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BRAVE HEARTS  作者: 刹那翼
第2章 Road to El Dorado
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宿敵と運命 9/27

 VR体育祭最終日、いよいよ全チーム参加のリレー。1人500メートルずつの1500メートルのレース。今回は人数が多すぎるため、BCPは使用せず、ヘルメットのような簡易型のものを使用して行われる。

 リレーの得点配分は全62チーム中に、半分以上の順位を掴み取れれば、それで一律の20ポイントが貰えて、1〜3位は追加で上から順に15、10、5ポイントが加算される。

 少なくとも上位31チーム入りは確実に決めていきたい。狙うことができるのならば、上位3位以内を狙いたいところだ。

 第1走者は氷牙。大混戦の第1走者は、変化を得意とする風魔法に頼らざるを得ない。次は俺。恭介が出たり、爽乃が出るにしても、相性が悪そうなリレー。妨害手段を持った波魔法をいかに駆使するかが俺の重要な分岐点となるだろう。アンカーは勿論我らがスピードスター、椿。椿がスタートする以前に加速魔法で温めて、走り出す瞬間にはフルスロットルにしておくという算段。

 俺達は『ルーナ・ピエーナ』戦で痛い目を見た。計画通りに行くわけがないと思うべきだ。その場での判断が重要になってくる。

 氷牙の順調な滑り出しに期待しよう。


 第1走は激戦の中の激戦だった。氷牙は風魔法で後ろを走る者達を妨害するように向かい風を起こし、速水は自身が生み出したの流星に乗り、鹿原と榴ヶ岡の樹木の張り合いなどといった魔法を駆使したものだった。今まで闘ってきた宿敵達とまたいずれ闘わなければならない運命なのだと、心の底から強く思う。そこからは逃れられない。

 摩訶不思議の事態が起こったのは、第2走だった。俺は6位でバトンを受け取り、光魔法と音魔法を上手く使うことができ、4位に順位を上げた時だった。

 俺にも何が起こったか全くわかっていない。通過したはずのコースに戻っていたのだ。更には、順位が8位に下がっていた。抜かれてもいない。ずっと前に走り続けていた。なのに、8位に降下したのだ。順位を上げた者も下げた者も全部含めた、走者の殆どが混乱を起こした状態になった。誰の魔法なのか。そして、どんな魔法なのか。全く心当たりの無い魔法。

 待てよ。順位が下がった奴もいれば、上がった奴もいる。なら、トランプをシャッフルするような順位転換が行われているのではないか。これを魔法で起こされたら、そいつの思い通り。魔法は基本使用者の範囲能力。だったら、人からある程度距離を置いて椿にパスすればいい。

 諦めればそこで終わりなんだ。諦めてたまるか。最速の椿に渡せれば、それで良い。それまでこれ以上順位を落とさなければ、まだ3位以内は狙える。


「この前のバスケの借りは返させてもらう」


 後ろから俺に猛突進してきたのは、龍と化した桐生。本当にこいつは懲りないな。


「生憎、今日はお前を構っている暇はない」


「なら、俺のことはお気になさらず。気にならないならな」


 桐生はドラゴンの身体能力をふんだんに使い、俺の周りを縦横無尽に駆け巡る。あー、鬱陶しい。本当に邪魔だ。だが、抜かれるつもりはない。猫騙し(クラッピング)。龍は少し怯み、俺は完全に引き離す。俺への対策が甘かったな。俺はなんとか椿にバトンを渡せた。


「椿!任せた!」




 私は氷牙さんよりも強くなくて、爽乃ちゃんのように皆を援護できない。勿論、恭介さんのように技術もない。キャプテンはチームの中で一番普通の人物に見えても、誰よりも努力を惜しまない人。私は、何の取り柄もない。ただ加速魔法を持っていて、氷と火を同時に使えるだけ。

 でも、皆は私のことを信じてくれている。チームメイトとして、仲間として。信じられていることに応じることが礼儀。

 私のできることはただ一つ。3位以内を奪取する。私が得意とする加速魔法によるダッシュで。たとえ足が絡まって倒れたとしても。たとえ現在1位の真霧さんの闇に飲み込まれようと。

 ただひたすら足を素早く動かす。加速魔法の弱点は、加速をし過ぎて身体が追いつかないことがあること。いつもなら力をセーブしている。だが、チームの『エルドラード』進出のためなら、恥をかいたって良いんだ!

 何度も躓いた。何度も転んだ。でもその度に這い上がった。これが私の執念だ。


「3位獲得は、今全盛期にある『ブレイヴ・ハーツ』!1位は『ダーク』、2位は『フォーチュン』です!」


 良かった。せめてでもの恩返しができた。温かいこのチームに。

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