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BRAVE HEARTS  作者: 刹那翼
第4章 黄金郷の激闘
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成長の先に生まれる亀裂 11/24

『1年生1回戦第3試合!ドラゴンソウル対ブレイヴ・ハーツ!この両チームには、VR体育祭で熱戦を繰り広げた因縁深いチーム同士。今回も前回のような白熱した試合が見られることでしょう!』


 氷牙は試合開始直前のアナウンスが流れる中、氷牙はストレッチをしている。


「余裕だな。それとストレッチ意味ねえぞ」


 VRでは、体は使わず脳を使う。だからストレッチするよりも、ルーティンをする選手の方が多い。

 氷牙はポーカーフェイスであるが、今までにないくらい緊張している。こわばった体をほぐしているのだろう。


「……今日は正義以外か。少し気を引き締めなきゃな……」


「満場一致でそうなってたしな」


「大丈夫ですよ!氷牙さん!今までしたきたことを全て出しましょう!」


「椿ちゃんの言う通りだよ!二人は勝ちを信じて待ってて!」


 ……何故だろう。物凄く嫌な予感がする。確実に俺達も強くなっている。他のチームが強くなるよりもずっと。しかし、何か違和感が垣間見えている。


「……なぁ、恭介。勝てると思うか?」


「悪いけど、五分五分。むしろあっちに利があると思う」


 恭介もどうやらこの嫌な感じを察知していたらしい。

『エルドラード』のルールは非常に簡単。敵チームを全て撃破したら勝利。そして、『エルドラード』では全試合のダメージが関連してくる。普段は次の試合では体力や魔法力は完全回復させられているのだが、今回はそうではない。次の試合は全体力、全魔法力の半分しか回復できない。つまり、半分以上攻撃を食らったり魔法を使ったりすると、次の試合に悪い影響が出る。1つ1つの闘いが重要になってくる。

 この勝負は、氷牙、お前にかかっている。頼んだぞ。




 地形は、森林で豪雨。火属性がかなり不利な状況。火属性を使うのは、うちの椿しかいない。その時点で俺達にとって不利な状況から始まっていることになる。むしろ相手には水魔法使いの櫻井と木魔法使いの榴ヶ岡がいる相手にアドバンテージを取られている。

 だが、ここで負けてはキャプテンに顔が立たない。それに『ラグナロク』で城ヶ峰の野郎をぶちのめす夢が途絶える。


「爽乃、櫻井を頼んだ。椿は榴ヶ岡を頼む。俺が桐生を潰す」


『私も桐生さんと手を合わせたかったです……』


「いや、今回はできるだけ手の内を見せずに闘ってくれ。今の椿は火の魔法を封じられている。そうすると、最大限の力を発揮しなければ勝てない。良いな?」


『はい』


 さぁ、じゃじゃ馬な武器の初舞台だ。他のメンバーも暴れ馬を使いこなせるかが心配だ。


「さぁ、やろうか。桐生」


 俺の後ろには桐生が立っていた。桐生は隠れて歩いてきていたようで、バレていたことに驚いていた。

 そして、他に隠れていたメンバーも出てくる。ほう、俺狙いか。


「お前以外はお前のチームはほぼ弱い奴だけだからな。お前から相手だ」


「……今、テメェ、なんつった。もう一度言ってみろよ。『虚無ノ殺戮鎌(パンドラズサイズ)』」


「だから、お前以外は弱いって」


「俺がたった1つだけ許せないことがある。それはな、俺の大切な人が侮辱されることだ」


 不気味な螺旋を描くエアロゾルを纏う俺の新しい鎌。それこそが虚無の中で敵を殺戮する鎌。相手の希望すら残さない最凶のパンドラの匣。


「なんだ、その武器。見えてすらいないじゃねえか」


「お前らを倒した瞬間をも奪う。お前らには虚無しか残らない。

 それでも俺に立ち向かう勇気はあるか?」


「榴ヶ岡、櫻井、守れ!何か来る!」


 桐生の勘が正しい。俺は質問はすれど、既に俺の最強技を打ち込んでいた。


未完成の(アンフィニッシュド)運命(ディスティニー)


