ファールとフェイク 9/23
徐々に試合ペースは緩やかになっていき、6点差で俺達が追う展開となっている。そろそろ前半も終わりが近づいている頃。
運動神経抜群の氷牙と遠距離シュートを打つ爽乃に徹底的にマークをする敵チーム。妥当な判断だ。だが、それで良い。俺のマークは緩くなっているということ。そろそろ俺の出番かな?
つまり、俺のシュートが打ちやすくなる。左手を添え、3Pラインより少し離れた位置から俺はネットを鳴らした。我ながら完璧な放物線だったと思う。
「あいつ、わざと姿をくらませて」
「くらませていたんじゃない。勝手なそっちの判断さ。俺はずっとフィールドに立っていたしな」
敵将は顔をしかめ、俺の煽りに完全に逆上している。スポーツは、敵を怒らせたら勝ちだ。相手からペースを奪っていけば良い。
氷牙がパスカットをし、俺にボールを回してくる。ナイスパスだ。
また敵将はドラゴンと化して、俺のシュートをブロックしにくる。だが、身体能力があれば勝てるなんて、甘い。
「まさか、フックシュートだと?」
左手だけでボールを掴み、敵のファールをもらいながら、左手をスナップさせてフックシュートをゴールにねじ込む。
フリースローもしっかりと決めて、2点差まで挽回する。
時間的にそろそろラストプレーか。榴ヶ岡がフリースロー後のプレーで堅実に点を返す。4点差に戻る。
振り出しに戻して後半に入ろう。追いかける展開を払拭しておこう。
俺は爽乃からロングパスをもらい、シュートモーションに移る。すると、案の定、怪獣が俺に向かって跳んでくる。あれほど痛い目を思い知らされただろうに、懲りない奴だな。
「身体能力が上がっているということは、目の情報処理能力も上がってるんだろ?」
光魔法・閃光を俺は炸裂させる。桐生は体勢を崩す。フリー……じゃない!櫻井がディフェンスに入っている!
俺はすぐさまシュートモーションをやめて、ドリブルに移りレイアップシュートで点を決める。油断大敵。危なかった。
櫻井が榴ヶ岡にラストパスを出す。残り20秒。なので、俺は"ブザー"を鳴らす。
すると、榴ヶ岡は本物のブザーだと勘違いし、片手でボールを遠投する。
「氷牙!」
「わかってるよ」
俺達がプレーをやめないから、『ドラゴンズソウル』全員が焦り出す。そして、桐生がようやく気付く。
「なんでお前らプレーを続けて……終わってない?ブザーが鳴っただろ!って、まさか、お前の音魔法のフェイク!?」
爽乃のゴール下からの超遠距離弾道を使ったロングパス。そして、氷牙がそのパスを空中で受け、直接ダンクをしようとする。桐生が咄嗟にディフェンスに入ろうとする。だが、それをも押し切る言うことなしのアリウープ。完璧だ。完璧な流れで後半に託せた。
白 39ー赤 39




