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吸血鬼の忠誠

ーアリシア視点ー



 私はずっと一人だった。



 私はラージバットという種族に生まれた。

 

 ラージバットは本来、集団で生活する仲間意識の強い魔物だ。


 だが、私は産まれてすぐに集団を追い出された。

 

 幼いラージバットである私が今まで生きてこれたのは、本当に運が良かったのだと思う。


 それになぜか私は影魔法というスキルを持っていて、ステータスも高かったから生き残れていたのだ。


 群れを追い出されたことは実際、それほど恨んだりとか、そういう感情はない。


 その後の人生で嫌というほどの憎悪を向けられてきたから、私には人から憎まれる“何か”があるのはわかっていた。


 殺さずに、追い出すだけにとどめてくれたのは家族からの精一杯の最初で最後の愛情だったのかもしれない。



 だが、ついには私にも限界がきた。


 



 もう、無理だ。たえきれない。


 これ以上は私の中の何かが死ぬ。


 助けなんて望めるはずもない。私は世界から嫌われているのだから。









 ……………………誰?


 銀色に煌めく美しい髪を持った人族だ。


 私を見て、何か考えている。



 次の瞬間には私に向けてあらんかぎりの憎しみをぶつけてくるかもしれない。


 今まではそうだった。


 

 ああ、私を殺すのかな?でも、それも良いかもしれない。


 ? 私を見ても何も言ってこない?


 



 …………ッッ!! 可愛い? 私が?


 ……初めて言われた、そんな言葉は……

 


 でも、この人も憎しみに支配されるかもしれない。この人にそんな感情は抱いて欲しくはない。


 私から離れて……! 

 


 この人はさっきから独り言を言っている。


 まるで誰かと話しているようだ。







 …………私を……救う?



 そんなこと、望んではいけない、私は生きていてはいけない。





 私、の、私自身の、気持ち…………



 本音を、言ってもいいのなら、わがままを、言ってもいいのなら……







 私は、まだ、生きたい!!! こんなところでなにもせずに終わりたくない!!

 ………………助けて……

 


 銀色の人が私に触れて、名前をくれた。




 “アリシア”それが私の名前。






 暖かい。この人の手から暖かいものが流れてくる。私のなかに満ちていく。

 

 こんな風に優しく触れられたのも初めてだ。


 なぜか胸がすごく高鳴っている。何故だろう?こんなことは知らない。



 


 ああ、そうか。私はこの人のことが好きなのか。


 彼の姿を見たとき、その姿が美しくも愛しく感じた。


 自分が人型になったことで自覚した。



 今の私の心のなかは愛しさと同時に彼へ仕えたい、役に立ちたいという忠誠心が狂おしい程に渦巻いている。




 私は、私の全てになってくれた貴方に、私の全てを捧げたい。




 そう思ったら自然と言葉が出てきた。


「主殿………………」

ということで

アリシアは忠誠心高め吸血鬼っ娘でした!

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