ふう。一日の終わりだな
「…………と言うわけで、その後、紙に書いてあるところ全部回ってきた。
あまり、苦戦もしなかったな」
場所はドワーフの鍛冶屋。ガダンとエミリーに今日あったことを話した。
案の定絶句している。
「おーい? 聞いてるかー?」
「………………ハッ! すっ、すまねえ。ちょっと思考が停止してた。まさか本当に今日中に出発して、しかも今日中に終わらせて来るとは…………。どんだけだよ…………しかも、すげえ奴だと思ってはいたがまさかドラゴンだったとは……」
そう。俺の正体がドラゴンであることもサラッと言った。
「ああ。そうだぞ。お前らは信用できると思ったからな。俺のことを話すに足る人物だと」
「ッ! お、お前さん………どんだけ俺に気に入らせたら気がすむんだよ……」
ガダンはとても感動している。
よかった。すんなり受け止められたようだ。
エミリーはまだ機能停止しているが。
『………………人たらし…………』
うん? ウル、なんか言ったか?
『いいえ? なにも?』
? なんか言われた気がしたんだが。気のせいか。
「決めたぜ! 俺はユーヤ、お前さんが何かをするときは味方でいてやる! お前さんが町を、国を興すってんなら俺が専属でついていってやる!」
「ちょっ! お父さん!? また何言ってるですか!?」
おっ、エミリーが再起動した。
にしても、国を、ねえ。
「うーん、アリシアといい。お前といい、俺のことを買いかぶり過ぎじゃないか? 俺は国を興す気なんて無いぞ?」
「ガハハハ! 俺は俺の勘を信じるぜ?それに、そんときゃ、エミリーもつける。こいつはこれで中々、生産職全般に適性がある。
………………まあ、鍛冶では俺には遠く及ばんがな!」
職人のガダンが言うなら、きっとそうなのだろうな。
………………どうしよう? 今のところ国を興す気なんて無いのに、凄く魅力的に思えてきた。
「ガハハハ! なんだったらこいつをそのままお前さんのハーレムに入れてやってくれ! その辺の男にやるよりも余程いい!」
「お父さん!? 何を言ってんですか!?」
ハーレム? なにそれ? 本気でいってるのか?
『この世界では一夫多妻も一般的ですよ? というか、地球にも無くはなかったでしょう? 国によって、歴史によって、ですね。まあ、この世界でも、実際は中々ありませんが』
アリシアが駄目って言うんじゃ?
『今聞きましたら、アリシアは「主殿が私一人で収まる器な訳がありません。全然構いませんよ。ただ、誰彼構わずというのは……」と言っています』
…………まじで?
『マジです』
…………考えとく。
「ガハハハ! まあ、そのうち貰ってやってくれ! こいつは仕事ばっかで全然そんな話がねえ。早くしねえと嫁ぎ遅れるからな!」
「もう! いいじゃないですか! 今は仕事がしたいんです!
…………ただ、ユーヤさんなら、そんなに悪くないかもです」
おーい?最後の聞こえてるよ?
ドラゴンの聴力、侮れんな。
にしても、やっぱりメチャクチャ良い親子だよ。あんたら。
「ああ、考えとくよ。じゃあ、俺は宿にアリシアが待ってるし、もう行くな?」
「おう! また来てくれ!」
「はいです! また来てください!」
「………………ってな感じだったな。今日の俺の一日は」
俺はアリシアに今日あったことを説明する。
ガダン達とで2回目だから手慣れたものだ。
今回はウルも話しに加わっていたし。ちょいちょい補足してくれた。
ただ、俺が道を間違えたことは言わないで欲しかったな。
主の威厳がさ……
『そんなことで、アリシアは失望したりしませんよ。
というか、アリシアの忠誠はとっくに天文突破してますよ。
無くなりようがありませんってば』
そうかな? 確かに俺も少しはそう思うけど。
「むう。楽しそうですね。私も行きたかったと思ってしまいます。
ああ、そうそう。今日、ウル様から確認が有りましたが、私以外にも恋人をつくっても構いません。
…………ただ、人が増えても、私も構ってもらえると……うれしい、です……」
頬を赤く染めてもじもじ言うとは。
だから破壊力が半端じゃ無いんだってば。
俺はたまらずアリシアを押し倒した。
ウルの溜め息を吐く声と、気を利かせて機能を切る様子が印象的だった。
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