買い物だな。そして宿屋だ
ドワーフの鍛冶屋を出た俺たちは買い物をすることにした。
「なにか必要な物は…………と」
「主殿、先ずは服を買いませんか?」
ああ、確かに。
俺たちが今着ているのは一般的な村人の服って感じで男女で区別がないような服だ。
ただ、町にいると少しみすぼらしく見えてしまう。
「そうだな。服屋を探すか」
見つけた。
中々洒落てて高級感がある店だ。
「こんにちわー。
服を買いたいんですが…………」
「いらっしゃいませぇん。
あらーーん?
ちょっとあなたたち! メチャクチャイケメンに可愛いこちゃんじゃないのよん!
もったいないわ! そんな服を着ていて!
私がコーディネートしてあげるわん!」
俺は思わず硬直してしまった。
そんなTHEオカマ口調をしているから実は大男とかそんなオチかと思ったら…………
…………普通の美女なんですが。
…………はっ? なんでそんなしゃべり方?
アリシアさんもビックリして固まってるよ?
「あ、ああ、普段着用と冒険者するときに着るようが欲しいんだが…………
店員さん。つかぬことをお聞きするが……」
「あらん? それってこのしゃべり方のことかしらん? それとも私の性別のことかしらん?
それだったら私は正真正銘女でしゃべり方は人ぞれだから。としか言えないわぁ」
おぉ、聞きたいこと自分から言ってくれた。
にしてもキャラ濃いなこの人。
深い海のような濃い青色の髪の毛を長めに伸ばして、顔は清純派って感じに整っている。
ちなみに目の色は髪の毛と同じ色だな。エミリーも髪の毛と同じ色だったが。
アリシアに匹敵する位のぼんっきゅっぼんだ。
…………その見た目でこのしゃべり方かよ。違和感半端ねえー。
「あ、ああ。つまらないことを聞いてしまいすまなかった。
さっき言った通りに服をなん着か見繕ってくれ」
「わかったわぁ。お姉さんに任せなさい!」
俺とアリシアは今日泊まる宿を探している。
さっきより数段も上等になった服を着て。スキルで羽を生やすことがあると言ったら、目を丸くしたものの、目立たないように切れ込みも入れてくれた。
あのあとは暫く色んな店で買い物をした。
異次元収納が大分充実してきたと思う。
「とてもいい人でしたねエリザベスお姉さまは」
「ああ、この町はいい人ばかりだな」
さっきの服屋の店員さんはエリザベスさんと言うらしい。アリシアなんてお姉さまと呼んでいる。
『むう。私だってアリシアにお姉さまと呼ばれてみたい……』
「そう拗ねないで下さい。ウルお姉さま?」
『きゃっ、こ、これは照れますねぇ……
やっぱりいつもの呼び方でいいですよぅ』
拗ねたと思ったら照れだした。
何故か頭のなかに映ってきた、頬に手を当て、いやんいやんと首をふるイメージ付きで。
…………器用なやっちゃ。
「おっ? この宿はいいんじゃないか?」
「そうですね。とても綺麗で良い宿だと思います」
妖精の泊まり樹との看板のかかっている宿屋に入る。
「いらっしゃい! お客様はお二人かい? 一部屋と二部屋、どっちにする?」
恰幅がよくて、気の良いおばちゃんって感じの人が対応してくれる。
「一部屋でダブルベッドでお願いします!」
アリシアさんや、なぜそんなに食いぎみに言う? しかも一部屋って、そういうことだよね?
おばちゃんも何かを察したらしく、ニヤニヤしている。
「あいよ! ご飯はそこの食堂でとれる。時間帯はそこの表の通りだ。あんたたちの部屋は二階の奥の防音がとびきりちゃんとした部屋だよ!」
……お節介好きのおばちゃんだ。俺から代金を受け取ったあとにそんなこと言ってくる。
今もアリシアにゴニョゴニョ何か言って、アリシアが顔を真っ赤にしている。
「さっさと飯を食べよう。アリシア?」
「はっ、はい! わかりました!」
そして今は自分達の部屋にいる。飯はかなり旨かった。ただ、米は出てこなかったが。
「いやー、飯が旨かったな」
「そうですね! 主殿の血には敵いませんが!」
そして暫く続く沈黙。
「あー、アリシア?この部屋をとったってことはそういうことだよな?」
「っ! ……………………は、はい…………」
ここは、俺から言うべき……だよな?
「……俺もアリシアのことは好きだ。これからも大事にすると誓おう。俺の恋人になってくれないか?」
「あっ、あるじどのぉ…………!」
そんなこんなで俺とアリシアは結ばれ、アリシアが俺の配下兼恋人になった。
俺の配下であることは誇りなんだと。恋人なんだからよくないか? と言ったら断固拒否された。
ちなみにウルは早い段階で機能を切ってくれていた。なんでも後でアリシアから直接聞くんだってさ。
……………………普段大人びていて凛々しいアリシアが甘えてくるのは破壊力が半端なかった、とだけ言っておこう。
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