表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/5

第1話 勇者召喚を盗みみる勇者

1話 勇者召喚を盗みみる勇者


俺はリオン=アハト。今日も元気に壁に擬態してます。なんでかって?そりゃ、勇者召喚の儀を見るためです。いやー張り切り過ぎで、かれこれ3日は壁に擬態してるんですよね!勇者召喚の儀を見るのはこれで23回目ぐらいになるけど、今日こそはそのロジックを解明しちゃうぞ!


ちなみに俺が擬態しているのは王城の王の間だ。目の前には聖女と国王がいて周りには兵士たちがずらっと並んでいる。聖女は14歳ぐらいで顔立ちはとっても美しい。青い髪のロングヘアーだ。王様は40ぐらいかな?その豪華な服を着こなしているあたり王様なのだろう。ちなみに王女様は確か今年で7歳だった気がする。そのため勇者召喚の儀には参列しないらしいです。まったく、子供だからってかわいそうじゃないですか王女様は。ええ、まったく。そして俺と対照の壁に擬態している方もいる。どっかの国のスパイだろ。


「聖女よ。そろそろ始めてください」


「わかりました」


シャンシャン


聖女が祭具を鳴らす。そして召喚陣に手をかざして魔力を流す。祭具からとんでもない量の魔力が注がれていく。


(やっぱり召喚に必要なのは大量の魔力なんだよなぁ。それも清き魔力)


俺はかつて同じように召喚陣を描いて召喚を試した事がある。俺も勇者を召喚しようと思ったが、出てきたのは魔獣。そりゃぁ、媒体にしたのは魔石竜の塊だからなぁ。魔物の禍々しい魔力に惹かれたのは魔獣でした!というわけだ。出てきた魔獣ほ後始末は泣きながらやったものだ。


「光に導かれし勇者よ!ここに!」


清き魔力がこの場を包む。静寂の訪れとともにそこには1人の少女が立っていた。水色のツインテールで7歳ぐらいでしょうか?幼さしかないその子は突然の事に驚いた顔をしている。


「.......勇者様でしょうか?」


召喚した側の聖女の問いかけ。俺は召喚陣の解析を終えて頭に叩き込んだところだ。


「ふぇ?ここ、どこ?おかぁさぁん」


あー。これは泣きますね。顔を見たらわかります。泣きだすのは突然です。少女はえーんと泣き始めてしまった。


「こ、これはどういう事ですかな?」


王様の動揺。兵士達の困惑。聖女も固まってしまっている。どうしましょ?前の勇者召喚は100年前の話。対応マニュアルぐらい先代の聖女作っておけよ!と思いながら俺はこの場から去る事にした。擬態して壁を伝いながら出口に向かった。


俺は城から出ると擬態を解いて街を歩く。


「ありゃぁ上玉なんだけどなぁ」


見た目も中身も幼いあの少女は成長すればそれは勇者と言っても過言ではないぐらいの秘めたるものがある。と言って7歳で召喚をされたのは少しかわいそうだ。俺と違って女の子。俺は好奇心旺盛だったために問題はなかった。


「あと、あの子は地球からの召喚ではなかったなぁ」


どこか知らない異世界から召喚されたのだろう。まぁ、おかげで大分召喚の解析ができた。今年中には実験を行いたいものだね。


俺は王都の大通りを歩いて宿屋《実りの宿屋》にたどり着いた。


「今日はここに泊まりましょうかねぇ」


扉をくぐって受付に向かった。受付はババアだった。実りすぎだろ。


「いらっしゃい。お客さんは何泊しますかい?」


「一泊で」


「1シルバーになるよ」


俺は財布に手を突っ込んで硬貨をつかむ。見切ったぞ!俺は1つの硬貨を見ずに取り出す。それは銀貨であった。

今日の俺は絶好調だぜ!という顔で銀貨をババアに払った。


「部屋は二階の奥になるよ」


「あいー」


俺は鍵をもらって二階に上がっていった。部屋は悪くない。ちょうどい広さだ。


「今日の収穫としては悪くない。明日はここを立って魔導都市に向かおう」


荷物を置いて外に出ようと思ったが、手ぶらだったので部屋を見てすぐに出た。まだ日も明るいので外でぶらぶらする事にしたのであった。


「昼飯くってないなぁ。どこ行こうかな」


王都に訪れたのは30年ぶりだ。建物が変わりすぎててわからない!俺は歩いている人にオススメの店を聞く事にした。まずはセンスのありそうな人を見つける。雰囲気からして美食家みたいな人が好ましい。だが、見渡してみてもそんな雰囲気を纏っている人はどこにもいなかった。俺は断念して適当な人に声をかける。目についたのは貴族の婦人である。


「すいません、ここら辺で美味しいお店をご存知でしょうか?」


貴族の婦人は少し驚いたものの表情は和かに


「それでしたらこの通りをまっすぐいった先にある《フィルモンツェ》などどうですか?」


「ほほう。答えていだだき、有難うございます」


俺は笑顔でそう礼を言って通りの奥に向かった。いやーいい人で助かったよ。この無礼者!とか言われたらどうしようとか聞いたあとに思った。


それにしても賑やかだなぁ。このリディア王国の歴史は1000年も続いているのだ。1000年もよく持ちましたねぇ。といっても戦争で多少は衰退したりしたそうだ。


「あ、あの〜?リオン様ですよね?」


突然俺は知らない女性に話しかけられたのだ。見た感じはギルドの受付のお姉さんだ。


「え?あ、はい。リオンですけどなにか?」


「や、やっと見つけました!」


やっとだとぉ!!まてよ、俺が3日前から入国した時からずっと探してたのか?それは申し訳ないことをしてしまったな。3日間は自慢じゃないが王の間で遊んでいたのだ。人がいなくなったら擬態を解いて寝っ転がってたりしてました。


「えっと、なんのようですかねぇ?」


「王国からの指定依頼です!期限は今日の夜まででしたので間に合ってよかったです。ささ、王城に向かいますよ!」


「え!?俺の飯は?ちょっと3日前からなにも食べてないんですよ!」


「そんなことより王城に行くのが先です!着けば食べられますから!」


俺の意思は無視されてしまった。俺の見た目のせいだな!威厳も怖さも出せないのは悲しいです。


はたから見ればギルドの受付のお姉さんが12歳の少年の引っ張っている図なのです。悲しいですよ。悲しい。


俺は4年前にギルド登録したことを今後悔しました。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