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BRAVE HEARTS  作者: 刹那翼
第3章 嵐の前の静寂
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トーナメントと鍵 10/25

 期せずして、氷牙と二人になる。エルドラードのトーナメント表が先程発表されたので、その話で持ちきりになる。


「1回戦の相手は予想した通り、『ドラゴンズソウル』だな。体育祭の時はスポーツ精神にのっとって、攻撃手段の使用は無かったから気付かなかっただろうが、あいつらは強いぞ」


 氷牙は冷静にそう分析する。まあ、スポーツ精神に則していたのかはさて置き。

 初戦の相手はそれぞれ、1位『ダーククルセイダーズ』VS8位『グラディウス』、2位『フォーチュン・ゴッデス』VS7位『アルマドゥーラ』、3位『ドラゴンズソウル』VS6位『ブレイヴ・ハーツ』、4位『カロル・ポテンティア』VS5位『ルーナ・ピエーナ』という妥当な組み合わせになっている。その後は1位と8位の勝者VS4位と5位の勝者で、2位と7位の勝者VS3位と6位の勝者で準決勝。簡単に言えば、3回勝てば優勝ということだ。

 『ラグナロク』への出場条件は、3位以上。決勝に進出した時点で、『ラグナロク』出場が決まる。


「ああ、わかってるよ。このトーナメントからはどのチームでも油断出来ない相手。まあ1回戦は任せたぞ」


「わかってるよ。

 お前が出る2回戦は多分『フォーチュン』が来るだろうな。決勝は言うまでもなく、『ダーククルセイダーズ』だろうな。双方ともリベンジマッチか」


「1回戦が『ダーククルセイダーズ』じゃなくてひとまず良かったけどな。けど、結局ラグナロクへ出場するとなったら、あいつらとの因縁は引きずる事になるんだよな……」


「決勝で先に潰しとけばいいじゃねぇか。少なくとも、決勝は『ラグナロク』への前哨戦だが、それであって全く違う。決勝で負けてる時点で、『ラグナロク』で勝利する事はあり得ないからな」


「あっ、そうか。1年は最低学年だから、準決勝や決勝で負けてるわけじゃ、先は無いぞってことか」


 氷牙はゆっくり頷く。上級生と決闘する機会は全くなかったから、リサーチしていなかった。真霧と同レベルが居てもおかしくはない。想像するだけで恐ろしい。


「切符を取るだけじゃ、負けを認めるようなもんだ。余程不運で負けたのなら別だが、負けた時点で焦りが出る。

 終わりだ」


 氷牙は首を切り落とすようなジェスチャーをする。想像するだけでゾッとする。


「最初からてっぺん取りに行く、か。仕方ない。乗ったよ」


 氷牙は満面の笑みを浮かべる。冷徹な顔付きからは、全く想像出来ない柔和な表情。


「お前ならわかってくれると思ったぜ」


 俺は笑みを返せなかった。だが、とりあえず怪しまれないように冗談で返す。そして、俺は昨日から気になっていたことを切り出す。


「お前に散々振り回されてきたからな。

 ……氷牙、少し話があるんだ。霙さんについて教えてくれないか。……俺はお前のことをちゃんと知って、向き合いたい。あの暗号のことも気になっているんだろ?お前に残したダイイングメッセージかもしれないって」


 氷牙は少し嫌な顔をする。ああ、その反応はなんとなく予想できていたよ。だが、俺はそれでも話してほしいんだ。


「俺の全てを形作ってくれた人だよ。こんな俺を助けてくれた人だ。全てにおいて誇れる人物だよ。

 姉貴は何もなかった俺に、色々なものをくれた。出会い、気持ち、信頼。数え切れない。爽乃や恭介だけじゃない。音坂先生との出会いのキッカケも姉貴を通してだった。

 何もかもに情熱を向けてさ、大丈夫かなって心配するくらいだよ。

 仲間思いで、勇気があって、絶対に折れない心を持った姉貴を、音坂先生は褒めてくれていたよ。全てを照らす太陽のような存在だって」


「……そんなに先生と霙さんは仲が良かったのか?」


「ああ、かなりな。先生と生徒の垣根が無いくらいか。それがどうした」


「氷牙、あの暗号のヒントを先生が持ってるってことはあり得ないか?」


「……聞いてみる価値はあるな」


 氷牙の武器である『冷酷姫暗殺鎌(メドゥーサズサイズ)』に隠されていた暗号。霙さんのことを先生が知っているなら、暗号を解く鍵を先生が握っているかもしれない。解けないと思われていた暗号へ、一縷の希望が煌めきだした。

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