 俺の鎌は見えない。それ故に、モーションしか見えない。鎌がどこにあるかは俺のみぞ知る。

 必死に榴ヶ岡や櫻井が水魔法や木魔法を張ってガードしているが、一瞬にして消え去る。そして、地面をも削り取る。


「どんなパワーだよ……」


「ほう。本気出したら、苦手な方でもある地属性にも勝てそうだな。早く来いよ。張り合いねえんだよ」


「氷牙さん。1人だけずるいです」


「2人とも、そこに立たれると狙いにくいよ。私まで近距離まで来ちゃったじゃない」


 つべこべしているうちに、『ブレイヴ・ハーツ』全員が揃う。うるさいな。正義がいなければ、居心地が悪い。


「んじゃ、全員で誰が早く敵を倒せるかだ。それなら文句ねえよな」


「なんだ?こいつら。仲間割れでもしてるのか?」


血に染まる月(ブラッドムーン)凍える月(ブルームーン)……ルナ・エクリプス」


「『System301』形態変化(フォルムチェンジ)。モード・ペリュトン。雲散鳥没(うんさんちょうぼつ)


「神羅八連撃・天地創造」


 3人全員の大技が同時に放たれる。技同士がぶつかり合い、爆風が起きる。これ程の攻撃を一度に食らって、流石にもう立ち上がる奴はいないだろ。


「……まだ負けてねえよ」


 爽乃が猛スピードで後ろに吹き飛ぶ。まさか、この攻撃力は桐生!?桐生以外は残っていなさそうだが、どうやら水魔法で桐生が完全回復させられているようだ。まずい。


「逆鱗・龍撃乱舞!」


 今度は、爽乃と椿狙いか!完全に『ドラゴンズソウル』を舐めていた。どこも1回戦は負けてはいけない勝負。執念で勝ち上がろうとしてくるはずなのに。


「させねえよ!電光二連撃・月光!」


 なんとか爽乃と椿に攻撃が届く前に、桐生に攻撃を当て、ダメージを食らうのを阻止する。


「……まだ諦めちゃいねえ」


「ああ、知っているさ。俺達はお互いを舐め過ぎていた。だから、俺の奥の手を少しだけ見せてやるよ」


 パンドラズサイズが姿を現し始める。全体の色はメタルブラック。刃は命を刈り取ろうとするような綺麗な曲線を描き、持ち手は凹凸があって手に馴染む。俺の新たな相棒にふさわしきルックス。


「普通の鎌じゃねえか」


「……過負荷(オーバーロード)。鎌に纏っていたのは、風。風で光を反射させて、この鎌を見えなくしていたんだ。そのエネルギーを身体能力急上昇に使っただけだ。普通の鎌だろう?」


 俺は『月光』よりも速いスピードで、桐生を切り裂く。敏捷性やパワーが格段に上がり、必殺技を使うよりも格段に威力や速さが増す。


「そうさ、普通の鎌さ。虚無の中で敵を殺戮する以外はね」




 1年生第3位『ドラゴンズソウル』VS同第6位『ブレイヴ・ハーツ』


 勝者、『ブレイヴハーツ』……50%以上の負傷者・50%以上の魔法使用者共になし。しかし、チームワークに難あり。




「正義、悪い。最後はお前の指揮が頼りだ。俺達にはやっぱりキャプテンが必要だ。次の試合の相手はやはり『フォーチュン・ゴッデス』だ」


「そうだな。皆が成長してから初めての試合だったからな。次の試合は、慎重に行こう」


 そう、俺は告げると、皆が頷く。


「じゃあ、色々暴言とか吐いてたようだし、『ドラゴンズソウル』に謝りに行こうか」


「いや、その必要はない。冷姫、それに他の奴らも。『ブレイヴ・ハーツ』を馬鹿にして申し訳なかった。お前らは強いチームだと知っていたのに、どうしても認めたくなかった俺が悪い」


 桐生が試合後すぐに俺達の元を訪れて、謝りに来たことに俺達は途轍もなく驚いた。そして、一番最初に開口したのは、氷牙だった。


「俺も堪忍袋の尾が切れて、余計なことまで言ってしまったのは悪いと思っているよ。これからは……なんていうか、その、仲良くしていこう」


「ああ、勿論だ。お前らは、俺達に勝ったんだ。俺達の分も勝ち進んでくれよ」


 桐生はそう言って去って行った。

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