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BRAVE HEARTS  作者: 刹那翼
第5章 ブレイヴ・ハーツ
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青龍と森 12/27

 俺達が属する『ラグナロク』予選Aグループは、最後の最後まで決勝進出チームが決まらず最終戦にもつれ込んだ。そして、真霧のBグループもそうだった。俺達は2年生のチームに負けはしたが、この前の3年生と2年生の決闘で3年生が勝ったことにより、今のところ全勝の『フェニックス』と1勝1敗の『ブレイヴ・ハーツ』の直接対決を制したチームが決勝進出になることになった。一方、Bグループは真霧らの『ダーククルセイダーズ』と特待生らの『デス&ヘル』は両者共全勝で、勝った方が決勝進出という少し違った状況だ。ついでに述べておくと、Cグループは『インフェルノ』が既に3戦3勝しており、決勝進出が決まっている。


「恭介、俺は試合に出る。結局、勝っても負けても2回闘うことになるんだ。良いな?」


 今日負けたとしても、今日の決闘と『ラグナロク』決勝の破壊計画で闘わなければならない。だから俺は逃げない。


「その正義の表情からすると、氷牙が止められなかったんだろ?……好きにしやがれ。但し、勝ってこい。そして帰ってこい」


 その恭介の表情と声は柔らかかった。


「心配してくれてありがとうな、恭介。お前にはいつも頼りになっているよ。それに皆も迷惑掛けて悪かった。今日は全力を尽くそう。ブレイヴハーツを胸に」


 そういうと、メンバー全員が頷いた。今回のスタメンは、俺と氷牙と椿。超攻撃的編成。その理由は、全員が闘いたい相手がいるから。俺は聖先輩、氷牙は黒木賊先輩、椿は駿河先輩。俺は聖先輩からの言葉を思い出し、チームの士気が上がる選出をした。これが俺達の最善だからだ。そして、俺はなんとなくわかる。聖先輩がサシで迎え撃ってくることを。

 だから俺達も堂々とサシで相対する。


「よくここまで勝ち上がってきた。まず、君の事を誇らしく思うよ。

 だが、俺は君には手加減はできない。君達は強いからね。やはり前の試合の3人連携をさせないためにはこうするしかないんだ。覚悟はいいか、大空君」


 俺は、聖先輩の威圧にできるだけ怯まず、剣を強く握る。今日の調子はいつもより良いんだ。集中力が極限にまで高まっている。今俺にある限りの力が発揮できる気がする。


「勿論ですよ。俺はこの時を待ちわびていたんです。聖先輩と対峙するこの時を」


「張り巡れ、薔薇ノ魄(ヴァルハラ・ソウル)


 低燃費の木属性魔法が地面を押し上げて、巨大なイバラが芽生えてくる。聖龍牙。苗字と名前の頭文字をそれぞれ取って、『青龍』とも呼ばれる彼は、最高の木魔法を使う。この植物に囲まれるとひとたまりもない。だが、対策はしっかりと考えてきている。


獅子王(リチャード)ノ心臓(・ハーツ)


 木魔法の最大の弱点。それは木魔法が、植物を操ることだ。植物には、光の方向に向かって伸びるという光屈性という性質がある。それはオーキシンという植物ホルモンが関連しているらしい。俺は光魔法の使い手なので、光屈性を利用して、植物が伸びる方向を俺の思い通りにできる。これが俺の対聖先輩の戦略。


「いやぁ、自然の原理を利用するだなんて、君は上手いね。しかし、君は俺を舐めすぎている」


「舐めてなんていませんよ。常に本気です」


「俺が魔法だけに頼る人物だと思うかい?」


 まるでジャングルのように茂った植物の隙間から少しだけ聖先輩の姿が見えた。聖先輩は斧を振り上げていた。そうか、彼は斧使いでもある。自身の植物を薙ぎ倒す。いや、おかしい。一薙ぎで森が消え去る。俺が伏せていなければ一撃でノックアウトだった。あの斧は飛ぶ斬撃スキルをアタッチメントしているのか。


「いや、チートだろ。どう考えても……」


 氷牙から通信が来るが十分な返答はできなかった。氷牙が勝ってくれなければ、俺も椿も勝ち筋はほぼないと言っていいだろう。実際、リチャードハーツを使っても、ほぼ互角。むしろ俺が押されている。

 頼む、氷牙。勝ってくれ。

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