! これは罪滅ぼしでもあるんだ!」
「…………くそっ! 全然動きを止められない!」
俺は一番前に出ている特別強いコボルトの側に着地する。
「…………!!! 誰だ!? お前は!」
「通りすがりの……………………ドラゴンさんだ」
大事な所で嘘をつかない。これは良い人間関係を築くのに重要なことだ。
「ドラゴン!? お前は人に見えるが…………」
「スキルで化けてんだよ」
スキルと言っておけば納得してくれる、便利だ。
「そ、そうなのか…………いや、そう、なのです、か」
「しゃべり方なんて今はどうでも良い。
…………それより、今はどういう状況だ?」
「ドラゴン様には関係のないことです」
謎の魔物の攻撃を避けながら強いコボルトが言う。
「今はつまらん意地を張っている場合か?
いいから話せ。簡潔に、かつ具体的にな」
「んな無茶な!? えっと、私はコボルト族の族長の娘。名前は無い。そして、あれは…………………………私の兄だ」
『マスター! あの黒い魔物は元々コボルトだったようです!!』
…………………………なに?
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