配下が出来たようだ
眷族? なんだそれは?
いやいや、それよりも何故仕えることになる?
確かに俺は全てになってやるとは言ったし、それは本心だが主になることになるなんて思ってもみなかったぞ?
一回整理してみよう
………………ああ、十分だわ。十分すぎるわ。
死にかけてるとこを助けて、ひとりぼっちだったのを一緒に生きてやると言って、名前をあげて……
それがどういうわけか仕えたいということになった、と。
魔物の本能か?
…………これは受け入れるべき、だよなあ。
助けた以上責任があるし、何にでもなるっつったし。
「……よし、わかった。お前が眷族になることを受け入れよう」
「!! ありがとうございます!
配下に名を連ねるものとして、精一杯使えさせていただきます!」
「配下に名を連ねるって…………
俺にはお前以外配下なんていないし、これからもできるかはわからんぞ?」
俺が苦笑しながら言うと、
「何を仰いますか!
主殿はとても素晴らしいお方です!
きっと貴方の周りにはたくさんの人が集まることでしょう。
私もそのときにお傍においてほしいのです」
俺の周りにたくさんの、ね。実際どうなるのかね。
本当にそうなったらそれはそれで楽しそうだな。
なんてやり取りをしていると、不意にアリシアの動きが止まった。
「ん? どうしたアリシア?」
「…………いえ、称号が覚醒、や、スキルを獲得しました。などの声が聞こえて……」
『マスター、アリシアは称号【忌み子】が覚醒し、それに会わせてスキルを獲得したようです。
私がアリシアに説明をしましょう。
眷族になったことでマスターとアリシアとの間に繋がりができて、アリシアは私と会話することが可能になっていますので』
そうなのか。
…………うん? それじゃあウルの声って今までアリシアに聞こえてなかったの?
…………俺ってずっと独り言を言ってる変なやつじゃん。
わー、恥ずかしい。次から気をつけよう。
「…………ん! まただ! だ、誰ですか! この声は?…………へっ? ウル? 主殿のスキルの…………?」
どうやらウルがアリシアに話しかけているようだ。
アリシアは軽く混乱しているみたいだ。
取り合えず微笑みかけておこう。
「…………えへへ。
はい、あっ、口に出さなくとも意識して念じれば通じるのですね。わかりました…………」
少しした後、
「…………話は終わりましたよ。主殿。
ウル様はとても素晴らしいお方でした!」
念じれば通じるのか、ウルさんよ、俺にも教えてほしかったな。聞かなかった俺も悪いが。
ウルと話している時のアリシアは驚いた顔をしたり、神妙な顔をしたり、喜んだり、一気に顔を赤くさせたり、あたふたし始めたり、コロコロ表情が変わっていた。
中々可愛かった。だが、一体何を話したのだろう?
明らかに称号の説明だけじゃないよな。
『マスター、話終わりました。アリシアはとってもいい子でしたよ!
マスターも、アリシアとなら仲良くしてもいいです! アリシアだったらそういう関係になっても私は怒りません!』
何故ウルが許可を出すんだ?
まあ、仲良くなってくれたみたいで良かったが。
あー、ウル?聞こえてるか?
『あ! マスター、念話ですね!ええ、聞こえてますよ!』
アリシアと仲良くなれたみたいで良かったよ。
アリシアの新しいステータスを称号入りで解説してくれ。
『はい! わかりました。こちらです!』
アリシア ・種族 吸血鬼
性別 女
・レベル 1
・HP 2000/2000
・MP 3000/3000
・パワー 2500
・スピード 2000
・ディフェンス 1500
・マジック 4000
・マインド 5000
・ラック 1000
ユニークスキル
・血液操作 new!
・常闇の支配者 new!
スキル
・気配自在
・吸血
・飛翔
・変身 new!
【称号】
・絶対の忠誠を誓う者・ユーヤの眷族
「血液操作」
血を操れるようになる。
また、使いこなすには相当な鍛練が必要。
「常闇の支配者」
闇とはつまり影のこと。影を極めたものは闇をも制する。
影を自在に操れるようになる。
汎用性が高い。
また、使いこなすには相当な鍛練が必要。
影魔法が進化したもの。
「変身」
自分の姿を自在に変えられる。
ただし、強さは変わらない。
【絶対の忠誠】
【忌み子】が覚醒したもの。
自分に残酷な世界で、一度決めた主に仕えることに自分の存在意義を見いだしたもの。その忠誠心はたとえ生まれ変わっても消えることはないであろう。
忌み子は消えたので他人から憎悪されることはもうない。
【ユーヤの眷族】
ユーヤの眷族であるということ。魂で繋がっている。
敵対行動は出来なくなる。
『……という風になっています!
アリシア、よかったね、もうだれからも憎まれたりしないよ…………』
ウルが感極まって涙声になっている。
うん、気持ちはわかるぞ。
ちなみに今は念話を三人で行っている。
「アリシア、これからはお前は誰かに忌み嫌われることは無いだろう。
いたとしても、俺がぶっ飛ばす。
これからだ。これからがお前の楽しい人生の始まりだ。
ワクワクするだろう? 俺とウルで一緒に楽しんで生きようぜ?」
「はい! 主殿! これからよろしくお願いします!」
その時のアリシアの笑顔は可愛すぎて正直、直視出来そうになかった。
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ゆーくんのモチベーションに直結しますので!




