ギルドマスターからの依頼、か
ガダンから依頼を受けて魔物を狩ってから一週間が経った。
この一週間は町で買い物をしたり、アリシアとウルとまったりして過ごした。
たまには休暇も必要だ。
…………社畜だった頃の俺が、今の俺を見たらどういう風に思うだろう?
…………この考えは止めよう。不毛だ……
「さて、ガダンはもっと時間がかかるって言ってたし、冒険者ギルドにでも行くか?」
「主殿の行きたいところへ。私は何処へでも付いていきますので」
よし! 久々にギルドに行こう!
ギルドに入る。
喧騒が静まり返る。
なんでだ。
「あっ!ユーヤ様にアリシア様!
捜していましたよ!」
えっーと……そうだ。セレナだ。美人エルフ受付嬢の。
「ああ、捜させてしまったか。
この一週間は休暇にあてていたのでな」
「そうですか。よく、休めたのなら幸いです。
ギルドマスターから面談が来ています。
今すぐにでもギルドマスターと話していただくことは可能ですか?」
「? ああ、可能だ」
「そうですか。よかった…………
えー、それでは私が案内させていただきますので着いてきてください」
セレナさんに付いていくとギルドの3階にある一室の前に着いた。
「それでは私の案内はここまでです。
失礼します」
セレナさんが深々とお辞儀をして去っていく。
さて、入るか。
コンコン、ガチャ
「失礼します」
俺はなるべく礼節を配慮して入室する。
アリシアは俺の後に続いて部屋に入る。
アリシアはウルに、この一週間で礼儀について教わっていたので完璧な所作だ。
かなり様になっている。是非とも俺の部下に欲しい。
…………あっ、既に俺の配下だったわ。
俺たちが部屋に入ると、部屋のなかには目を丸くしているエルフの優男の姿が。
「あなたがギルドマスターだな?
俺達は先日Aランク冒険者になったユーヤ・ヤクモと、」
「アリシアと申します」
「本日は俺達と面談がしたいと言うことで参上させてもらった、のだが…………
…………何故動かない?」
ギルドマスターとおぼしき優男は固まっている。
「…………あっ、ああ、すまないね。
こんなに礼儀正しい冒険者ってのも中々いなくてね。少し感動していた」
冒険者ってのは乱暴な者も多いらしいからな。仕方無いのか。
…………俺? 俺は元社畜だぞ? 礼儀位弁えている。
ただ、今回の人生では誰彼構わず媚びへつらう気は無い。ドラゴンになった影響が精神面に出ているのかもな。
このギルドマスターは中々出来た人物だと俺は判断している。
なので、俺も相応の態度で示すのさ。
だが、敬語はそんなに使う気はない。やっぱり俺ってドラゴンだし? アリシアの主でもあるからな。
「そうか、それは仕方無いのかな。
それよりも、用件の方を聞いても良いだろうか」
「ああ、そうだったね。
まずは自己紹介から、僕はこのフォーレン支部のギルドマスター、テールと言う。
今回二人を呼んだのは僕が二人の人となりを見たかったのと、もし出来るならある依頼をしたいと思ったからなんだ」
「そうか。それで俺達の評価は?」
「はははっ、文句なしだね。
それに、白銀の全能の名に相応しい美貌と実力を持っているみたいだ。
…………正直目の前に立っていても冷や汗が止まらないよ。
これでも、怪我で引退したとはいえ、元Sランク冒険者なんだけどな……」
むっ?俺の実力に気づいたか。
ちなみに俺は自分のステータスを見せないように隠蔽している。
自分の手札を態々見せるようなもんだからな。
「それで? 依頼の方は?
内容によるが受けても良いと思っている」
「本当かい!?
いやー、助かるよ。この町で一番実力があるのは恐らく君たち二人だからね」
アリシアが、「私が主殿と同列など……」とか言っているが気にしない。
「それで依頼というのはだね。
最近この町の近くで謎の魔物が目撃された。
魔物は真っ黒な見た目をしていて、今までのどの魔物にも当てはまりそうに無いんだ。
ただ、目撃者はその魔物の戦闘を偶然見たが、異様な強さだったと言っている。
二人にはこの魔物の調査、報告をしてもらいたい」
…………謎の魔物か、少し気になるな。
…………よし。
「ああ、わかった。
その依頼を受けよう。報酬などはそちらで纏めておいてくれ。文句があったら容赦なく言わせてもらうが。
それと、目撃された場所を教えてくれ」
そうして、俺とアリシアはギルドマスターの部屋を後にした。
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